シラウオ科の類縁にっいての定説はなく, キウリウオ, ガラクシス, ニギス類との関係も不明である.よって, シラウオとニギスの鰓弓の構造と性格を研究して知見を求めた.シラウオ類は第4鰓骨の発達により他の硬骨魚類(成魚)と特徴的に異なる.シラウオ類が祖先型の幼生成熟として出現したか否かは別として, 内部骨の骨化の一般的欠如と上記の下鰓骨の発達より, 鰓弓構造の胚仔的であることは明らかである.ニギス類の鰓弓構造は他の硬骨魚類と近似してはいるが, その基舌骨の延長と舌咽歯の1, 2列である点でシラウオ類と類似している.また, ニギス類の基舌骨歯の配列は特異であり, その形質はガラクシス, キウリウオ, サケ類にもみられ, 彼等の近縁を示すものと思われる.ワニトカゲギス類の鰓弓は上記の魚類よりも特化し, パイク類のある種類ではより原始的である.以上より, 次の如き構想に到達した.
最近の魚類の分類の理念は上位分類段階(亜目, 上科, 科)の増加にむかい, これは, 共同祖先に発した類似種の総合的分類には役立っが, 系統分類の目的とは離れている.鰓弓の構造と性格より, ニギス, ガラクシス, キウリウオ, シラウオ類は, その近縁群を含めて, 1群と考える.そして, 上記の理念のもとに, これらの魚類の系統分類(P.65)が, 現在, 適切と考えられる.
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