韓国の子どもの教育に対する母親の関与は,既存研究において犠牲的な役割として描かれてきた.しかし,それらの説明は女性をめぐる社会的変化を十分に踏まえていない.そこで,本稿では,高学歴専業主婦の教育への関与の質的特性を韓国の女性雑誌『主婦生活』から明らかにすると同時に,そうした特性が生じる社会的文脈を考察した.
母親の関与は,情緒的サポートが中心であったが,90年代後半から教育マネジャー化した.具体的な特徴には,1)高学歴の活用,2) 仕事化(業績主義的評価が可能なタスク化),3)賢母良妻規範に還元されない高い自律性が見られた.それは「やむを得ずやっている犠牲」というより自分らしさの探求を通じた「自己実現としての母」の姿をしている.
教育する母は,女性の高学歴化,自己実現意識の増大,専門職既婚女性の増加,そして家族の中の女性の地位の変化という社会変動の中で生まれた高学歴女性の選択肢なのである.
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