わが国のひとり親家族の多くが経済的に困難な状態にあるということが, なかば “自明視” されていて, なぜ経済的に困難なのかという点については, これまで, 説得力のある説明がなされてきたとは言えない。しかも, ひとり親家族における生活困難な状況は, 経済的貧困という実態によるだけではなく, “ひとり親家族であること” が直接的・間接的な要因になっている場合が少なくない。
本稿では, まず, (1) ひとり親家族の生活困難な現状を既存データにより明らかにし, 次に, (2) 経済生活に焦点をあてて, 「なぜひとり親家族の多くが貧困なのか」という問題について考察している。そのうえで, (3) ひとり親家族の生活困難な状況について, 社会的排除アプローチに依拠して検討するために, 「社会的排除」概念を明確にするとともに, (4) ひとり親家族を排除するメカニズムについてモデル化し, 最後に, (5) ひとり親家族を包摂する施策について提案している。
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