室内空気中の二酸化窒素(NO
2)は暖房器具, ガスレンジ及び喫煙等によって発生するもので, 呼吸器疾患の原因物質として指摘されている。このNO
2は大気環境基準や学校環境衛生基準等が制定されており, 種々の行政対策が施行されている。
空気中のNO
2の測定法としてはザルツマン試薬を用いる吸光光度法や化学発光法が標準測定法として採用されている。これらの中で, ザルツマン法はNO
2の捕集に吸収液を用いる湿式法で取扱が不便である。 一方, 化学発光法は装置が大型で高価である。
本研究ではこれらの点を考慮し, 以下の様な測定法の開発を行った。本法は1-ヒドラジノフタラジン(1-HP)試薬, 捕集剤にトリエタノールアミン (TEA) と水酸化ナトリウムの混合捕集剤を用い, 測定にはHPLCを用いる乾式法である。 本報では捕集剤をガラス管に充填したサンプラーを作製し, 捕集率, 抽出法, 再現性, 理論値と分析値の比較等の基礎的検討を行い, 次の様な点が明らかとなった。捕集率は捕集管1本で99%以上, 繰り返し精度は相対標準偏差で4.1%, 定量下限値は0.01 ppm(100 mL/min x 30 min)以下, ザルツマン法との間に有意な相関が認められ, 本法の実用性が明らかとなった。
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