(1) 前報に引續きK
2O-Al
2O
3系に於けるβ-Al
2O
3の合成試驗を行つた. 原料調合はK
2O 30-70%, Al
2O
3 70-30%の成分範圍内で5種の試料を水酸化アルミニウム及炭酸曹達を用ひて行つた. 調合物は熔融状態を示す迄燒成し次で鹽酸洗滌により精製した. これら合成試料に就ては諸試驗を行つて見た.
(2) 鹽酸處理後に於ける諸試料はすべて類似の化學組成を示し全分析の結果Al
2O
3 92.48%及K
2O 7.04%を主成分として含んでゐた. しかし其他に僅か乍ら不純物が存在するので補正して計算した結果その實驗式は殆どK
2O・12Al
2O
3に一致する事を確め得た.
(3) 合成試料に就て行つた比重測定, 顯微鏡觀測並にX線分析の結果之等はさきにしらべたSoda β-Al
2O
3に比し比重及屈析率に於てやゝ大なる値を示したが結晶形及光學性は全く同一で又X線粉末寫眞も殆ど相等しく共にβ-Al
2O
3型の内部構造を示す事が知られた. 但しd (格子間距離) の詳細な觀測の結果之もSoda β-Al
2Oより僅かに大であつた.
(4) アルカリーAl
2O
3系に於けるβ-Al
2O
3合成試驗の總括としてAlkali Aluminat-α-Al
2O
3系に於けるSoda β-Al
2O
3及Kali β-Al
2O
3の相律的關係を考察して見た. 其結果β-Al
2O
3はNa
2O 4.82%, Al
2O
3 95.18%又はK
2O 7.15%, Al
2O
3 92.85%の位置に生成する一種の分解型化合物であつてα-Al
2O
3の一變態なりとする説並に固溶體なりとする豫想も當嵌らない事を知つた.
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