ハオコゼ
Hypodytes rubripinnisの雌の核型は, 2個の中部着糸型と46個の端部着糸型 (2個の付随染色体を含む) の染色体から構成され, 2n=48であった.一方, 雄の核型は3個の中部着糸型と44個の端部着糸型 (2個の付随染色体を含む) の染色体で成り立ち, 2n=47であった.雄の1個の中部着糸型染色体は対をなさず大形で, これはY染色体と1個の常染色体とが融合して生じたneo-Yと考えられた.精母細胞のディアキネシス期と第1減数分裂中期の像には, 22個の2価染色体とX1YX2結合によると思われる1個の3価染色体が認められた.3価染色体の2箇所の結合部のうち, 一方はキアズマ型, 他方は末端型を示し, 前者はneo-Yの形成にあずかった常染色体と, それと相同の染色体 (X
2) との結合, 後者はYとX (X
1) の結合によるものと考えられた.このX
1X
1X
2X
2-X
1X
2Y型複合性染色体は, 日本の5地域 (関東と関西, 太平洋側と日本海側の地域を含む) より得られたすべての個体に所有されていたことから, 本種に普遍的なものと考えられた.
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