著者等は普通煉瓦の品質檢定には單に寸法、 形状、 罅瑕、 色澤等の如き外觀のみならず音響、 吸水率、 耐壓強、 耐寒性等に付試驗を要すれども音響は指示困難なる爲、 凍寒試驗は結果不明瞭なる爲め一般に用ゐ難く、 又耐壓強は設備と熟練を要する困難あるに對し、 吸水率試驗は原料の良否及燒締程度を明示し且測定正確、 裝置操作共に簡單なるを以て最も普通に採用せらるとなし、 此れに關する内外の規定、 建築材料聯合調査會、 工業品規格統一調査會の規格設定事情等を略述して吸水率試驗の重要なるを裏書し、 關東 (日本煉瓦製造株式會社上敷免工場製) 及び關西 (大阪窯業株式會社堺工場製) 産供試煉瓦に付寸法、 重量、 比重、 氣孔率、 吸水の經過、 乾燥の經過、 乾燥煉瓦重量、 吸水測定法、 煉瓦の置き方と吸水率等を測定、 觀察し、 乾燥の輕過、 乾燥の温度と其重量、 煉瓦の秤量法、 吸水の經過、 浸水法と吸水率等に關し實驗結果を決論し著者等の意見を述べ、 最簡便、 正確なる吸水率試騒法は煉瓦を空氣浴内に於て攝氏一三〇度に加熱乾燥し、 二時間毎に秤量し、 重量不變なるに至つて此れを乾燥重量となし、 次に常温に復し容器中に平おにき、 深さ一糎の淡水中に二四時間浸し、 更に煉瓦上面上三糎迄増水して二四時間浸し、 此れを取り出しよく表面を拭ひ、 直ちに秤量せるを飽水重量となし、 吸水率=〔(飽水煉瓦の重量)-(乾燥煉瓦の重量)〕÷(乾燥煉瓦の重量)×100なる式により吸水率を計算する事を慫慂せり。
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