なぜ多くの微生物は培養できないのか?培養の困難さを第一の理由に挙げることも多いが、実際のところ、これまでの微生物学が依拠してきた手法論に根ざす本質的な理由が大きいと言ってよい。大規模シークエンシングに基づく膨大なメタゲノム情報の蓄積と旧来的な培養手法、そしてその培養手法そのものが持つ問題点などを理解することによって、まずは難培養の根幹が見えてくる。その一方でメタゲノムに基づく微生物のゲノム情報(metagenome-assembled genomes: MAGs)の増加はとどまるところを知らず、これまでの微生物の分類・同定・命名のルールを大きく揺るがそうとしてる。本総説ではそうした点に触れながら難培養性微生物の実体について概観したい。
Google DeepMindが開発したタンパク質立体構造予測ツールAlphaFold2は、高い精度でタンパク質の立体構造を予測できるとして、世界を驚かせ、瞬く間に世界中の研究者に利用されるようになった。2020年は、長年のタンパク質立体構造予測問題が解決された記念すべき年として記憶されるかもしれない。AlphaFold2の背景には、タンパク質立体構造に関する研究の蓄積、次世代シークエンサーの登場にともなうゲノム研究の進展、計算機の性能の向上、人工知能(Artificial Intelligence、以下AI)の発展がある。これらに触れながら、AlphaFold2について説明し、最後にこの5月に発表されたばかりのAlphaFold3と将来の展望について述べる。
アンプリコン解析は、全てのバクテリアゲノム中に存在する16SリボソームRNA(16S rRNA)遺伝子の一部の領域をPCR増幅し、増幅された部分配列(アンプリコン)をシーケンスすることによって、解析サンプル中にどのような菌種がどれだけ存在するかという系統組成を調べるものである。本稿ではまず、PCRに用いるプライマーと情報解析の流れについて述べる。次に、解析データとプログラム(dada2パッケージ)のインストールについて述べる。最後に、入出力ファイルの取扱い時に利用するRの文字列操作について解説する。