日本補完代替医療学会誌
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17 巻, 1 号
日本補完代替医療学会誌
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
総説
  • 鈴木 信孝
    原稿種別: 総説
    2020 年 17 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2020/05/26
    公開日: 2020/06/09
    ジャーナル フリー
    インドネシアで食されているメリンジョ種子にポリフェノールの1 種でレスベラトロール2 量体であるグネチンC(Gnetin C) ならびにグネチンC の配糖体であるGnemonoside A,Gnemonoside Dが発見された. メリンジョ種子エキスやグネチンCは,高尿酸血症,動脈硬化,脂肪肝,糖尿病,認知症,癌,皮膚の老化,歯周炎に有用であることが示唆されており,その他,免疫調節作用,抗炎症作用,抗菌活性,リパーゼ活性阻害作用やアミラーゼ活性阻害作用などが知られている.したがって,メリンジョ種子エキスは,高齢化を迎える我が国においては,今後注目される機能性食品素材になる可能性が高い.
原著
  • 松本 祥幸, 阿部 彰子, 小栁 智
    原稿種別: 原著
    2020 年 17 巻 1 号 p. 7-10
    発行日: 2020/05/26
    公開日: 2020/06/09
    ジャーナル フリー
    市販の黒ゴマエキス含有食品のヒトにおける過剰摂取安全性試験を実施した.インフォームドコンセントが得られた健常人11 名(男性6 名,女性5 名)に黒ゴマエキス含有食品を摂取目安量(1 カプセル/ 日)の5 倍量(5カプセル/ 日)を4 週間摂取させ,有害事象発現の有無ならびに摂取前,摂取2 週目,4 週目と摂取終了2 週目に血液一般検査, 生化学的検査,尿検査を行った.試験の結果,摂取前と比較し,問題となるような有害事象や副作用は認められなかった.また,異常な変動を示す検査値は認められなかった.以上の結果により,健常人に対する黒ゴマ含有エキス食品の安全性が確認できた.
  • 鈴木 信孝, 滝埜 昌彦, 大桑(林) 浩孝
    原稿種別: 原著
    2020 年 17 巻 1 号 p. 11-22
    発行日: 2020/05/26
    公開日: 2020/06/09
    ジャーナル フリー
    ハトムギの外殻・薄皮・渋皮を含む全粒熱水抽出エキス末(Coix-seed Reactive Derivatives:CRD) 中のフェノール化合物13 種類とアルカロイド化合物であるコイキソール(coixol) の分析を液体クロマトグラフィー/ 質量分析法(LC-MS) を用いて行った.また,対照として市販のハトムギ子実熱水抽出エキス末,ハトムギ全粒粉,ハトムギ子実粉の分析も行った.結果は,CRD中の各種フェノール化合物は対照群より多く検出され,それぞれ含有量の多い順にp -クマル酸( p -Coumaric acid)275.0(μg/g),p -ヒドロキシベンズアルデヒド(p -Hydroxybenzaldehyde) 50.2( μ g/g),カフェイン酸(Caffeic acid) 36.9(μg/g), プロトカテク酸(Protocatechuic acid) 31.9(μg/g), フェルラ酸(Ferulic acid)27.1(μg/g),ケルセチン(Quercetin) 16.2(μg/g), シリングアルデヒド(Syringaldehyde) 12.1(μg/g),クロロゲン酸(Chlorogenic acid) 11.3(μg/g),ナリンゲニン(Naringenin) 11.1(μg/g),バニリン(Vanillin) 9.2(μg/g),trans -コニフェリルアルデヒド(trans -Coniferylaldehyde) 9.1(μg/g), トリシン(Tricin) 0.7(μg/g),ルテオリン(Luteolin) 0.5(μg/g) であり,コイキソール(Coixol: 6-Methoxy-2-benzoxazolinone) は 5.5 (μg/g) であった.以上の結果より,CRD の様々な作用には,これら天然のフェノール化合物の生物作用が深く関与していると考えた.
  • 杉本 圭一郎, 中川 一弥, 藤原 優, 坂野 克久, 海老原 淑子
    原稿種別: 原著
    2020 年 17 巻 1 号 p. 24-31
    発行日: 2020/05/26
    公開日: 2020/06/09
    ジャーナル フリー
    ユーカリ(Eucalyptus globulus )葉水性エタノール抽出物(ELE)は機能性食品として利用され,活性成分はポリフェノールであることが多い.ELE は,すでにげっ歯類を用いた90 日間反復投与毒性確認試験および変異原性試験が評価された.臨床試験は,低用量は実施されたが高用量の報告がない.我々は予備試験として日本人成人男性を対象に,ELE の過剰摂取安全性評価オープン試験を実施した.ELE を80% 含むスプレードライ粉末(市販名:ユーカグランジン®)カプセルを試験食とした.6 名(47.3 ± 12.4 歳)を対象に4 週間,ELE を毎日2,592 mg 摂取させた.試験開始時,4 週間後,摂取終了より2 週間後に検査を実施した.試験期間中2 件の有害事象が報告されたが,それらはELE 摂取と関連性がないと判断された.1 件は打撲に起因し,他の1 件は過剰な運動が原因でCPK 値が上昇したと結論付けられた.その他の項目では,ELE 摂取に関連する変化は認められなかった.以上,ヒトを対象にELE の安全性を確認することができた.
  • 鈴木 信孝, 許 鳳浩, 大桑(林) 浩孝, 上馬塲 和夫, 橋本 慎太郎
    原稿種別: 原著
    2020 年 17 巻 1 号 p. 33-36
    発行日: 2020/05/26
    公開日: 2020/06/09
    ジャーナル フリー
    古来,ハトムギは体を冷やす漢方素材の代表格とされ,熱がこもりやすい湿熱質の人には適しているが,冷え症の者は摂取を避けることが望ましいとされてきた1).ハトムギ全粒熱水抽出エキス(Coix-seed Reactive Derivatives:CRD) は, 通常の漢方薬( ヨクイニン)で使われている精白粒はもちろん,ハトムギ糠,薄皮,外殻すべてを熱水抽出して得られたエキスである.今回,女性90 名を無作為に3 群に割付し,CRD 2 g/ 日(30 名),4 g/ 日(30 名) またはプラセボ(CRD 0 g/ 日) を8 週間摂取させ,手足の冷え(手足寒)の度合いをVisual Analogue Scale(VAS) で評価した.結果は,t 検定では,摂取前と比較し,摂取2 週間後,4 週間後,8 週間後において,プラセボ群では冷えは改善しなかった(p=0.082, 0.067, 0.237).一方,CRD 2g 群ではそれぞれ有意に改善した(p=0.046, 0.005, 0.030).CRD 4 g 群では摂取2 週間後,4 週間後ではそれぞれ有意に改善し(p=0.002, 0.009),4 週間後では有意差は認めなかった(p=0.167).また,一元配置分散分析(one way ANOVA) では,プラセボ群とCRD 2 g 群では有意差は認めなかったが(p=0.571, 0.428),CRD 4 g 群では有意に改善した(p=0.033).以上の結果より,CRD 摂取は,手足の冷えを増悪させる ことはなく,むしろ,改善する作用を有することが示唆された.
  • 大桑(林) 浩孝, 太田 富久, 大野 智, 京 哲, 鈴木 信孝
    原稿種別: 原著
    2020 年 17 巻 1 号 p. 37-42
    発行日: 2020/05/26
    公開日: 2020/06/09
    ジャーナル フリー
    ハトムギ子実体の有機溶媒抽出物が抗腫瘍効果を有することはすでに報告されている.今回我々は,ハトムギの 外殻,薄皮,渋皮の薬理作用に注目し,ハトムギ全粒熱水抽出物の抗腫瘍効果についてマウスを用いて,抗腫瘍効 果と延命効果を検討した.結果は,ハトムギ全粒熱水抽出物50 mg/kg の経口投与では腫瘍増殖に対する抑制効果 は認めなかったものの,100 mg/㎏以上の用量では,コントロール群と比較して有意な抑制効果を認めた(p < 0.01). また,ハトムギ全粒熱水抽出物を摂取させた担癌マウスは,コントロール群と比較して有意に延命した(p < 0.05). 以上のことから,ハトムギ全粒熱水抽出物は,抗腫瘍効果を有することが示唆された.
  • 細山田 康恵, 山田 正子
    原稿種別: 原著
    2020 年 17 巻 1 号 p. 43-49
    発行日: 2020/05/26
    公開日: 2020/06/09
    ジャーナル フリー
    目的:ラットに高脂肪食で魚油と酒粕を添加し,血清脂質濃度や不安行動へ及ぼす影響について検討することを目的とした.
    方法:5 週齢のSD 系雄ラットに大豆油(コントロール),大豆油+酒粕,魚油,魚油+酒粕の実験飼料を18 日間摂取させた.対照群に大豆油を用いた.血清脂質濃度や不安行動などの測定を行った.
    結果:血清コレステロール濃度はコントロール群と比較し,魚油+酒粕群で有意に低値を示した.血清トリグリセリド濃度および遊離脂肪酸濃度については,魚油群と魚油+酒粕群で有意に低値を示した.不安行動では,コントロール群と比較し,酒粕群でオープンアームの滞在時間が有意に高値を示した.
    結論:魚油と酒粕の同時摂取が血清コレステロール濃度の上昇抑制に有効であり,脂質異常症の予防や改善に役立つと考えられる.また,酒粕摂取は不安行動の抑制に有効であると期待される.
症例報告
Letter to the Editor
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