魚類学雑誌
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21 巻, 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • Phan Van Ngan, 山森 邦夫, 羽生 功, 日比谷 京
    1974 年21 巻1 号 p. 1-8
    発行日: 1974/07/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    コイ (体重700~10009) の心臓内血圧と心電図とを同時測定するために電極兼用カニューレを考案した. カニューレの挿入は, 心室, 動脈球ならびに背大動脈のいずれか二つに対して行ない, 血圧測定に適するカニューレの太さ, 挿入部位, トランスデューサーの型なども検討した.狭い水槽内に拘束された無麻酔のコイでは, 動脈球における収縮期圧は心室内のそれとほとんど変らないが, 前者の脈圧は, 後者の場合より遙かに小さい.また, 他の魚種におけると同様, 鯛毛細管による血圧の低下が見られ, 心臓内圧の約1/3に達する.安静時には, 心拍数が減じ, かつ, 律動性を失なっており, 心拍動は数回続いてはしばらく休むという経過を繰り返す.
  • William A. Gosline
    1974 年21 巻1 号 p. 9-15
    発行日: 1974/07/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    アメリカのコイ科魚類においては頭部側線感覚管系の眼上管と眼下管は分離しており連絡していない.この点でアメリカ産のコイ科魚類はアジア・アフリカの熱帯産のものと異なるが, ユーラシアのウグイ亜科のものと似ている.特にアメリカのNotemigonusはユーラシアのLeucaspiusと, Laviniaはウグイ属Tribolodonと, Chrosomusはアブラハヤ属MorocoPhoxinusと酷似している.
  • 尼岡 邦夫, 西川 昇平, 田中 伸和
    1974 年21 巻1 号 p. 16-20
    発行日: 1974/07/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    シェイシェル諸島海域から採集されたトゲダルマBothus panthezinus (RüPPell) の二次性徴を調べた結果, 雌雄両性の特徴を現わす1個体を見い出した.この個体は有眼側の胸鰭長, 吻棘, 眼前棘, 眼上皮弁および胸鰭上の斑紋は雄的であるが, 胸鰭基部の鰭膜の形および無眼体側の色彩は雌的であった.この個体の生殖腺は大部分精巣であるが, 左側の精巣に色調の異なる部位が認められた.精巣には第1・第2精母細胞および精子が見られたが, 異常部位では中央部に管状構造物があり, その周辺にはヘマトキシリンに濃染される初期の卵細胞と卵巣の組織がある.これらのことから, この個体は間性であると考えられる. ヒラメ・カレイ類 (Pleuronectiformes) では今までに間性が1例しか報告されていないこと, および性比が約1: 1であることから, この個体は異常な間性であると推定される.
  • 鈴木 克美, 小林 弘治, 日置 勝三, 坂本 隆志
    1974 年21 巻1 号 p. 21-33
    発行日: 1974/07/31
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    1.サクラダイは駿河湾内浦沿岸では潮下帯の岩礁性の海底付近に群生し, 群の生息範囲の上限は水深約15mであるが少数個体は水深7m以深で発見される.
    2.毎月1回1年間採集された標本364尾の内訳は多数の小型の雌 (64.4~124.0mmFL) 73.9%, 少数の大型の雄 (117.5~146.0mmFL) 21.7%, およびごく少数の性転換中の中間型 (111.1~127.0 mmFL) 4.4%であって, 性転換による中間型の発現を除き群中の性比に季節的変動は認められない.
    3.群中の雌の行動範囲は広く海底を離れて拡散し, 雄の行動範囲は狭く海底付近に停滞する傾向が著しい.
    4.産卵期は8~11月, 9月が最盛期である.産卵期には群は浅所に向って拡がり群の上限水深に達するが, 産卵期の終了とともに再びやや深みに戻る.
    5.本種の性転換期は主として産卵後の12~4月で生殖巣の休止期に当ることがわかった.性転換中の個体は常に極めて少数である.
    6.9~10月に採集された群中の最小型個体 (74.1~78.4mmFL) は雌としての生物学的最小形に達していた.周年を通じて群中には65mmFLを大きく下まわる幼魚は存在せず, 群は成魚群と判断された.
    7.鱗と成長量とから0~1才と判定された幼魚 (19.5~54.8mmFL) は成魚群の周辺またはやや深みの海底にむらがる, 幼魚は翌年の夏成魚群に加入し, 雌としての生物学的最小形に達するのは1~2才と判定された.
    8.本種は周年にわたって動物性プランクトンを摂餌する.摂餌量には個体差が著しく, 一方季節的変動, 雌雄差, 体重との相関, 産卵期の影響等はいずれも認めがたい.
    9.卵は直径0.78~0.80mm, 特殊な構造のない分離浮性卵である.ふ化直後の仔魚は全長1.46~1.52mm, 既知のハタ亜科, スズキ亜科のふ化仔魚とは頭部前方へ突出する大きな卵黄とその先端に1個の油球を有すること, および容器内では頭部を上にして懸垂浮游する点で相違する.ハナダイ類の前期仔魚は本種によってはじめて知られた.
  • Jack T. Moyer
    1974 年21 巻1 号 p. 34-36
    発行日: 1974/07/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1973年8月24日~28日に三宅島でニシキベラの産卵行動を観察した.産卵行動は毎日午前10時までに終了した.水温は27℃ であった.産卵に際しては岩の近くに多数の個体が群がり, 海底から30~40cmほどのところに泳ぎ上っては生殖物質を放出するのが観察された.
  • 沖山 宗雄
    1974 年21 巻1 号 p. 37-38
    発行日: 1974/07/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    1969年3, 月18日駿河湾において採集された体長305mmのデメエソ属Benthalbellaの稚魚を既知の同属7種と比較した結果, B.infansと同定された.これは本種の北太平洋における初めての出現の記録であり, これによって本種の汎世界的な分布が確認された.本種が発光性を有することから, 新和名「ヒカリデメエソ」を提唱した.日本近海産デメエソ科魚類はこれで2種となった.
  • 板沢 靖男, George M. Hughes
    1974 年21 巻1 号 p. 39-42
    発行日: 1974/07/31
    公開日: 2010/06/28
    ジャーナル フリー
    Estimation of gill ventilation volume was based on the Fick principle using Po2, difference between inspired and expired waters and the rate of oxygen consumption (Figs.1 and 2).The minute volume and stroke volume of resting unanaesthetised tench inspiring well-oxygenated water was 243-530 ml/kg min and 9.1-13.9 ml/kg, respectively (Table 1).Both minute volume and stroke volume increased and O2 utilization decreased greatly during hypoxia.The increased ventilation is considered to contribute to respiratory homeostasis during the early stages of hypoxia (Fig.3).
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