台湾から報告されたイサキ科魚類スジミゾイサキ
Pomadasys quadrilineatus Shen and Lin は, 南アフリカから紅海におよぶ西部インド洋から報告されている
P. striatum (Gilchrist and Thompson) や,
P stridens (Forsskål) の同種異名とされてきた.しかし, 前者と後者2種は, 体側の縦線の数と色, 縦線の走り方及び地理分布が異なっており,
P.quadrilineatusは有効である.スジミゾイサキでは, 生時には金色がかった黄色の5本の縦線 (1番目の縦線は, 頭部の項部から第1背鰭棘基部に向かって走る) がほぼ平行に走るのに対し, 後者2種では不明瞭な1本の茶色の縦線 (体側背部外縁に沿って走る) と明瞭な3本の濃い合計4本の縦線がある.なお, 後者2種では, 3番目の縦線は側線に沿って走り, 4番目の縦線と尾柄部付近でっながるようにみえることで, スジミゾイサキとは明らかに異なる.従って, スジミゾイサキは, 後者2種とは異なる東アジアの大陸棚にのみ生息する固有種と判断される.本種は, これまでに台湾からの19個体及び日本からの6個体の25個体のみが知られている.本報告はスジミゾイサキの日本からの2番目の記録である.宮崎県からの記録は本種の最北限の記録になる.学名の安定のために
P.stridens (Forsskål) の新模式標本の指定を行った.
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