製鋼爐用珪石煉瓦の原料として從來優良ならずとされて居た珪石を用ひ東京工業大學窯業學科故近藤清治博士並に山内俊吉博士により研究室的に成功せられた鱗珪石煉瓦の工業化試驗を行つた. こゝに其の第1報として
(1) 製鋼爐に於ける珪石煉瓦の損傷原因を考察し, 使用中に起る損傷原因として考へられるべき原因は多々あるが, 珪石煉瓦の本質的缺點たる膨脹, 龜裂等に起因する損傷は煉瓦中に鱗珪石を多量に含有せしめることによつて最少限度に止め得るであらうことを述べた.
(2) 本研究の參考として從來行はれたる珪石の鱗珪石化に關する研究を調査し, 之を礦化劑に關する研究と, 鱗珪石煉瓦に關する研究とに分類し摘録囘顧し, 次いで鱗珪石煉瓦の重要性と本研究の目的並に概要につき述べた.
(3) 本研究の使用原料に關し其の本質を究明する爲に基礎的研究をなし並に其の地質及産状につき略述した.
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