本報, 敍述し來つた處を概括, 摘記すれば下記項目に要約さる.
(i) 從來の方法に於ては, セメントの表面積を探求するに當つて, 理論的, 根本的な考察, 批判, 究明に缺くる所あつてか試驗に勞多くして, 結果に信頼し得るものが尠なかつた.
(ii) 其の一例として, H. Kühl氏等の方法を擧げ, 該法と多少考察を加へたる此の方法とによる結果の相違は, 數十パーセントに達することを例示した.
(iii) 理論的考察と實驗的究明とにより, 更に眞値に近きセメント表面積を得る爲, 既往第1, 2, 3報所述の實驗的事實に立脚して論旨を進めた.
(iv) 粉末の表面積算出には, 微分, 積分法によるを可とし, その演算の前提となる 『
粒子の統計的形状の相似性』 は第3報によつて肯定され, 是を利用した.
(v) 表面積算出積分式中の粒子分布を表す函數には, 第3報所報の多數セメントよりの歸納的結果たる實驗式を適用し, 猶, 實用價値を高むる爲, 該式の普遍, 簡單化を計つた.
(vi) 表面積算式中の恒數に關し, 第3報 『
セメント粒子の形状に就て』 の試驗結果と數學的性質とを併考することにより, それを決定し此の際, 粒子徑として粒子の幅又はGuttmann徑を採用すべきことを述べた.
(vii) 積分の上限, 下限に對して, 實際上有意義にして適切なる値を與ふることが出來た.
(viii) 以上の如くして究極の算式を得, 更に進んで, 眞値に可成り近く, 且, 日常試驗に便なる表面積探値用の四つの表を作製した. 又, 各種の場合に應ずる爲, 其の利用法を示した.
尚, 此の研究に懇篤なる御指導援助を賜つた淺野セメント研究所長藤井光藏氏に對し深厚の謝意を表す.
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