日本在宅ケア学会誌
Online ISSN : 2758-9404
Print ISSN : 1346-9649
15 巻, 2 号
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目次
特集:震災と在宅ケア
総説
  • 松下 由美子
    原稿種別: 総説
    2012 年15 巻2 号 p. 25-34
    発行日: 2012年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

    本文献検討の目的は,一人暮らし認知症高齢者に関する研究を概観し結果を整理することである.「一人暮らし」「認知症」「高齢者」をキーワードに検索し33 文献(英文献24 件,和文献9 件)を検討した.

    先行研究の結果は,1 )認知症高齢者の一人で暮らす「思い」,2 )一人暮らし認知症高齢者の「社会的属性」,3 )一人暮らし認知症高齢者の「ADL・IADL 能力」,4 )一人暮らし認知症高齢者の「社会サービスとネットワーク」,5 )一人暮らし認知症高齢者が抱える「リスク」,6 )一人暮らしが「認知症の発症と診断に与える影響」に分類できた.また,これらの内容を検討し,一人暮らし認知症高齢者のケアサポートのあり方について「支援ネットワークによる早期介入の確立」「認知症状および生活能力に対する医療従事者の正確な診断・アセスメント」「社会サービスに対する効果の評価」「一人暮らし認知症高齢者の思い,体験の理解」の4 つの示唆が得られた.

研究
  • 小笹 優美, 諏訪 さゆり
    原稿種別: 研究
    2012 年15 巻2 号 p. 35-44
    発行日: 2012年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

    本研究の目的は,認知症グループホーム(以下,GH)で生活し医療処置を必要とする認知症高齢者のケアにおける訪問看護師のケア行動の特性を明らかにすることである.GH における参加観察と訪問看護師,介護職らへのインタビューを行い,訪問看護師の行動を質的に分析した.結果,訪問看護師の行動は,《医療処置にかかわるケアの必要性について関係者間の合意形成を促す》《医療処置を含むケアに関して本人に合った方法を提案,説明し,理解を促す》《本人,GH ケアの現状を踏まえてケア体制を整える》《医療処置を実施するうえで介護職,家族の担う不安や負担を軽減する》《悪化予防のケアがGH で定着化されるように促す》の5 つが抽出された.訪問看護師は介護職に対し医療処置にかかわる知識,技術を助言するだけでなく,将来的な悪化のリスクを踏まえてケア体制を整備し,予防のためのケアがGH で継続的に着実に実施できるように介護職をケアの主体者として尊重しながら他ケア関係者らとのケアの必要性やケア役割を合意形成し,調整を図るケア行動をとっていた.

資料
  • 山田 正実, 平澤 則子, 飯吉 令枝
    原稿種別: 資料
    2012 年15 巻2 号 p. 45-52
    発行日: 2012年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

    本調査の目的は,慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者のセルフマネジメントや日常生活の実態,健康関連QOLからヘルスケアニーズを把握することである.A 地域の医療機関で外来治療を継続しているCOPD 患者を対象に,アンケート調査を実施した.有効回答は74 人(96%)で,患者の平均年齢は73.9 歳,男性71 人,女性3 人であった.平均治療期間は79.3 か月,在宅酸素療法患者は21 人(28.4%)であった.

    息切れの強い患者は,増悪が重症化しやすく,日ごろから感染予防と健康的な食事に注意していたが,日常生活動作(ADL)に困難があり,「息切れを軽くするADL の工夫」に関する情報ニーズが高かった.また,全体の半数に,疾患に関する情報ニーズがあった.sf-36 の平均値は,身体機能や役割機能は低いが,心の健康は比較的高かった.今後は,安定期を維持するためのセルフマネジメントに関する情報や,生活の質を確保するために,対象者の個別性に配慮した環境整備や動作の工夫といった具体的な情報を提供していく必要がある.

  • 片平 伸子, 藤川 あや, 渡部 月子, 上野 まり, 北岡 英子
    原稿種別: 資料
    2012 年15 巻2 号 p. 53-60
    発行日: 2012年
    公開日: 2025/03/31
    ジャーナル フリー

    [目的]本研究の目的は認知症高齢者グループホーム(以下,GH)における看護提供の実態,効果および課題を明らかにすることである.

    [方法]A 県の看護職を雇用しているGH の管理者8 人と,訪問看護ステーションと契約しているGH の管理者7 人を対象に半構成的面接調査を行い,質的に分析した.

    [結果]看護提供の効果として【利用者の状態変化の察知,予測ができる】【緊急時・終末期の対応が円滑にできる】【介護職の安心が得られる】等があった.一方,課題としては【経済面の課題がある】【家族・他職種との連携に関する課題がある】等があった.

    [考察]利用者の心身の状態のアセスメントをして必要時医療につなげることや,介護職を医療面から支えることがGH における看護においては重要と考えられた.また,GH における看護には経済面や活動の範囲,介護職への教育に関する課題などがあり,GH への看護職の配置を促進する公的な補助の検討等が求められる.

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