Maintaining large local inventories of printed materials that are widely duplicated at other institutions and in digital form is no longer an important library contribution to an academic institution's research or teaching mission. These print collections have very little use, electronic information forms are preferred, and there is evidence that faculty are becoming more comfortable with remote access and electronic provision. Academic libraries should move to a shared collection model relying on supply services from remote storage facilities or other academic libraries that have declared a commitment to preserve print copies. For a reliable new system of print provision to emerge a network of supply repositories and committed consumer institutions must be established along with a business support infrastructure. Such a model would be more cost-effective, make available valuable campus space and allow libraries to concentrate resources on the provision of services that support teaching and research.

多くの機関で重複して所蔵し，デジタル化されている大量の印刷体資料を自館で維持することは，もはや学術機関の研究や教育の使命にとって重要な貢献ではなくなっている。これらの印刷体資料の利用は非常に少なく，電子化された情報が好まれ，教員はリモートアクセスや電子的な提供をますます好んでいるという証拠もある。大学図書館は，キャンパス外の施設での保存，あるいは印刷体資料を保存すると宣言した他の大学図書館からの供給サービスに依存する，共同蔵書構築モデルへと移行すべきである。印刷体資料を提供する信頼できる新しいシステムのために，供給用の保存書庫と関心を示す利用機関のネットワークを形成し，ビジネスを支援するインフラの形成がともなわなくてはならない。このようなモデルはより対費用効果も高く，キャンパスのスペースの価値を高めることができ，図書館が教育や研究を支援するサービスの提供に集中させることができる。

This article describes the development of the Committee on Institutional Cooperation (CIC) Shared Print Repository and the particular role of Indiana University in that development. In addition, the author gives a history of the CIC, a group of twelve research level universities located in the Midwestern section of the United States. The CIC Shared Print Repository is one of many innovative collaborations undertaken by the CIC Center for Library Initiatives. Articulated in the article are the CIC Shared Print Repository goals, core principles, governance structure, and policies. The rationale for taking a centralized approach to the repository is explored. And, the reasons for selecting Indiana University as the first host site for the CIC Shared Print Repository are described. The repository is cited as a rich example of the power of collaboration and cooperation, as envisioned by Indiana University's late President Herman B. Wells, who founded the CIC in the 1950s.

本稿は，Committee on Institutional Cooperation (CIC)による共同紙媒体資料の保存書庫の発展およびその展開におけるインディアナ大学の特別な役割について報告するものである。さらに，CICの歴史，すなわち，米国中西部にある12の研究大学についても触れている。CICの共同保存書庫はCICのCenter for Library Initiativesによる革新的な共同事業の一つである。CIC共同保存書庫の目標，核となる方針，ガバナンス構造と方針について報告し，保存書庫を集中方式とした根拠を述べている。1950年代にCICを設立した故Herman B. Wellsインディアナ大学学長の思いに込められたように，この書庫は協働と協力の力を示す優れた例として言及されている。

The Western Regional Storage Trust (WEST) is a distributed, retrospective print journal repository program whose members include 102 academic libraries in 17 states in the western United States. About a dozen WEST Archive Holders (so far) have agreed to retain designated titles through the year 2035 at major library storage facilities and at selected campus locations across the region. A smaller number of Archive Builders agreed to proactively consolidate and validate print journal backfiles to create complete runs. WEST performs a sophisticated holdings comparison annually to prioritize titles for archiving based on risk analysis: the degree of risk determines the level of archiving effort applied to that title. WEST archivers disclose archived holdings in OCLC WorldCat and in CRL's PAPR knowledgebase. WEST is funded by member fees and by a grant from The Andrew W. Mellon Foundation, to support archiving efforts by Archive Builders (and other program costs).

アメリカの西部地域保存団体（Western Regional Storage Trust, WEST）は，分散型の冊子体雑誌遡及保存事業を行っており，米国西部の17州から102の図書館が参加している。現在約15あるアーカイブ・ホルダー（冊子体雑誌を共同利用するための保存機関）は，指定された雑誌を2035年まで主な図書館保存施設や地域内にある選ばれたキャンパスに保存することになっている。また，少数ではあるがアーカイブ・ビルダー（今後保存をするべく準備中の機関）は，ある冊子体雑誌を欠号なく揃えられるよう率先して各館の所蔵を統合整理・精査することになっている。そのためにWESTは蔵書の比較調査を毎年行い，ある冊子体雑誌が読めなくなるといった事態にならないようどれを保存すべきか優先順位をつけている。すなわち，危機の度合いはその雑誌に適用される保存活動のレベルを決めるものとなる。WESTはOCLC WorldCatとCenter for Research Libraries （CRL）が提供しているPrint Archives Preservation Registry Project（PAPR）ナレッジベースで保存に関する情報を公開している。WESTは加盟館の会費とAndrew W. Mellon財団からの助成金によって運営され，アーカイブ・ビルダーによる保存活動（及びその他事業に必要な費用）を支援している。

2010年10月から2012年3月にかけて慶應義塾大学メディアセンターが国内学術出版社等と連携して進めてきた「電子学術書利用実験プロジェクト（e-KOllection プロジェクト）」の報告である。大学図書館での利用を想定したプラットホームを開発し，実際に学生に提供しながら評価を重ねることで，大学図書館がサービスする電子書籍について，多様な業界・コミュニティとともに検討することが本プロジェクトの目的であった。慶應単独実験は2012年3月で終了したが，2012年秋から複数大学による共同実験として進める予定である。本稿では，e-KOllection プロジェクト誕生の背景，立ち上げ当時の課題，現行の組織について概観し，さらに学生モニター利用実験を通して得た成果と課題，今後の展望について述べる。

前半で，2011年11月に発表された国立大学図書館協会・学術情報委員会の報告書「電子環境下における今後の学術情報システムに向けて」における学術情報システムの今後の課題及び電子出版物の「資源共有」の課題と総合目録の意義，大学図書館間の相互協力と国立情報学研究所との協力連携の強化について説明する。後半では，「報告書」では取り上げなかった電子出版物の資源共有以外の特性とそこから生じる大学図書館の課題（①入手と提供，②資料保存）について述べ，これに対して大学図書館が連携して関係機関や出版関係者と協働することを提案する。

フランス国立図書館では，1990年という早い段階から資料の電子化を開始し，2008年以降は年間平均10万点のペースで電子化を進めている。大量電子化の推進とともに，ここ数年は，特に電子コンテンツの公開や活用方法において，先進的な取り組みを行っている。本稿では，フランスにおける電子化事情について，国立図書館や大学図書館での事例を紹介しながら報告する。また，資料電子化の今後の方向性および図書館員の役割についても考察する。

明治大学図書館では，2012年4月25日より，授業名・教員名からOPACを検索できる機能の提供を開始した。この仕組みは，授業シラバスにNDC分類を付与し，それを使ってOPACを自動検索することにより実現している。本稿では，この機能を実装した経緯及び開発過程と今後の計画について報告する。

2011年秋，国立大学図書館協会地区助成事業の一環として行われた2010年のイベントを引き継ぐ形で，九州地区の大学図書館は図書館の利用促進と学生の読書推進を図ることを目的に「Library Lovers'キャンペーン2011」を実施した。異なる機関に所属する図書館職員をメンバーとしたワーキンググループを形成し，メーリングリストの活用やソーシャルメディアを取り入れたインターネット上の広報などで互いに連携しながら，利用者参加型のイベントの企画と運営を行った。イベント実施の経緯とキャンペーン参加館の取り組みについて報告する。

「アメリカ同時多発テロ事件＝9.11」以降，米国大学図書館のリスクマネジメントは急速に進み，各館が位置する環境下において，その優れたプランとスキルをスタッフの高い意識により今日に繋いでいる。日本の大学図書館もまた，2011年3月11日の「東日本大震災」によって，より現実的なリスクマネジメントと向き合うことをせまられている。ここでは，今後の道標となるべく，視察調査事項の報告を中心に，日本の大学図書館が置かれている災害対策の現状を踏まえ，新たな方向性も示唆する。