コカインは米国では中毒死の主要な原因物質の1つだが,日本でコカイン中毒に遭遇する機会は稀であり症例報告もほとんどない.当院で経験した,コカイン中毒疑いにて来院した2症例について報告する.症例1:20歳代男性.心肺停止状態で発見され救急搬送となった.来院時JCS300.トライエージDOA
Ⓡ施行し,コカイン陽性であり,心肺蘇生を施行したが死亡確認となった.症例2:20歳代男性.路上で暴れて倒れていたところを発見され警察に保護されていたが,強直性の痙攣を認め当院に救急搬送となった.来院時,JCS300,自発呼吸無し.トライエージDOA
Ⓡ施行し,コカインとアンフェタミンが陽性であった.人工呼吸,血液浄化などの集中治療を行ったが,第5病日に多臓器不全にて死亡した.2例ともトライエージDOA
Ⓡにてコカイン陽性であり,知人の証言からコカインの摂取が疑われた.症例2に関してはAMPも陽性であったことから,コカインと覚せい剤の併用が推測された.
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