室内環境
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14 巻, 2 号
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原著論文
  • 浅野 勝佳, 陰地 義樹, 小川 里恵, 中島 大介, 影山 志保, 白石 不二雄, 高鳥 浩介, 後藤 純雄
    2011 年 14 巻 2 号 p. 95-101
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/24
    ジャーナル オープンアクセス
    微生物由来揮発性有機化合物(MVOCs)をカビ汚染の指標物質とする分析方法の開発を試みた。MVOCとしては200以上の物質が報告されており,検出頻度の高い約15物質がカビ汚染の指標として利用できると考えられている。MVOCは広範囲な揮発性物質群で構成されているため,測定は容易ではなく様々な工夫が必要とされる。現在のところ,分析方法をはじめとしてサンプリング方法にも標準的な方法は存在しない。キャニスターサンプリングはサンプリング時間の柔軟性,サンプリング時の静寂性等で固相吸着法よりも優れている。本研究では2-MIB及びジェオスミンを含む典型的な15化合物の分析を試みた。
    グラスビーズとテナックスを組み合わせたシステムでは低沸点化合物に対して有効であり,グラスビーズとテナックスを積層したトラップを2連に配したシステムではVVOCからSVOCまでの広範な化合物において満足な結果が得られた。両システムでの15化合物の定量限界は0.0088-0.16 ngであった。
    本法は,住居で発生するカビとMVOCによる居住者への健康影響を調べるための手段として開発した。この方法を用いて,いくつかの住居でのMVOC測定によるカビ調査を行なった。その結果,6住居すべてで1-オクテン-3-オールが1.34-10.2 μg/m3の範囲(平均4.09 μg/m3)で検出された。その他5物質もわずかに検出され,トータルMVOCとしては2.43-16.4 μg/m3の範囲(平均6.95 μg/m3)であった。
講座
調査資料
  • 笈川 大介, 高尾 洋輔, 村田 真一郎, 竹内 弥, 下山 啓吾, 関根 嘉香
    2011 年 14 巻 2 号 p. 113-121
    発行日: 2011年
    公開日: 2012/02/24
    ジャーナル オープンアクセス
    東日本大震災により多くの住民が避難生活を余儀なくされている。避難者の生活を一時的に安定させるため,約72,000戸の応急仮設住宅(以下,仮設住宅)が宮城県,福島県,岩手県などに建設されている。一方,国外の災害において,仮設住宅に避難した住民が高濃度ホルムアルデヒド曝露により健康被害を受けた事例がある。宮城県では国土交通省の指示に基づき,仮設住宅の供給メーカーに対して1発注につき1戸(50~60戸に1戸)の割合で住宅性能表示制度に定める特定測定物質5物質(ホルムアルデヒド,トルエン,キシレン,エチルベンゼンおよびスチレン)の室内濃度測定を課し,仮設住宅の空気性能の管理に務めている。しかしながら法定5物質以外の物質が室内空気を汚染する可能性があり,詳細な化学物質調査が必要である。そこで筆者らは,宮城県の協力のもと,2011年6月20日に宮城県内1地区の仮設住宅5戸,6地点を対象に室内空気中化学物質濃度の現地調査を行った。対象物質はアルデヒド・ケトン類3物質,揮発性有機化合物43種類およびTVOC(Total Volatile Organic Compounds)濃度とした。その結果,法定5物質を含む室内濃度指針値の設定されている物質は,測定点全てにおいて指針値以下の濃度レベルであった。しかしTVOC濃度は1700~3000μg/m3で暫定目標値の4倍~7.5倍であり,指針値の設定されていない化学物質の寄与が高かった。
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