多孔質ガラスとザルツマン試薬から構成されるNO
2分析チップを用いて, 2016年夏季及び冬季に仙台市内一般住宅における室内二酸化窒素(NO
2)測定を行った。分析チップは操作が容易であり, パッシブかつ蓄積型であるため任意の場所に任意の時間置くことで平均NO
2濃度を測定でき, 分析チップの吸光度が4に達するまで繰り返し使用できる。NO
2濃度は, 室内曝露前後における分析チップの525 nmの吸光度差より算出した。測定によって得たNO
2濃度とアンケート調査から室内の様子の実態を明らかにし, 居住者自身による空気質改善の可能性について検討した。測定では, 夏季に67世帯, 冬季に95世帯のNO
2濃度測定結果とアンケート調査による回答を得た。NO
2濃度平均値は8ppb(夏季), 92ppb(冬季)であった。冬季, WHO及び学校環境衛生基準法によるNO
2濃度指針値(106ppb及び60ppb)を超えた世帯は95世帯中35.8%及び49.5%であり, 夏季においてそれぞれの指針値を超えた世帯は存在しなかった。24時間換気の効果は, 冬季, 換気ありの平均が64ppb, なしの平均が94ppbであったが, 夏季は明らかではなかった。NO
2濃度と換気, 調理器具などの関係は複雑で, 省エネで健康的な生活環境を整備するためには簡易分析チップにより測定を行いながら整備する方策を選定していくことが重要であることが示され, そのためには開発した分析チップは有効なツールであると考えられた。
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