気管支喘息患者の重症度,発作強度の判定には自覚症状のみならず,スパイロメトリーやピークフロー測定などの客観的指標を用いることが望ましいが,強制呼気をさせるスパイロメトリーは再現性が乏しく,患者負担も大きい.近年では安静換気時に強制オッシレーション法を用いて呼吸抵抗(Rrs:respiratory resistance)・呼吸リアクタンス(Xrs:respiratory reactance)を測定するモストグラフが開発され臨床で使用されている.気管支喘息患者に対するスパイロメトリーとモストグラフの相関関係をみるとともに,経過観察に有用なモストグラフのパラメーターを検討した.対象は2011年9月〜2013年9月まで昭和大学横浜市北部病院呼吸器センター喘息専門外来を受診し,気管支喘息と診断された患者計55名を対象に診療録から後方的に解析をした.スパイロメトリーのパラメーターとして1秒量(FEV
1:forced expiratory volume in 1 second)1秒率(FEV
1%=FEV
1÷努力肺活量FVC×100),%1秒量(%FEV
1=FEV
1÷FEV
1予測値×100),%V50(a forced expiratory flow at the FVC50%),%V25(a forced expiratory flow at the FVC25%),モストグラフのパラメーターとして,R5,R20,R5-20,X5,Fresを解析対象とした.スパイロメトリーと最も高い相関を認めたのは呼吸リアクタンスがXrs=0となる共振周波数(Fres:resonant frequency)であった.経過観察時においてFEV
1%とFresの変化率はP<0.001の相関関係を認め,Fresの変化率はFEV
1%と比較し大きかった.気管支喘息患者の経過をみていくうえで,安静換気で測定できるFresは有用な指標になると思われる.
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