室内環境
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26 巻, 3 号
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原著論文
  • 佐伯 寅彦, 穴井 俊博, 小林 徳和, 湯 懐鵬, 鍵 直樹
    2023 年 26 巻 3 号 p. 169-180
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル オープンアクセス
    医療機関等で行われる病理検査では臓器や組織をホルマリンで固定するため,作業時にホルムアルデヒドが発生する。そのため,病理検査室ではホルムアルデヒドの室内への拡散を抑制する局所排気装置等の措置が必要であるが,十分に機能していない場合も多い。ホルムアルデヒド曝露対策を適切に計画するには作業時に発生するホルムアルデヒドの量を把握する必要があるが,これを理論的に求めることは困難である。筆者らは病理検査室の換気設計に必要な基礎データを得るため,ホルマリン固定した豚精肉およびホルマリン液面からのホルムアルデヒド放散速度をチャンバー試験にて測定した。また,実作業中の病理検査室で室内ホルムアルデヒド濃度の実測を行い,作業場所1か所あたりからのホルムアルデヒド放散速度を算出した。チャンバー試験の結果,豚精肉とホルマリン液面のいずれもその放散速度は設置後40分間は時間による変化はなく,またいずれも温度依存性が確認された。また,実作業中の測定結果より切り出し等の作業での放散速度は作業場所1か所あたり139 mg/h~203 mg/h,ホルマリン槽の開放を伴う作業はこれに加えてホルマリン液面からの放散速度を加算した値となり,作業場所の数とホルマリン槽の開口部面積が分かればホルムアルデヒドの放散量を見積もることができることが分かった。
  • 滝野 出海, 本宮 淳弘, 中井 里史
    2023 年 26 巻 3 号 p. 181-194
    発行日: 2023年
    公開日: 2023/12/01
    ジャーナル オープンアクセス
    近年,加熱式たばこや電子たばこの普及が進んでいるが,喫煙実態に関する情報は少ない。2018年度に加熱式たばこの喫煙実態を調べるweb調査を実施したが,加熱式たばこや電子たばこの製品の種類が年々増加し,以前よりも入手が容易になっていることや,改正健康増進法による喫煙場所の規制強化の影響を受け,2018年から現在にかけて喫煙実態は大きく変化していると予想される。そのため,2021年9月に20歳代~60歳代の喫煙者約1500人,非喫煙者約500人を対象として,web調査を実施した。加熱式たばこ・電子たばこを喫煙する人の割合はそれぞれ47.2%, 16.5%と,2018年実施の調査の39.4%,15.4%と比較して増加していた。また,2018年実施の調査では現在喫煙者の30.7%が複数のたばこを併用していたが,今回実施した調査でも32.8%が併用していた。最も喫煙されている加熱式たばこのブランドはIQOS(50.9%)で2018年実施の調査結果と同じ(IQOS, 59.4%)であり,製品はIQOS 3 DUO(35.8%)であった。1週間に喫煙する平均本数は紙巻きたばこが73.3本,加熱式たばこが50.8本,電子たばこが23.8本であった。今後は今回得られた喫煙実態のデータを基に,喫煙されていた加熱式たばこ製品・電子たばこ製品ごとに主流煙中の有害物質の測定やたばこの種類ごとに異なる喫煙本数を考慮した健康リスク評価等の研究を進める必要がある。
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