土木学会論文集F4(建設マネジメント)
Online ISSN : 2185-6605
ISSN-L : 2185-6605
74 巻 , 2 号
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特集号(論文)
  • 宮武 一郎, 安部 聡, 小澤 直樹, 荒井 猛, 加藤 禎洋
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_10-I_18
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル 認証あり
     本稿は,土木機械設備の維持管理において,ウェアラブルカメラの利活用により土木機械設備の状況の映像を取得し,リアルタイムで施設管理者,点検者,機械設備メーカの技術者(支援技術者)の間で共有することにより期待される効果について,土木機械設備の不具合発生時における対応に着目し,従来の対応との比較・検証を通じて実証的に述べるものである.
     土木機械設備の不具合発生時に,従来の音声(言葉)に加え,ウェアラブルカメラで取得した映像がリアルタイムで共有されることにより,状況把握,原因調査,応急処置において,施設管理者,点検者,操作者,支援技術者の負担を軽減しつつより的確かつ迅速な対応を可能にすることが期待される.このことについて,ダム用ゲート設備と排水ポンプ設備において検証を行い,その期待される効果の一部について確認するとともに,他のウェアラブルディバイスを利活用した支援について考察を行う.
  • 新名 恭仁, 野中 秀樹, 小林 裕介, 長峯 望, 西岡 英俊
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_19-I_30
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル 認証あり
     土木構造物の効率的な維持管理を行うために,昨今発展しているSfM(Structure from Motion)やMVS(Multi View Stereo)といった多視点画像を用いた三次元モデルの自動生成技術の適用が期待される.しかしながら,三次元モデルの生成には撮影や処理のノウハウが必要であり,適切なモデルを生成するには膨大な時間を要することもある.そこで本取組みでは,SfMをあまり意識することなく撮影された画像を用いて簡易に高精度なモデルを作成する手法を提案し,実験の結果,従来手法より4倍程度の速度で三次元モデルを取得できた.また,時系列三次元モデルを用いた構造物の維持管理における手順や必要な解析機能について示し,その実施例についてまとめた.
  • 小林 優一, 水野 純生, 小林 一郎, 緒方 正剛
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_31-I_40
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル 認証あり
     平成29年3月,国土交通省よりCIM導入ガイドラインが公開され,設計,施工段階におけるCIMの活用方法が示された.しかしながら,維持管理段階は,発注者が日常的にCIMデータを扱えるような初歩的な条件が整っていないことなどが理由で,活用が進んでいないのが現状である.
     本稿では,維持管理段階におけるCIMの活用例として,国土交通省九州地方整備局で運用が開始された河川管理CIMの基本フレームに着目し,発注者が自らCIMを活用するための一手法として,専用の3次元CADではなく,汎用計算ソフトであるExcelを用い,基本フレームをより効率よく活用するための付加的なデータ活用法を提案し,そのデータ管理について考察するものである.
  • 蓮池 里菜, 木下 幸治, 羽田野 英明, 古澤 栄二, 六郷 恵哲
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_41-I_49
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル 認証あり
     著者らは,岐阜大学SIP地域実装プロジェクトの一環として,各務原大橋(長大PC橋)の定期点検へのロボット技術の取り入れを試みている.はじめにロボット技術を用いて「事前調査」を行い,次にその調査結果をもとに,橋梁全体の近接目視点検を実施する.ロボット技術に対する要求性能を明示するとともに,ロボット技術の機能・性能を検証した.ロボット技術には,部材の点検要領における健全性区分がII以上となりうるか否かを判断可能な性能を求めた.「事前調査」では,3種類のドローン技術と2種類のロボットカメラ技術を組み合わせて用いることとし,最初に橋梁全体を対象としてコンクリートひび割れ損傷以外の損傷を検出するロボット広域調査を行い,次にひび割れ損傷を検出するロボット狭域調査を実施することを提案した.
  • 遠藤 広大, 党 紀, 春田 大二郎
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_50-I_61
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル 認証あり
     地震などの災害後では,システムの早期復旧に向けて,道路橋や鉄道橋における被害状況を早急に調査・点検することが必要である.また,山岳地域などでは災害直後,現地に立ち入ることが難しく,調査・点検を早急かつ容易に行うことが難しい.最近では地震被害を受けた橋梁の被害状況を把握する手法として汎用型小型無人機 (UAV)を用いた目視点検手法が注目されているが,汎用型UAVの橋梁点検における必要性能が検討されることが少なく,その性能を定量的に評価することが望ましい.そこで本研究では,汎用型UAVの基本性能を定量的に評価するために,4種類の汎用型UAVに対して,ホバリングや直線移動などの4パターンの飛行試験と推力試験を行った.汎用型UAVを用いた点検の安全性と実用性に関係性が高い耐風性能について,GPS環境を確保した室外の風洞実験より計測を行い,また,推力などの指標から耐風性能を簡易的に推定する式を提案した.汎用型UAVを用いた橋梁点検を行いその有効性についても検討し,橋梁点検における汎用型UAVの性能を評価するための性能指標の提案を行った.
  • 田畑 佑, 党 紀, 春田 大二郎, Ashish SHRESTHA, 松永 昭吾, 全 邦釘
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_62-I_74
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル 認証あり
     近年汎用型の小型無人機(UAV)が個人所有するレベルまで安価となり,安定した飛行で,高品質な映像が容易に取得できるようになった.汎用型UAVのみでの自動パトロール点検などの維持管理手法も考えられるが,この手法の妥当性と活用方法を検討する必要がある.本研究では,橋梁の損傷を検出する効果を検証するため,UAVを用いて実橋梁の飛行撮影を行った.定期点検が実施された実橋梁9橋に対しUAV撮影と画像分類による損傷判定を行い,定期点検より検出した損傷箇所と比較することによって,UAV橋梁撮影による損傷検知手法の効果を検証した.さらに,点検報告書にて報告されている損傷とその画像を用いて,損傷画像分類データベースを作成し,深層学習を用いた橋梁損傷検知を試み,その精度の向上のための画像処理手法を検討した.
  • 大場 健太郎, 小澤 一雅, 堀田 昌英
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_75-I_84
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル 認証あり
     本研究では, コンクリート工事の生産性向上を目指してプレキャスト製品の利用を促進する為には, コンクリート製品産業が発展し, 競争力のある製品を産出することが必要であるとの前提に立ち, コンクリート製品産業の課題を産業組織論的な観点から明らかにし,コンクリート製品産業の成長のための解決策を提案することを目的とした. 産業としての課題は, 需要が低下し続ける市場構造において, 中小企業が乱立するという産業組織であったため, 市場行動として利益を減らすような価格競争を行う状態が続き, 労働生産性向上と言う市場成果を生み出せていないことだと分かった. そして, コンクリート製品産業と建設業に加えて他産業の参加を想定した技術開発プロジェクトと, 受注者が施工と維持管理を請負う「維持管理付きECI方式」を成長戦略のアクションプランとして提示した.
  • 梶間 厚邦, 小濱 健吾, 貝戸 清之, 小林 潔司
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_95-I_106
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル 認証あり
     本研究では,高速道路のコンクリート橋梁において発生する変状間の因果関係に着目し,変状に対する補修行為の遅延がもたらす影響を分析するための方法論を提案する.具体には,橋梁における漏水系変状と剥離系変状に着目し,漏水系変状が原因となって剥離系変状が発生するメカニズムを複合ワイブルハザードを用いて表現する.さらに,漏水系変状発生時期とそれに対する補修時期の差異による剥離系変状の発生確率の変化を,補修遅延時間と劣化要因の関数として定式化する.推計に当っては,完備化操作を行った上で MCMC(MH)法によるサンプリングを適用し,劣化要因と遅延関数のパラメータと変状発生の事後確率を推定する.さらに,高速道路インフラを対象とした実証分析を通じて,早急な漏水補修の重要性について示唆する.
  • 岡崎 百合子, 岡崎 慎一郎, 全 邦釘, 浅本 晋吾, 大窪 和明
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_107-I_118
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル 認証あり
     本研究は,四国内の国直轄道路橋のコンクリート製主桁を対象として,データ駆動型の機械学習を援用したひびわれ発生および進展に関する回帰モデルの構築と,これに基づく要因分析を行うものである.四国内1,344橋における定期点検データ等を用いて,橋梁の諸元,環境条件や外力等の12種を予測子とし,ひびわれに関する損傷のランクを応答としたガウス過程回帰モデルを構築した.本モデルを用いて要因分析を行った結果,四国内の最たる地域特性の一つである降水量の多寡については,完成年度が1980年を境に影響が異なることが判明し,特に,完成年度1980年以前のRC主桁において影響が大きくなるといった,局所的な傾向を抽出できた.
  • 大窪 和明, 全 邦釘
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_119-I_129
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル 認証あり
     橋梁の老朽化が進む中で,橋梁の廃止も踏まえつつ道路利用者の利便性を保てるような補修戦略の必要性が,より一層高まっている.このとき,多くの交通が利用する橋梁を優先的に維持・管理していくことに加えて,他の橋梁が廃止されたときに代替路として利用される可能性の高い橋梁も維持・管理しておくことが道路ネットワークのリダンダンシーを保つ上で重要となる.本研究では,こうした橋梁間の代替関係を効率良く把握する方法として橋梁連関表を提案する.さらに各橋梁の代替路としての重要性を表す指標として代替重要度を提案する.愛媛県宇和島市が管理する橋梁に提案手法を適用した結果,現状では少数のODペア間の移動にしか利用されていない橋梁であっても,代替重要度は高い値を示し,複数の橋梁の代替路として利用される可能性が高いことが確認された.
  • 高橋 禎夫, 五艘 隆志
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_130-I_142
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル 認証あり
     近年,国土交通省は我が国の公共工事の公正性と透明性を確保し,社会基盤の品質を確保するために契約条件変更手続きに関するガイドラインを策定している.筆者らは,これら施策の効果の検証を目的に,アンケート調査による傾向分析を行い,土木公共工事全体に共通する受注者側における課題を抽出した.次に,個別の施工現場を絞り込み,アンケート調査に加え,現地視察やインタビューを行い,現場の運営実態に踏み込み,受注者,発注者および設計者における具体の課題を抽出した.そして,これら課題解決のために(1)ガイドライン類活用事例データベースの構築と開示利用(2)ガイドライン類等に関する教育の推進と認定制度(3)受発注者の相互チェックによる工事管理体制・運用体制の健全化の推進の3つの方策と,ガイドラインの改善の必要性を提案した.
  • 関 健太郎, 堀田 昌英, 市村 靖光, 大嶋 大輔, 常山 修治
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_154-I_163
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル 認証あり
     日本では建設業の働き方改革を進めるに当たり,労働生産性を高めるとともに適切な賃金水準・休日の確保が喫緊の課題である.本研究の目的は,米国の労働時間規制・賃金水準の確保に関わる制度,発注者の役割,労働生産性向上と制度の関係を文献・現地ヒアリング調査を基に把握し,日本の現制度との違いを考慮しつつ,今後の日本での取組に資する知見を得ることである.米国の労働時間規制には労働時間の上限拘束はないが週40時間を超えた場合の50%の割り増し賃金を払う制度があること,建設技能労働者の賃金水準の確保にはデービス・ベーコン法の規定が大きな影響を与えていること及びデービス・ベーコン法の規定を遵守するための発注者の役割が制度として根付いていることを確認した.
  • 松田 曜子
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_164-I_172
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル 認証あり
     本論の目的は,各地方の公共事業の担い手である中小建設業者が,災害時のボランティア活動の担い手と連携することにより,CSR(企業の社会的責任)を果たせる可能性があることを,先進事例から検討することである.まず,欧州で生まれたCSRの本来的な定義について確認し,建設業における「社会問題と本業との統合」は何を意味するかについて考察する.次いで,災害ボランティア活動は地元密着型の中小建設業との親和性が高いことを示し,建設業が従来行ってきた「災害協定」に基づく復旧工事の実施による社会貢献だけでなく,災害時の被災地支援活動を行うNPO等支援団体や社会福祉協議会等との積極的な連携により,より直接的に市民の信頼を獲得できる可能性があることを述べる.
  • 山口 健太郎, 谷本 圭志, 長曽我部 まどか
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_173-I_181
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル 認証あり
     今日の社会が抱えている社会的課題の多くは,複数の分野にわたる「子課題」を内包している.防災はその典型であり,高齢者など弱者の支援,被災後のまちづくり,防災投資の経済効果などの子課題を内包している.このような課題の解決に向けては,子課題に精通している専門家が総合的な解決策を模索するための協働的な体制づくりが必要である.しかし,それぞれの専門家の関心を直ちに把握することができないため,適切な構成員の人選には試行錯誤を伴うのが一般である.そこで本研究では,テキスト情報の背後にある関心を解析する手法を用い,専門家が発信するテキスト情報から個々人の関心を定量的に評価し,その結果を活用して体制づくりを支援するための手法を検討する.
  • 坂本 淳, 原 忠
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_182-I_191
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル 認証あり
     東日本大震災における復旧・復興活動を通して,地域コンサルタント会社の存在意義が大きく認識された.一方,近年の競争の激化や契約方式の変更等を背景として,会社の業績が急激に悪化している.国土交通省は平成24年度の懇談会でこれを問題視し,解決に向けた対応の検討を開始した.
     本研究は,最新の国土交通省の入札情報に関するデータベースを用いて,地域コンサルタントの近年の受注状況の実態を考察する.その結果,地域コンサルタントの一人当たりの国土交通省発注の受注金額は広域コンサルタントと比較して顕著に少ないが,改善傾向にあることが確認された.一方,都市の規模に対して地域コンサルタント技術者が少ない地方では,広域コンサルタントが参入しやすい契約方式の業務が多いことが明らかとなった.
  • 鎌谷 崇史, 中尾 聡史, 片山 慎太朗, 東 徹, 戸田 祐嗣, 藤井 聡
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_192-I_201
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル 認証あり
     我が国では,自然災害に見舞われるリスクが高く,自然現象がもたらす被害を如何に抑制するかが問われてきた.自然災害の中でも,南海トラフ巨大地震や首都直下型地震による被害については,近年,様々に予測されているが,その一方で,大規模洪水がもたらす被害,特に経済被害については,定量的な予測が十分になされていない状況である.そこで,本研究では,SCGEモデル(空間的応用一般均衡モデル)を用いた大規模洪水による経済被害の推計手法を考案し,東京・大阪・東海の3つの地域における洪水シナリオに基づいて経済被害の推計を行うことを目的とした.
  • 須藤 敦史, 児玉 文, 阿部 和正
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_202-I_210
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル 認証あり
     2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震において仙台市内の丘陵地に造成された住宅地で地盤被災が数多く発生した.さらに 2016年4月14日の熊本地震でも盛土の造成宅地に多くの被害が生じている.これら造成宅地の地震被害は,急傾斜地だけではなく緩やかな基盤や地盤構造の造成宅地でも数多く発生している.しかし,住宅地の購入者がこれらを検討・確認することはほとんどなく,地震被害を受けて初めて基盤・地盤情報の重要性を意識することが一般的である.そこで本研究は,東北地方太平洋沖地震において仙台市内で基盤・地盤構造の違いにより造成宅地の建物損壊度が異なることを地理情報システム(Geographic Information System : GIS)により示し,建物の建築年代や宅地造成前の基盤・地盤特性情報の重要性を示している.次に,地震リスクマネージメントや地震被害想定では被害の発生予測精度が重要であるため,兵庫県南部地震における水道管の損傷調査結果より地盤性状による地震時の損傷度曲線(Seismic Fragility Curve : SFC)を求めている.さらに,仙台地域における造成宅地の地震被災リスクを定量的に算出し,造成宅地おける地震リスクを考慮した評価法の基礎考察も行っている.
  • 北詰 恵一, 牧野 雄也
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_211-I_219
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル 認証あり
     PPP/PFI推進アクションプランに示されるようなPFI事業の一層の事業規模拡大のためには,実施経験の少ない地方自治体などにもその導入を促す必要がある.しかし,その阻害要因のひとつに煩雑な実施手続が挙げられている.それを簡易化する方向のひとつとして実施方針公表後の質問回答の省略が挙げられるように,質問回答手続きを簡素化することも重要である.本研究は,簡素化の方向として質問回答数の減少を目途とし,それぞれの行政文書における質問回答の傾向を把握した上で簡素化の方向性を明らかにすることを目的とする.近年5年間の事業例から公表されているものを対象に,事業分野別に質問回答書の内容に対するテキスト分析を行い,民間業者からの質問数の多い頻出単語を把握した上で,その減少のための方策を明らかにした.
  • 八巻 悟, 矢吹 信喜
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_220-I_231
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル 認証あり
     我が国の公共調達は,明治22年に制定された会計法にて規定された予定価格の上限拘束性の制約が義務付けられている.この制約は,先進諸外国では既に廃止されており,また,再入札による機会損失,行政コスト等を発生させる原因となることによる弊害も指摘されている.
     一方,現在,国土交通省では,公共工事の品質を確保するための方策として総合評価落札方式を推進している.この方式では,入札価格と技術力の双方を評価した点数で落札企業が決定されるため,入札価格に制約を与える条件が付加されることとなる.
     本研究では,総合評価落札方式における落札企業の決定過程を直近のデータの解析結果をもとにしたシミュレーションモデルにて記述し,予定価格の上限拘束性が廃止された場合の予算管理上の課題,及び落札企業の技術評価点順位が変化する状況を定量的に把握した.
  • 中洲 啓太, 中尾 吉宏, 田村 央, 島田 浩樹, 三輪 真揮
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_232-I_243
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル 認証あり
     国土交通省直轄工事における技術提案・交渉方式は,平成30年5月現在,「淀川大橋床版取替他工事」,「二重峠トンネル工事」,「犀川大橋橋梁補修工事」の3工事が施工契約を締結している.著者らは,これらの技術提案・交渉方式を適用した3工事の施工契約締結までの手続過程において,発注者,施工者,設計者の異なる立場から認識された課題を収集し,それらを分析することにより,施工者による技術協力等の実施期間,技術提案の評価項目と履行義務,ヒアリング,技術対話,リスク分担,工事費の確認方法等について,従来からの設計・施工分離発注方式,設計・施工一括発注方式にはなかった技術提案・交渉方式としての考え方を明確にした.また,設計・施工一括発注方式の適用工事におけるリスク発生状況を分析し,設計・施工一括発注方式と技術提案・交渉方式の適用条件の考え方を明確にした.本稿は,これらの検討を踏まえ,技術提案・交渉方式の新たな手続実施方法を提案するものである.
特集号(報告)
  • 永田 尚人, 小栁 栄次, 西岡 吉弘
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_1-I_9
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル 認証あり
     高度経済成長期に建設された社会インフラの老朽化が急速に進行している.そのため,定期点検や点検結果を基にした補修により,橋梁の長寿命化を目的とした維持管理が喫緊の課題となっている.本研究では,静止状態でのひび割れの高精細画像が確実に取得できる永久磁石車輪式ロボットによるシステムを開発し,目視点検の補助に資するロボット技術を確立するものである.
     実橋梁での現場試験の実証結果についても報告し,鋼橋フランジ下部に吸着して移動する永久磁石車輪式走行ロボットの点検業務への導入についての有効性を示すとともに,主桁と平行に架設された配管や横構等の障害物があってもクリアな床版の画像取得の実現についても示しえた.
  • 山本 浩司, 森脇 亮, 全 邦釘, 吉井 稔雄, 森 伸一郎
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_85-I_94
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル 認証あり
     我が国の社会基盤は,今後,急速に建設後50年の高齢化の時代を迎える.一方で我が国の社会情勢は,少子高齢化による人材(技術者)の不足や予算の不足が顕在化する時代となる.特に,四国地域のような社会環境の縮退が進みつつある地方圏においては,その両者の負荷は一段と厳しい.そのような社会基盤の脆弱性の増大をくい止めるためには,技術的な革新とともに,俯瞰的な視野から各自の専門や所属の立場を越えて地域の総力でもってマネジメントに取り組む体制とそれを担う人材を育成することが必要とされる.本論文は愛媛大学による「社会基盤メンテナンスエキスパート(ME)養成講座」の構築について,5年間の試行によるカリキュラムの特徴と養成される四国MEの技術者像,その育成効果などを述べる.
  • 森田 哲夫, 湯沢 昭
    2018 年 74 巻 2 号 p. I_143-I_153
    発行日: 2018年
    公開日: 2019/01/10
    ジャーナル 認証あり
     本研究は,土木工事における適切な工期の確保,休日拡大に向けた環境整備に関する国,自治体の取り組みを背景に,群馬県の工期設定モデルについて検討することを目的とする.
     先ず,分析に使用する土木工事の工事費・工期データを収集し,工種別の工事費と工期の基礎特性を把握した.次に,国土交通省が示した「標準工期試算式」について,自治体の土木工事に適用する際の課題を把握した.3つめに,課題に対応し群馬県における工期設定モデルを検討した.最後に,群馬県の「標準工期算定表」の改訂版となる工期設定モデルを提案した.提案モデルは,週休2日の確保を考慮し,工種別の工事特性を反映したものとなった.
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