目的:単色の色彩光による感情状態への刺激効果を明らかにすること.
方法:スクリーンに投射の好みの単色彩光を介入因子とし,その心理的刺激効果を多面的感情状態および唾液中のストレスホルモン指標を用いて測定した.被験者は 20 名.実験群には好みの単色彩光を,コントロール群にはそれ以外の色彩を 20 分間提示し,各指標を被験者内効果の比較で評価した.
結果:実験群では色彩刺激後に「非活動的快」が有意に上昇し (p = 0.025) ,「抑うつ」や「倦怠感」が有意に低下した (p = 0.005, p = 0.041).CgA の平均値は 4.54 pmol/ml から一旦上昇し,再び 4.96 pmol/ml と減少に転じた.コントロール群では逆に上昇し,両群の CgA 値の変化パターンには有意差が認められた.(P < 0.001)
結論:好む色彩光は気分を沈め,倦怠感やうつ状態を緩和して,感情状態をポジティブな方向に変化させることが示唆された.
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