日本補完代替医療学会誌
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15 巻, 2 号
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総説
  • 山本 樹, 山田 勝久, 鈴木 信孝, 許 鳳浩, 高橋 正征
    原稿種別: 総説
    2018 年 15 巻 2 号 p. 67-77
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/10/12
    ジャーナル フリー
    海洋深層水(Deep Sea Water: DSW)とは200m以深に存在する海水である.海洋深層水の豊富なミネラル分, 清浄性, 富栄養性といった特性を活かした産業利用では, 日本が最先端を行っている.また, 海洋深層水の資源活用, とくに未病や予防医学への応用についても世界中から注目を集めるようになった.そこで今回, 特に, 生活習慣病である脂質異常症, 高血圧症, 糖尿病, 動脈硬化症をはじめ, アトピー性皮膚炎, 骨粗鬆症, がん, 消化性潰瘍, 白内障, 便秘症における海洋深層水の基礎・臨床医学研究成果をレビューしたので報告する.
原著
  • 細山田 康恵, 山田 正子
    原稿種別: 原著
    2018 年 15 巻 2 号 p. 79-84
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/10/12
    ジャーナル フリー
    目的:脂肪酸組成の異なる油脂摂取が,ラットの脂肪蓄積量と肝臓組織の脂肪滴に与える影響について検討した. 方法:幼ラットに高コレステロール食としてラード, 大豆油, エゴマ油, 魚油を含む飼料を4週間摂取させた.コントロールにはラードを用いた. 結果:後腹壁脂肪及び睾丸周辺脂肪重量は, コントロール群,大豆油群それぞれより魚油群で有意に低値を示した.肝臓組織において, 脂肪滴数は, エゴマ油群で他群より有意に高値を示し, 直径の小さな脂肪滴が多数みられた.総面積に対する脂肪滴の割合は, コントロール群,大豆油群それぞれよりエゴマ油群で有意に低値を示し, コントロール群, 大豆油群それぞれより魚油群で有意に低値を示した. 結論:脂肪酸組成の異なる油脂摂取において, 脂肪蓄積量と肝臓組織の脂肪滴の面積は類似することが明らかとなった.魚油摂取が, 脂肪蓄積低下に有用で肥満の予防や改善に役立つことが期待される.
  • 鈴木 信孝, 川島 拓也, 許 鳳浩, 上馬塲 和夫
    原稿種別: 原著
    2018 年 15 巻 2 号 p. 85-90
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/10/12
    ジャーナル フリー
    ハトムギが皮膚のメラニン生成を抑制するという基礎的知見が報告されているが,ヒトでの作用については明らかになっていない.そこで今回,ハトムギ全粒熱水抽出エキス(Coix-seed Reactive Derivatives: CRD)摂取の女性皮膚色素沈着度に及ぼす影響を無作為化比較対照試験によって検討した.方法は,顔面皮膚に色素沈着を有する女性90名を無作為に3群に割付し,CRD(株式会社ALT製)2g/日,4g/日またはプラセボを8週間摂取させ,顔面皮膚色素沈着度ならびに紅斑度をメグザメーターにて測定した.結果を摂取前後の値の変化率で比較すると,4g/日摂取群では皮膚の色素沈着度と紅斑度ともに,プラセボ群より有意に減少した(p<0.01).なお,摂取期間中に特別な副作用は認めなかった.以上のことから,CRDは今後,美容皮膚科領域において有用な栄養補助食品の一つになり得ることが示唆された.
  • 池内 眞弓, 森 祥子, 城生 弘美, 沓澤 智子
    原稿種別: 原著
    2018 年 15 巻 2 号 p. 91-101
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/10/12
    ジャーナル フリー
    本研究は,近赤外分光光度計を用い能動的音楽聴取と受動的音楽聴取および活性曲と鎮静曲聴取時の前頭葉のOxy-Hbの違いを評価した.健常女性(平均年齢22±4.1)22名を対象とした.鎮静曲聴取時,前頭葉のOxy-Hbは,多くのチャンネルで有意に低下し,活性曲聴取時はOxy-Hbは有意に増加した.また鎮静曲聴取後の唾液中コルチゾール,α―アミラーゼ,IgAは聴取前と比較し,有意に低下した.さらに能動的音楽聴取(音楽に合わせリズムを取り拍手をする)と受動的音楽聴取(音楽聴取のみ)時のOxy-Hbの違いを評価した.能動的音学聴取時は,受動的音楽聴取時と比較し,Oxy-Hbが有意に増加した.以上の結果より,鎮静曲聴取は,ストレスの低減およびリラックス効果を有する事が示唆された.また能動的音楽聴取は受動的音楽聴取時と比較し前頭葉の賦活化が認められた.音楽聴取のみよりも音楽に合わせリズムを取り身体を動かす事により脳機能の活性化や心理状態の改善などに繋がる事が示唆された.
  • 許 鳳浩, 鈴木 信孝, 榎本 俊樹, 浦田 哲郎, 須藤 慶太, 宇住 晃治, 上馬塲 和夫
    原稿種別: 原著
    2018 年 15 巻 2 号 p. 103-108
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/10/12
    ジャーナル フリー
    新規精米技術を用いた特殊無洗米であるプレナス金芽米(以下PL米)摂取の生活習慣病関連因子に及ぼす影響について検討した.対象は施設の入所者で,重篤な疾患を有しない者25名(男6,女19)とした.方法は,コントロール無洗米を2ヶ月間毎食摂取(対照群)させた後,PL米を4ヶ月間毎食摂取させ(試験群),合計6ヶ月間観察した.評価項目は,血圧,体脂肪率,HbA1cなどの生活習慣病関連因子とした.結果は,PL米の摂取により,収縮期血圧は有意に低下し (p=0.008),拡張期血圧は低下傾向を示した(p=0.079).体脂肪率は,PL米摂取により低下傾向を示した(p=0.064).HbA1c値は,PL米摂取により低下したが,有意な変化ではなかった(p=0.050).しかし,HbA1c値が摂取前で正常値以上の高値を示した者(n=5)を除外し,正常値範囲だった者(n=19)を層別解析したところ,PL米摂取により有意にHbA1c値は低下した(p=0.003).また,中医体質調査票(CCMQ-J ver.2.0)を用いた試験結果を層別解析したところ,健康度の高い者では,平和質が有意に向上し,気虚質,痰湿質,湿熱質や気鬱質が有意に改善した.以上より,PL米は生活習慣病の予防に役立つ可能性が示唆された.
短報
症例報告
Letter to the Editor
  • 鈴木 信孝
    原稿種別: Letter to the Editor
    2018 年 15 巻 2 号 p. 141-151
    発行日: 2018/09/30
    公開日: 2018/10/12
    ジャーナル フリー
    妊娠中のハトムギ使用について解説した.市販のハトムギ茶を妊娠中に摂取して流産や早産になるという証拠はなく,産後に市販のハトムギ茶摂取を禁ずる科学的根拠もない.したがって,妊婦が常識の範囲内でハトムギ茶を飲用もしくはハトムギ調理品を食することは,問題ないと考えた.ただし,ハトムギ摂取に過敏になっている妊婦は,無理にハトムギ飲食を行う必要はない.また,妊娠中のハトムギ摂取に関しては医師に相談することが肝要である.妊娠中のハトムギの製薬であるヨクイニンの内服については,必ず産婦人科医師の管理のもとに行うべきである.また,ハトムギの栄養補助食品も,妊娠中は中止するか,もしくは医師と相談の上で使用するのが望ましい.ただし,妊娠中にこれらの医薬品や食品を飲み続け,流産,早産,児の奇形等が発症したとする報告はない.妊娠中はハトムギ摂取を控えるべきであるという伝承については,ハトムギに麦角菌が感染し,産生された麦角アルカロイドによる子宮収縮が深く関与していたという仮説を立てた.また,小麦・大麦・ライ麦,トウモロコシなど麦角菌に感染する可能性のあるイネ科植物の麦角アルカロイド汚染の有無を知ることは,妊婦の流産・早産予防上,重要であることも指摘した.
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