多発性骨髄腫(MM)の微小残存病変(MRD)測定技術は進歩している.症例特異的プライマーを用いたPCR法は10
−4~10
−6と高感度ではあるが,免疫グロブリン(IG)特異的領域の解読や特異的プライマー設計の成功率が低いことが課題となっている.2003年に開発されたBIOMED-2PCRを用いて,MM患者の骨髄検体から抽出したRNAを鋳型としてPCRを行った.TA-cloningののちシークエンスしてIG領域解読の成功率を確認した.われわれはcDNAを鋳型として特定のIGHV-J primerを用いたBIOMED-2PCRで58.1%の成功率が得られた.IGH type別の検討では単変量解析および多変量解析ともに,IgG typeおよびIgA typeがBJP typeと比較して有意にPCR成功率が高かった.RNA発現の低下や異常なIGH遺伝子再構成のためBJP typeでは低い成功率に留まった可能性がある.RNAから作成したcDNAを鋳型として利用することで,検体採取時の形質細胞割合や抽出時の核酸濃度に関わらず,長期保管検体でBIOMED-2PCRが可能なことが示唆された.
抄録全体を表示