室内環境
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21 巻, 2 号
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総説
  • 東 賢一
    2018 年21 巻2 号 p. 113-120
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/01
    ジャーナル フリー
    1970年に制定された建築物衛生法の二酸化炭素の環境衛生管理基準は,1000 ppmを超えると倦怠感,頭痛,耳鳴り,息苦しさ等の症状が増加することや,疲労度が著しく上昇することに基づき定められたものである。二酸化炭素に関する近年の複数のエビデンスが,500~5000 ppmの範囲における二酸化炭素濃度の上昇と生理学的変化(血液中の二酸化炭素分圧や心拍数の上昇等)を確認している。また,1000 ppm程度の低濃度域におけるシックビルディング症候群(SBS)関連症状については,多くの疫学研究で報告されている。ヒトにおける生理学的変化は二酸化炭素によるものと考えられるが,低濃度域におけるSBS症状については,他の汚染物質との混合曝露による影響の可能性が高いと考えられる。近年,1000 ppm程度の二酸化炭素に短時間曝露した際の二酸化炭素そのものによる生産性(意思決定能力や問題解決能力等)への影響が示唆されており,このような影響は社会経済への影響が懸念されることから,慎重な対応が必要であると考えられる。建物内の二酸化炭素の室内濃度を1000 ppm以下に抑えることで,SBS症状や生産性への影響を防止できる。大気中の二酸化炭素濃度が上昇し続けているが,地球温暖化のみならず,室内の二酸化炭素濃度の維持管理のためにも大気中二酸化炭素濃度の低減に関する早急な対策が必要である。
解説
  • 丸尾 容子, 鈴木 義史, 浅沼 光吾
    2018 年21 巻2 号 p. 121-128
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/01
    ジャーナル フリー
    窒素酸化物のうち二酸化窒素は環境基準が設定されている大気汚染物質であり,屋外においては発生源が自動車などの移動発生源や工場などの固定発生源である。屋内においては,特に冬季の開放型石油ストーブから高濃度のNO2が発生されている。屋内の高濃度のNO2は呼吸器疾患との関連が指摘されており,国民病とも言える喘息の発病率を下げるには,屋内でのNO2濃度を減少させることが重要である。屋内のNO2濃度については,様々な地域で主に拡散サンプラーを用いて測定が行われてきた。拡散サンプラーは手軽に特別の技術がなくとも取り組める測定方法であるが捕集時間が24時間ということと,その場で測定値が得られないという不都合な点も存在した。本稿では,その場でのある程度の濃度の確認が可能な多孔質ガラスを用いた分析チップを紹介するとともに,それを用いた測定方法及び結果についても紹介する。
  • 池田 四郎
    2018 年21 巻2 号 p. 129-138
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/01
    ジャーナル フリー
    アンモニアは環境の中で多様なメカニズムで発生し,動植物も発生源となる。強い臭気があるため高濃度に長期間曝されることはあまりないが,様々な環境での実測データを俯瞰すると臭気閾値付近の濃度が存在する環境は少なくないため,依然として室内環境学研究のテーマとして重要な物質と言える。本稿では,アンモニアの生成,挙動を窒素循環の観点から解説し,現場で用いられているいくつかの測定手法を列挙した。また,近年,アンモニアの挙動を生体から得られる情報として捉えることを意図した研究例を紹介する。
  • 浅井 さとみ, 梅澤 和夫, 野崎 司, 池田 四郎, 関根 嘉香, 宮地 勇人
    2018 年21 巻2 号 p. 139-143
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/01
    ジャーナル フリー
    病院内の環境には,患者診療に起因する様々な臭気がある。患者から採取された血液・尿・糞便などの検体を処理する臨床検査室における,臭気に関する調査と考察を行った。採血ブースと採尿室のバックヤードである検体検査室はこれらの検体の処理や保管において,検体から揮発する成分や腐敗のため臭気が発生している。細菌検査室は,喀痰・尿・血液・尿・糞便・髄液・膿などの検体に加え,培地そのものが臭気の原因となる。
    臭気に対して様々な方策が試行されているが,費用対効果を踏まえた有効な方法はない。病院内を衛生的で快適に保つため,臭気の効果的な対策は今後の課題である。
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