Works Discussion Paper
Online ISSN : 2435-0753
43 巻
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  • ―生き生き働いている状態を媒介として
    久米 功一
    2021 年 43 巻 p. 1-30
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/12/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
    現代の社会では、報われない仕事や意味のない仕事が増えており、生き生き働く機会が減少し、働く意欲が失われるのではないかと危惧されている。そこで、本稿は、一生懸命に働くことや意味のない仕事に従事することと、生き生き働く状態とを比較して分析した。具体的には、一生懸命に働く理由を重要性、衝動性、義務感の三つに分けて、その経済的帰結や決定要因を分析した。 その結果、一生懸命に働く人は、賃金プレミアムを得ていないが、労働時間が長く、生き生きと働いていた。しかし、健康状態が良くなかった。また、一生懸命働くことの動因について、権威主義的、長期的志向、成果主義の職場風土は、一生懸命に働くことを促すものの、仕事の意味を損ねている可能性が示唆された。一方、他者との協働、スピード感のある仕事、職場における信頼関係、上司からの助言は、一生懸命に働くことを促し、かつ、仕事の意味を持たせるものであった。また、勤勉で神経症傾向の人は、一生懸命に働きがちで、近視眼的な職場では仕事の意味を持てない傾向があることがわかった。これらの結果は、一生懸命に働くことと意味のある仕事につくことを両立させるためには、一生懸命に働くことの構造やその動因について本人および職場が俯瞰して理解する必要があることを示唆している。
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