魚類学雑誌
Online ISSN : 1884-7374
Print ISSN : 0021-5090
ISSN-L : 0021-5090
26 巻, 3 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • Daniel M.Cohen
    1979 年26 巻3 号 p. 225-230
    発行日: 1979/12/15
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    イソアイナメ属Lotellaは,上顎外側に1列の大きな歯があり,小さな歯からなる内側の歯帯と分離し,発光器が無い.チゴダラ属Physiculusの上顎歯は大きさが一様(大小の歯が分離しない)で,腹部発光器が有る。ホソダラはイソアイナメ属に移され,南支那海まで分布域が拡大された。イソアイナメムphycis(属の模式種)と,ホソダラL.tosaensisの簡単な記載を行った.エゾイソアイナメPhysiculus maxmowicziはチゴダラ属に移され,多分チゴダラP.japonicusのJunior synonymである.
  • 中坊 徹次
    1979 年26 巻3 号 p. 231-237
    発行日: 1979/12/15
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
    西部インド洋, Saya de Malha Bankより1新種を含む3種のネズッポ属魚類が採集された.新種Col-lionymus reganiは尾鰭中央部軟条の1本 (稀に2本) の先端が分枝していないこと, 体側に4個の大きな褐色の斑点を持つこと, そして体の側面から腹面にかけて雌雄共にセピア色である点で近縁種と明瞭に区別される.他の2種, C.gardineriC.spinicepsは第2番目の記録として, 新たに見い出された形質を付け加えて記載した
  • 荒井 孝男, Tornio Iwamoto
    1979 年26 巻3 号 p. 238-246
    発行日: 1979/12/15
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
    水産庁開洋丸のオーストラリア・ニュージーランド沖漁場調査の際, タスマニアとニュージーランド沖より得られたソコダラ科の1新種Coelorinchus kaiyo-maruを記載した.本種は吻が長く鋭く尖り, 吻長が眼窩径の1.4~1.9倍, 鼻骨中・側突起が吻の前側縁に沿って癒合しない;眼下隆起縁上の変形鱗列は後鼻孔下から2列になる;吻部上面両側の無鱗域は極めて狭い;胴部を暗青色の帯が完全に取巻いている;発光器は肛門直前の小黒色無鱗域で極めて短く, 二次発光腺を欠くことで他のトウジン属の種と区別される.米国エルタニン号によってフォークランド諸島沖より得た1個体は体部の鱗上の中央棘列が肥大しない等の点を除いて, ニュージーランド・タスマニア産のものと明瞭な相異は認められなかった.この相異が地理的なものか, 種を異にするものかは, 将来多くの標本を基に検討する必要がある.尚, 本種は最近C.innotabilisa大型個体として報告された (Iwamoto, 1978).
  • 望月 賢二
    1979 年26 巻3 号 p. 247-252
    発行日: 1979/12/15
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
    青ケ島及び沖縄近海から得られた標本に基づき, 新種バケムツNeoscombrops pacificusを記載した.また, このバケムツが南アフリカから報告されているN.annectensとは別種であることを明確にするため, N. annectensの新模式標本を指定し, 再記載を行った.この両種は, 側線鱗数, 横列鱗数, 尾柄高などの形質で明瞭に区別される.
  • 多紀 保彦, 勝山 明里
    1979 年26 巻3 号 p. 253-265
    発行日: 1979/12/15
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
    Punti (Plltes ProctozysronPuntioplites waandersiは東南アジアに分布するコイ科魚類である.それぞれの種の計数形質には明らかな地理的変異が認められ, また調査したすべての計数・計測値について両者間で範囲の重複が見られる.この2種を分ける顕著な形態的差異は唇鰭主不分枝軟条の性質, すなわちP.pro-ctozysronでは後縁に鋸歯がありP.waandersiでは鋸粛がないという点のみである.この差異は同一種内の二型に由来するものではなく, 両種はごく近縁の, 従って同一属に属する別種であると判断される.また, P.waandersiはこれまでPuntius属の種として記載されることが多かったが, Puntioplitesを独立の属と認め, 両種をこの属に属せしめることが妥当と考えられる.
    動物地理学的検討に基づけば, 1).waandersiは, 現在の島しょ部を含む東南アジアー帯がひとつの陸塊を形成していた古第三紀あるいはそれ以前には, この地域に広く分布していたもので, 現在メコン河中流域に限られている大陸部での出現は遺存的分布を表わしているものと推定される.他方P.proctozysronP.waandersiあるいはそれに近い祖先型から大陸部で出現したものと思われる.このほか, インドシナ半島の地史について若干の動物地理学的検討をおこなった.
  • 梅澤 俊一, 渡部 英機
    1979 年26 巻3 号 p. 266-272
    発行日: 1979/12/15
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
    メダカの呼吸に及ぼす群効果を流水式及び密閉止水式呼吸室を用い調査した.酸素消費量は夢ポーラログラフ酸素電極により測定した魚の呼吸前後の水の溶存酸素量の差から求め, また呼吸頻度は流水式の場合のみ鯉蓋の呼吸運動に伴う筋電位を白金電極により記録して調べた.呼吸室に入れられた単独個体のメダカは, 鏡によってその鏡像を眺め, あるいは周囲に配した同種のメダカに接した場合に, 酸素消費量及び呼吸頻度を変化することはなかった.他方, 密閉止水式の場合, 一定量の水における各単独個体の酸素消費量は, 各個体をそれぞれ一定量の水に分離収容した場合より, それらの魚をまとめてそれぞれの水の総量に等しい水においた場合の方が僅かに少ないという傾向を示した.しかしその差は小さく, 従ってメダカの呼吸は群効果をうけないものと考察した.
  • 油井 龍五, 本間 義治
    1979 年26 巻3 号 p. 273-281
    発行日: 1979/12/15
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
    カワヤツメの視床下部について, ゴルジ渡銀法を用い観察したところ, 視束前核が脳脊髄液接触ニューロン (CSF-Cニューロン) に同型の多数の神経分泌ニューロンと, 少数の水平細胞から構成されていることが分った.また, 視束前核の腹方には, これらとは別なCSF-Cニューロンが存在していた.視床下部後方にある視床下部背方核と視床下部腹方核には, 脳室突起をもっCSF-Cニューロンがみられた.同じく視床下部後方陥凹核には, 膨瘤をもつ突起を伸ばしているCSF-Cニューロンが認められた.神経葉にHRPを投与して逆行性に軸索輸送させると, 10~12時間後には視束前核の神経分泌ニューロンのほかに, 視床下部背方核と視床下部腹方核のCSF-Cニューロン群が標識されていた, 上記の結果は, カワヤツメの神経葉が神経分泌性神経線維のほかに, 第III脳室側壁に存在するモノアミン性CSF-Cニューロンによって神経支配されていることを示唆している.
  • 田北 徹, 岡本 英二
    1979 年26 巻3 号 p. 282-288
    発行日: 1979/12/15
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
  • 木村 紀彦, 工藤 重治
    1979 年26 巻3 号 p. 289-301
    発行日: 1979/12/15
    公開日: 2011/07/04
    ジャーナル フリー
  • 後藤 晃, 長谷川 敏和, 山崎 文雄
    1979 年26 巻3 号 p. 302-307
    発行日: 1979/12/15
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
    電子顕微鏡観察によって, カンキョウカジカCottus hangiongensisの産卵期の雄成魚の腎臓の近位細尿管上皮細胞中に, 卵形をした顆粒が多数存在することが認められた.顆粒は, 細胞基底部では小形 (約0.4μm) で数も少ないが, 細尿管内腔に向かうに従って大形 (最大約2μm) になり, 数も増加した.内腔に面した上皮細胞の自由面は, 絨毛 (microvilli) と繊毛 (cilia) から構成された刷子縁によって縁どられていた.刷子縁には数多くの舌状突起がみられ, 突起中には, しばしば大形の顆粒が内腔に突出した状態で存在するのが観察された.
    以上の結果から, これらの顆粒は, 近位細尿管上皮細胞の基底部で産生され, 内腔に移行しつつ生長し, 最終的には分泌顆粒となって内腔に排出されるものと推測される.顆粒の起源については, 細胞基底部でミトコンドリアからの移行像が観察されたことから, この顆粒はミトコンドリアに由来するものと推察される.また, その機能に関しては, カジカ属魚類の産卵習性に何らかの役割を有している可能性がある.
  • 川口 弘弊
    1979 年26 巻3 号 p. 308-311
    発行日: 1979/12/15
    公開日: 2011/02/23
    ジャーナル フリー
feedback
Top