圧延工程での形状や厚み測定は製品の品質管理上重要な計測課題の一つであり, 各種の方法が開発実用化されている. 非接触法ではX線, γ線厚み計が広く実用に供されているが, 鋼板の厚みの増大と共に線源強度も増大し, 安全性, 応答性, 精度の点で必ずしも十分とはいいがたい.
これらに対して最近では, マイクロ波や空気マイクロを応用した非接触厚み測定法の研究が行なわれているが, いまだ実用化の段階にはいたつてない. 一般的にいつてマイクロ波厚み計には大別して3つの方法が考えられる.すなわち
(i) 鋼板からのマイクロ波の反射の振幅を利用する方法.
(ii) 鋼板とアンテナの間の位相を測定する方法.
(iii) 鋼板との間に共振器を構成し, その共振周波数を測定する方法.
筆者らは第3の共振器を利用する方法について述べるが, これについては英国BISRAのWILLIAMSがわれわれと全く独立によく似たアイデアを提案している.
本論文においては開端共振器の諸特性をまず理論的に解明し, これらを実験値と対比させて議論し, 次に開端共振器を一対用いた厚み計の構成を述べ, この試作機の動作原理とこれを用いた実験室内および熱延精整ラインでの実験結果を報告する.
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