Works Discussion Paper
Online ISSN : 2435-0753
11 巻
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  • 太田 聰一
    2016 年 11 巻 p. 1-25
    発行日: 2016年
    公開日: 2023/01/26
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    本稿は、「ワーキングパーソン調査 2014」を用いて東京圏に転入した労働者の仕事や年収、さらにはUターン志向について検討した。その結果、大卒以上の男性転入者は、東京圏出身でずっと東京圏で過ごしてきた人に比べて中学 3 年時の成績の自己評価が高く、一般入試経験者で、大学の専攻分野は理系であり、大学院卒の人が相対的に多く、そのことが転入者の高所得のひとつの源泉となっていた。大学卒業後に東京圏に転入してきた人は高い役職についていることが多く、それが年収プレミアムを生み出している。出身地および大学所在地の特徴を代理するいくつかの変数を説明変数に導入した上で、あらためて年収決定式を推定したところ、出身地の失業率が低かったり、給与水準が高かったり、出身地が遠隔地であったりする人は東京圏での年収が高い傾向にある。とくに出身地の失業率の影響は、推定式の定式化によらず頑健であった。一方で、大学所在地の影響としては、人口当たりの大学数が多い地域の大学卒業者は、東京圏転入後に高い給与水準を得ている傾向がある。大卒以上の女性については、男性とは異なり、転入者の所得プレミアムは観察されないが、配偶者がいないサンプルに限定すればプレミアムが出現した。大卒男性正社員の東京圏転入者サンプルを用いて出身地へのUターン転職志向の分析を行ったところ、成果を追求する職場で働いている人はUターンに積極的な傾向が見られた。その一方で、1%の所得上昇は約 0.2%Uターン転職志向である確率を低下させていた。また、出身大学が東京圏にある人や現在親と同居している人のUターン志向は低かった。
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