腎代替療法 (RRT) を開始した低・異形成腎14例を対象に,RRTの選択と開始時期について検討した。対象症例のRRTの開始時平均年齢は11.5±5.8歳,診断から開始までの平均期間は6.7±3.7年, 開始時平均eGFRは10.1±3.1ml/min/1.73m
2で,RRT開始時まで尿量は保持され,血清電解質値はほぼ良好にコントロールされていた。RRTの内訳は先行的腎移植 (PEKT),透析が各7例で,PEKT群のRRT開始時eGFRは12.0±2.9ml/min/1.73m
2で,透析群の8.6±2.3ml/min/1.73m
2より有意に高かった。一方,透析群の7例中4例は直前の予期しない入院イベントを契機に透析が開始された。低・異形成腎は腎不全の進行スピードが一定であることから,十分な術前準備が可能で,PEKTの良い適応になることが示された。そして,腎移植を安全に施行するため,腎移植手術は比較的早い時期に設定されていることが示された。一方,RRTで透析を開始する場合には,無症候であってもeGFRが10ml/min/1.73m
2前後になったら透析を開始するのが安全と思われた。
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