日本補完代替医療学会誌
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10 巻, 2 号
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原著
  • 丸岡 弘, 岸本 祐樹, 石神 昭人
    2013 年 10 巻 2 号 p. 63-68
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/30
    ジャーナル フリー
    摂取するビタミンC(VC)が酸化ストレス防御系などへおよぼす影響について検討した.対象は VCノックアウトマウス(SMP30/GNL,雄)33 匹を無作為に,VC 100 Group: 1.5 g/L VC 摂取,VC 2.5 Group: 0.0375 g/L VC 摂取,VC 0 Group: 0 g/L VC 摂取の 3 群に区分した.酸化ストレス防御系は d-ROM test と BAP test を測定し,BAP/d-ROM 比を算出した.測定は研究開始時(週齢 5 週:Baseline)と VC 摂取 9 週間(週齢 14 週:9 wk)の時点とした.また,血漿 VC 濃度は 9 wk の時点で還元型(アスコルビン酸:AA)と酸化型(デヒドロアスコルビン酸:DHA)を測定し,総 VC(AA + DHA: Total)濃度を算出した.9 wk において 3 群間を比較すると,VC 100 Group はd-ROM test が有意な低値,BAP/d-ROM 比が有意な高値,BAP test が有意差なし,老化度評点が有意な低値を認めた.Total 濃度において VC 100 Group は,他の群と比較して有意な高値を認めた.摂取する VC の違いは,d-ROM test や BAP/d-ROM 比,および血漿 VC 濃度に変化をおよぼすことが明らかとなった.
  • 滝本 裕子, 鈴木 信孝, 川畑 哲郎, 只野 武, 太田 富久, 徳田 春邦, 許 鳳浩, 井上 正樹
    2013 年 10 巻 2 号 p. 69-74
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/30
    ジャーナル フリー
    ハトムギ子実の熱水抽出エキスであるヨクイニンは,漢方薬として利用され,ヒト乳頭腫ウィルス性疾患である疣贅等に用いられている.ハトムギの子実の有用成分についてはいくつかの報告があるが,外殻,薄皮,渋皮についての薬理学的有用性については未だ明確になっていない.今回ハトムギの穀実(子実,外殻,薄皮,渋皮)のメタノール抽出エキスの癌細胞に対する作用と有用成分に関する検討を行なったところ,抽出エキスの一部の画分は HeLa 細胞(ヒト子宮頸癌由来)に対して有意な細胞増殖抑制作用を示した.さらに,増殖抑制作用が認められた画分から化合物として 5,7-dihydroxychromone と coixol を単離した.以上より,ハトムギ穀実のメタノール抽出エキスは癌予防に有用である可能性が示された.
  • 鈴木 里芳, 徳田 春邦, 鈴木 信孝, 上馬塲 , 許 鳳浩, 川端 豊慈樹, 太田 富久, 大竹 茂樹
    2013 年 10 巻 2 号 p. 75-85
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/30
    ジャーナル フリー
    ハトムギ [Coix lachryma-jobi L. var. ma-yuen Stapf] の子実は,これまで伝統薬として,中国や日本で古くから利用され,抗腫瘍,抗肥満,抗糖尿など様々な機能を持つことが報告されている.われわれは以前よりハトムギの渋皮,薄皮,外殻の生物作用に着目してきた.今回,従来より漢方などで使われてきたハトムギの子実の熱水抽出エキス(ヨクイニン)を比較対象として,子実,渋皮,薄皮,外殻のすべての部分を含む熱水抽出エキス (CRD),ハトムギの有用成分である Monoolein と Trilinolein の抗腫瘍,抗炎症作用を検討した.ヒト由来癌細胞に対する細胞増殖抑制作用については,乳癌細胞 (MCF-7),肺癌細胞 (A-549),喉頭癌細胞 (Hep-2) を用いて評価した.結果は両エキス,Monoolein, Trilinolein ともに各癌細胞に対して弱い増殖抑制効果を認め,その作用はヨクイニンよりも CRD, Monoolein, Trilinolein の方がより強かった.また,発癌予防作用については,ヒトリンパ腫由来の Raji 細胞と発癌プロモーターである TPA (12-O-Tetradecanoylphorbol-13-acetete) を用いて,特異抗原発現能により評価した.結果は両エキス,Monoolein, Trilinolein ともに特異抗原発現を減少させた.また,ヨクイニンより CRD, Monoolein, Trilinolein がより強く発現を抑制した.一方,Monoolein は Trilinolein よりも強く抑制した.次に,ハトムギの抗炎症作用を検討するために,マウス皮膚上皮由来正常細胞に被検物質を作用させ,紫外線 (UVB) 照射前後ならびに加熱障害前後の細胞形態変化により評価した.結果は UVB 照射前後にかかわらずヨクイニンよりも CRD, Monoolein, Trilinolein が有意に細胞障害を抑制した.また,加熱障害前後については,ヨクイニンの方が CRD より細胞障害を抑制し,Monoolein は Trilinolein より有意に細胞障害を抑制した.以上のことから,子実以外にも渋皮,薄皮,外殻が有用であることが示唆された.さらに,Monoolein と Trilinolein は抗腫瘍,抗炎症を有することが示された.
  • 高田 智子, 蔵本 真理, 今村 麻依子, 岸田 佐智, 安井 敏之
    2013 年 10 巻 2 号 p. 87-97
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/30
    ジャーナル フリー
    医療系大学生の補完代替医療 (CAM) に関する認識と学科間の相違について実態を明らかにすることを目的とし,医学科,看護学・助産学,放射線科,検査科,栄養学,歯学科,口腔保健学,薬学の学部学生 2120 名を対象に,無記名の構成的質問紙票によるアンケート調査を行い,属性および 17 種類の CAM について 7 項目を質問した.医療系大学生の CAM に対する認識は,CAM の種類や学科によって差がみられることが明らかになった.看護・助産学学生は,CAM に対して肯定的で積極的な傾向が認められた.マッサージ,アロマテラピー,ヨガ,整体,精神療法への「興味関心」と「有効性」は他学科の学生より有意に高かった (p < 0.05).看護・助産学学生の興味関心が高いこれらの CAM は,高価な物品等を必要とせず,臨床ですぐに実践できる手技・手法であり,看護ケアに有用であることが示唆された.
  • 上馬塲 和夫, 鈴木 信孝, 許 鳳浩, 川端 豊慈樹, 浦田 哲郎, 川端 克司
    2013 年 10 巻 2 号 p. 99-105
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/30
    ジャーナル フリー
    モズク由来フコイダンにマイタケ,メシマコブ,冬虫夏草エキスを混合した栄養補助食品の 4 週間連続投与による安全性ならびに免疫に及ぼす影響を癌患者 5 名(70 ± 12 歳)と高齢者 5 名(72 ± 4 歳)の計 10 名で検討したところ,本食品は,LDL コレステロールの低下,免疫機能のうち Th1/2 の有意な増加変化を誘起し,特に癌患者では,顔や四肢の皮膚,不安,疲労,冷え性,食欲について有意な Quality of Life (QOL) の改善を認めた.また,安全性についても特記すべき問題は見られなかった.
  • ―生理,心理,免疫学的指標による検討
    渡邉 映理, 木村 真理, クフタ ケニー, 亀井 勉, 今西 二郎
    2013 年 10 巻 2 号 p. 107-115
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/10/30
    ジャーナル フリー
    【目的】本研究では,パーソナルコンピュータ (PC) 作業者に,精油を用いた芳香浴を行った.PC 作業を行いながら様々な種類の精油を吸入し,生理,心理,免疫学的パラメータの変化と,心身の疲労軽減の有無について包括的に検討した.
    【デザイン】ランダム化クロスオーバー比較試験
    【方法】対象者は,平均年齢 22.38 ± 1.30(範囲 21–24)歳の健常男子 8 名であり,試験は京都府立医科大学倫理審査委員会の承認下で行われた.対象者は条件により異なる香りを吸入しながら 120 分間の PC 作業を行った.前後で 10 分間の安静状態を保ち,生理,心理,免疫学的機能を評価した.試験は異なった日に 6 条件(香りなし,グレープフルーツ,真正ラベンダー,ペパーミント,ブレンド A,ブレンド B)で行った.
    【結果・結論】精油が PC 作業者の自律神経系,免疫系,心理に影響を及ぼしており,精油の種類によっても生体反応が異なることが示唆された.なかでも特に,ペパーミント精油に疲労軽減効果があることが示された.
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