目的:健常成人男女を対象として,ハトムギ全粒熱水抽出エキス(Coix-seed Reactive Derivatives: CRD)を含む粉体食品を摂取したときの安全性を評価した.
方法:健常成人8名(男性4名,女性4名,平均年齢,26.6 ± 4.7歳)にCRDの最小有効摂取目安量(1 g/日)の2倍量である2 g/日を4週間連続摂取させ,摂取前と摂取4週後に体重,バイタル(血圧,脈拍数,体温),抹消血液検査(白血球数,赤血球数,ヘモグロビン,ヘマトクリット,血小板数,白血球分画),血液像,血液生化学的検査(Na, K, Cl, AST, ALT, γ-GTP, LDH, ALP, 総蛋白, アルブミン, A/G, 総ビリルビン, 尿素窒素, クレアチニン, コリンエステラーゼ, 総コレステロール, HDLコレステロール, LDLコレステロール, 中性脂肪), 血液凝固検査(プロトロンビン時間,部分プロトロンビン時間),尿検査(タンパク,糖,ウロビリノーゲン,潜血)を測定した.また,日誌ならびに問診により摂取コンプライアンス,有害事象,副作用の発現の有無を調査した.
結果:検査値では,MCHC(平均赤血球ヘモグロビン濃度)と血清クレアチニンの軽度上昇,MCV(平均赤血球容積)の軽度低下がみられたが,いずれも基準値内の変動であり,問題はないと考えられた.また,特記すべき有害事象や副作用は認めなかった.摂取コンプライアンスは,99.5 %であった.
結論:CRDの最小有効摂取目安量(1 g/日)の2倍量摂取は,安全性に問題はないと推察された.今後は,CRD過剰摂取や長期摂取における安全性を確認する予定である.
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