本研究の目的は,介護支援専門員がとらえる男性介護者の特徴をまとめ,男性介護者に対する支援を考察することである.北陸地域3県の公式ホームページで公表されている地域包括支援センターと居宅介護支援事業所を検索し,各県内のすべての施設を調査対象とし,それらに所属する介護支援専門員を対象に郵送法自記式質問紙調査を実施した.その結果,介護支援専門員がとらえる男性介護者の特徴として,373コードが抽出され,20のサブカテゴリー,7カテゴリーに分類された.7カテゴリーは【介護に真摯に取り組む】【閉鎖的な介護生活】【ケアに関する課題】【家事に関連する困難】【就業・経済的な課題】【さまざまなサービス利用のようす】【関係性に関連する難しさ】であった.男性介護者は,真面目に介護する反面,閉鎖的な介護生活に陥りやすく,さまざまな課題を抱えている.また,続柄(夫・息子)別にも特徴があり,それらを踏まえた支援が必要である.
本研究では,中年期にある血液透析患者が抱く負担感が抑うつ状態に与える影響,ならびに身体機能と経済状態が負担感と抑うつ状態に及ぼす影響を検討した.調査は40〜65歳の血液透析患者224人に無記名自記式質問票を用いて実施し,負担感はthe Self-Perceived Burden Scaleを,抑うつ状態はCES-D尺度を用い,身体機能はKDQOL-SFにより測定した.負担感,身体機能,経済状態が抑うつ状態に与える影響は共分散構造分析を用いたパス解析によって分析した.分析対象210人の性別は男性63.8%,女性36.2%であり,平均年齢55.9歳であった.分析の結果,負担感から抑うつ状態へのパス係数は0.184(p < 0.001),身体機能と経済状態から負担感へは,- 0.104(ns),- 0.182(p < 0.05),抑うつ状態へは,- 0.282(p <0.001),- 0.313(p < 0.001)であった.経済状態は抑うつ状態と負担感を高め,さらに負担感が抑うつ状態に影響を与えることが示された.年齢層が異なる血液透析患者において,本知見を検証することが今後の課題である.
本研究は,訪問看護ステーション(以下,ステーション)管理者が新卒看護師に望む在宅看護実践力と採用意向との関連を明らかにすることを目的とし,A県498か所のステーション管理者に,郵送による自記式質問紙調査を行った(回収率34.1%,有効回答数168件).内容は,在宅看護実践力(基本姿勢と態度,利用者に即した看護実践等の計73項目)の到達度と採用意向で,分析はχ2検定を用いた.結果,採用意向のない管理者は意向のある管理者よりも,在宅看護実践力73項目中40項目において,到達を望む割合が有意に高かった.利用者おのおのに即した看護実践32項目中では,「急激な状態変化にある利用者に治療が及ぼす影響について理解できる」等の25項目において同様の結果を認めた.採用意向のある管理者は,「学生が自己課題に向けて自主的に学習ができる」ことを望む割合が高かった.看護基礎教育での在宅看護実践力における到達目標の検討の必要性が示唆された.
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