和風だしを1.0%濃度添加して味と香りを調製し,ゲル化剤を0.5~3.0%添加した6種のゼリーを試料として,物性計測と官能評価を実施した.テクスチャー試験により物性値のかたさ[Pa],凝集性[-],付着性[J/m3]を得た.官能評価は42名の官能評価者によって実施し,おいしさ,ゼリーのかたさ,だしの香りの強さ,だしの味の強さ,弾力,飲み込みやすさおよび食感の好みの官能評価スコアを取得した.官能評価結果に主成分分析を適用した結果,ゼリーの食感強度に関する項目が官能評価者の第1評価軸であり,それに次いでゼリーの味や香りの強度に関する項目が第2評価軸であることがわかった.物性値と官能評価スコアの間にニューラルネットワークモデリングを適用した結果,物性値と官能評価スコア間の相互作用を良好な決定係数を示すモデルによって確認することに成功した.このことにより,おいしさなどの評価項目が香気や呈味成分からだけではなく物性値からも影響を受けていることが明示された.
本報では,これまでの研究で明らかにされていない,トマトジュース以外のトマト製品におけるThermoanaerobacterium属の増殖リスクを調査した.その結果,トマト製品のRI(可溶性固形分濃度の指標としての屈折率)が8.0以上かつpH 4.2以上4.6以下の範囲では増殖しなかった.そのため,RIおよびpHを調整した変法TGC培地を用いて,pH 4.2以上4.6以下の範囲におけるThermoanaerobacterium属の増殖リスクを調査したところ,RI 8.0では増殖し,RI 19.5以上であれば増殖しなかった.これらの結果より,トマト製品におけるThermoanaerobacterium属の増殖制御因子はRI以外にも存在することが示唆されたため,トマト製品に含有する有機酸であるクエン酸,リンゴ酸,ピログルタミン酸を変法TGC培地に添加して,Thermoanaerobacterium属の増殖リスクを調査した.その結果,クエン酸が単独で0.52%以上含有されると増殖せず,また有機酸同士の共存効果は確認されなかった.以上の結果から,トマト製品中においては,クエン酸がThermoanaerobacterium属の増殖制御に寄与していることが示唆された.
A flow-type reactor was constructed to mass-produce maltulose from maltose dissolved in 10 mmol/L phosphate buffer, pH 7, which was maintained in a liquid state under subcritical water conditions. The reactor was then used to examine the effects of reaction temperature, average residence time, and maltose concentration on the production of maltulose. The optimal conditions were a temperature of 115℃ (the highest temperature in the range tested), with an average residence time of 10 min. Considering both substrate utilization efficiency and maltulose concentration, it was concluded that a maltose concentration of 10% (w/v) was optimal.