大日本窯業協會雑誌
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47 巻, 554 号
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  • ベントナイトと酸性白土との關係
    内田 宗義
    1939 年 47 巻 554 号 p. 63-67
    発行日: 1939/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    (a) 日本産酸性白土の既知の多數の分析例によれば日本産酸性白土も外國産のそれも同種にして, 以下の成分比を標式的なる者なりとするを得る。但し水は105℃以上の値。
    (b) 滿洲國産ベントナイト13例によれば, 珪礬比概して4-6の間にあり, 膨潤性著しき者1例に過ぎず, 珪礬比3-4の間にある者3例分に過ぎざるも, 概して苦土に乏しくバイデライト型の者比較的多かるべき事が推定せられぬ事はない。併し前記3例を除く他の10例の平均組成は以下の通りで, 一見モンモリロン型ベントナイトを主とするものゝ如くである。
    (c) 外國産ベントナイトの多數の化學分析例に就て歐米に於けるベントナイトの通念とする所を論じた。その結果によれば, ベントナイトの精製純化の極限規範は主としてモンモリロナイトなるもバイデライトも亦その一をなす。共存膠状珪酸は必要合分とは認めず. 他の類似粘土礦物も純化の極限規範としては認めず。ノントロナイトは時に主合分の一なりと認め得る筈なるも, 組成行動必ずしも確定的ならざるためか多く注意せられず。而してモンモリロナイトの一般實驗式は (Mg, CaO)・Al2O3・5SiO2nH2O, 稀にMgO・Al2O3・4SiO2nH2Oなりと信ぜられ理想式Al2O3・4SiO2・H2Oとは相違す。バイデライトは常にAl2O3・3SiO2nH2Oを實驗式とし, またノントロナイトはこれと固溶し, Fe2O3・3SiO2nH2Oを理想式とすれども, その實驗式は次の二様が信ぜられてゐると考へられる。 (E. S. Larsen and H. Berman, U.S. Geol. Surv. Bull. No. 848, 2nd. Ed., 1934)
    (Ca, Mg)O・Fe2O3・2SiO2・2(±)H2O
    (Ca, Mg) O・2Fe2O3・8SiO2・7±H2O
    なほBeidelliteとLeverieriteとは同義語なりとも信ぜられてゐる。
    (d) 日本産ベントナイト31例, 酸性白土5例の化學組成に就て比較吟味の結果によれば, 日本産ベントナイトも滿洲國ベントナイトと共に, 何れも歐米に於けるベントナイトの通念の範疇内にある。
    日本産ベントナイトの既往の分析例中にはバイデライト型と信ぜられる例を見ず。既ち日本産膨潤性ベントナイトの精製純化の極限規範はこれを前項 (c) 中のモンモリロナイトの實驗式相當物質に求めて差支なしと信ぜられる。
    (e) 酸性白土とベントナイトとは全く同質異名の粘土物質なりと認め得る。但し從來の慣例によれば, 酸性白土は精製純化の目標としての規範が與へられず, 從つて “純粹なる酸性白土” は意味を有せず, 常に標準混合物が求められたるに過ぎず。これ精製稍困難なるためなりと信ぜらるゝも, 事實上酸性白土は礦物種に非ずして粘土岩種として説明されんとせし傾向ありたりと稱すべきである。
    以上に對しベントナイトは精製容易なる場合多きため, これを寧ろ礦物種として認めんとの努力が行はれ, 多くの原土はこれを不純なる礦物種として説明せんとせられし傾向著し。而して更に酸性白土とベントナイトとは發見及び認知の歴史を異にせしため, 名稱と内容との混亂を生ぜしものと信ぜらる。但し要は主粘土礦物自體の確認に充分ならざる點ありしに依ると信ぜられる。
  • 材料の比較研究 (第1報)
    田所 芳秋, 小田 二太郎
    1939 年 47 巻 554 号 p. 67-76
    発行日: 1939/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 近藤 清治, 山内 俊吉, 大木 通胤
    1939 年 47 巻 554 号 p. 76-81
    発行日: 1939/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    2CaO・SiO2の變態について顯微鏡, X線及熱分析等の方法によつて研究した。その結果は大約次の樣である。
    1. 燒成温度1,500℃以上の場合は以下の場合よりダスチングが少ない。氷で冷却した白金坩堝中に落下する程度の冷却法では燒成物は皆α2CaO・SiO2とγ2CaO・SiO2との混在物である。
    2. 燒成温度が1,500℃から次第に増すに從ひ上記の冷却法でも冷却生成物は次第にγ2CaO・SiO2の量を減じα2CaO・SiO2の量を増し1,700℃位では殆んど純粋に近いα2CaO・SiO2となる。
    3. 自然冷却した燒成物は皆γ型に變る筈であるが事實はその中にもα2CaO・SiO2が混在し純粋なγ2CaO・SiO2は得難い。
    4. α及γ2CaO・SiO2の混在する燒成物中のα2CaO・SiO2を除き純粹なγ2CaO・SiO2を得るには (a) γ2CaO・SiO2はダスチングを起し微粉をなすので篩分けて微粉のみを集めること (b) γ2CaO・SiO2の安定温度範圍で繰返し加熱して混在するα型をγ型に變へること (c) 混在するα2CaO・SiO2を注水によつて溶出すること等によつてその目的を達し得ることが分つた。
    5. 熱分析によればγ2CaO・SiO2は700℃附近に熱變化の表れを見る。これはγ→βの變態を示すものであらう。α2CaO・SiO2, 3CaO・2SiO2等は700℃近邊に微量の熱變化が見えるが之は混在するγ2CaO・SiO2がγ→βの變態を示すことによるものであらう。
    6. 以上の結果からα〓β, α〓γは遲鈍型の變態 (Slugish inversion) でありβ〓γの變態は極めて急速で所謂高低温度型のの變態 (high-low inversion) と考へられる。
    7. 3CaO・2SiO2中にはX線分析, 顯微鏡觀測及熱分析結果からγ2CaO・SiO2の存在が考へられ3CaO・2SiO2の存在は尚ほ吟昧してみる必要がある。
    終りに本研究は山本奬學資金並に本校創立滿二十五年記念奬學資金の補助を受けた。著者等は衷心感謝の意を表するものである。
  • 伊藤 九郎
    1939 年 47 巻 554 号 p. 82-88
    発行日: 1939/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 粘土類の加熱脱水状況
    内田 宗義
    1939 年 47 巻 554 号 p. 89-91
    発行日: 1939/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
    本覺書中 “粘土類の加熱脱水状況”, (1)-(5) の記述の摘要を行ふ。以下記す通りである。
    (a) 下記粘土類に就て凡て同樣なる條件のもとに加熱減量曲線を作圖し, 他の文獻中より關係曲線を引用比較し, 且つ化學分析その他の記述を行つた。而して曲線はその特性を吟味し, 特にベントナイト蝋石との曲線に就ては混合物系の減量曲線をも參照して相互の關係を論議した。
    (イ) 朝鮮カオリン, 博山カオリン, 朝鮮加沙島陶石,
    (ロ) 三石白蝋石, 三石半透明蝋石, 三石中石, 勝光山白蝋石,
    (ハ) 白雲母, 村上粘土, 花岡粘士, 緑泥石, 蛇紋石, 滑石,
    (ニ) 好地石, 大峠白土, 酸性白土,
    (ホ) 朝鮮産酸性白土, 伊豆ベントナイト, ベントナイト (北海道岩内, 長野縣共和村, 米國ワイオミング産)
    (ヘ) 方沸石, 斜方沸石, 人工沸石
    (ト) 三石ダイアスポア, ジヨホール産ボーキサイト上表中酸性白土に關しては特に成因等に就ても稍詳しく論じた。
    (b) 加熱減量曲線 (大氣中) の形式に就て簡單な論述を試みた。即ち曲線は次の諸項目によつて特性付けられる。(イ) 低温度水 (100-500℃) の脱出樣式, (ロ) 高温度水 (500-1000℃) の脱出樣式, (ハ) 主化合水の脱出樣式, (ニ) 主曲線中に現はれる二次階段の出現。
    而して特に低温度水に就ては, (イ) 100℃以下の水は250℃附近まで殘留する傾向あり, (ロ) 殊に原分解状態を保つ膠質粘土, 特に膠質珪酸量多き者, 可溶性乃至可置換鹽基多き者等の低温度部曲線は最初特に上方へ凸となる傾向著しきも (ハ) 一旦分解後通水乃至鹽基の流失を受けたる膠質粘土の低温部曲線は相當の傾斜を有する直線に近づく傾向あり, (ニ) 膠質性ならざる又は膠質を含まざる者の低温部曲線は殆んど横軸に沿う。
    また次の如き場合に曲線は小階段を持つ可能性あり。(イ) 他の粘土礦物の著量の混合乃至混晶, (ロ) 加熱によつて變態乃至化合物生成の場合。而して (ハ) 單なる混合の場合は合分物質の各曲線の機械的平均曲線を得るも, 合分間に何等かの相互影響ある場合は單なる機械的平均曲線を得ず。
    混合系に就ては特に次の混合物の減量曲線を作圖した。(イ) 朝鮮磁土-ベントナイト系, (ロ) 珪酸ゲル-ベントナイト系, (ハ) 珪酸ゲル-村上粘土系。
    (c) ベントナイトとパイロフヰライトとの間の加熱減量曲線の關係を吟味し, 既に得たる推論 (著者, 窯協誌, 昭13, 4月, 46, p. 173) を支持する如き次の推論結果を歸結した。
    モンモリロナイトは成因的には恐らくパイロフヰライトに移化し得られ, 後者は前者の一層安定なる他の高温型状態と考へ得る。即ちパイロフヰライト結晶の表面 (乃至層格子間) に鹽基殘存し, silicalayerは充分安定にして單一なる規則正しき配列を取るに至らず, 即ち界面活性を殘存する如き場合がモンモリロナイトに他ならず。而して界面の不規則性乃至活性は珪酸, 礬土乃至苦土相互間の部分置換によつて強化乃至保持せられ, 加熱脱水によつて層格子間の接近するやこれ等置換物質の存在が抵抗皮膜を形成する結果パイロフヰライトの500-550℃の脱水を約50℃内外遲滯せしめる原因となる。またこの界面の不規則性は結晶面間の結合を妨げ, 加熱脱水に關する表面増大の効果, 即ち脱水反應速度の増大を來たす結果となり, 表面に水和能大なるイオン緩き結合状態にあれば膨潤性の發現となり, 又若し表面に脱珪による過剰の膠質珪酸存在すれば, 平均膨潤量小となり浸滲天水の通過を容易ならしめ, かくて鹽基の流亡の結果水素粘土化し, 水中に於て完全水解型の所謂酸性白土となる。但しベントナイトとパイロフヰライトとを區別するに特に苦土が熱に對する安定度に對し又物理化學的性質に對し重要なる區別の原因をなす傾向著しきも今はその行動に關しては明にし得ず。
    本研究は日本學術振興會の援助によつて行はれたるものなる事を付記して感謝の意を表する。
  • 分類に就て
    内田 宗義
    1939 年 47 巻 554 号 p. 91-94
    発行日: 1939/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1939 年 47 巻 554 号 p. 95-105
    発行日: 1939/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1939 年 47 巻 554 号 p. 106-113
    発行日: 1939/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1939 年 47 巻 554 号 p. 117
    発行日: 1939/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 1939 年 47 巻 554 号 p. 118-119
    発行日: 1939/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
  • 熊澤 治郎吉, 小林 作平, 五十川 克己
    1939 年 47 巻 554 号 p. ap17-ap23
    発行日: 1939/02/01
    公開日: 2010/04/30
    ジャーナル フリー
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