Works Discussion Paper
Online ISSN : 2435-0753
46 巻
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  • 辰巳 哲子
    2021 年 46 巻 p. 1-12
    発行日: 2021年
    公開日: 2023/12/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
    個人の生活様式が多様化する中、働くことは個人にとってどのような意味を持つのだろうか。2019年には働き方改革関連法案が施行され、2020年にはコロナ禍においてリモートワークが導入されるなど、個人の働き方は大きく変化した。 個人が仕事から得る幸福感については、主観的仕事ウェルビーイングの分野で研究の蓄積が進んでいる。本稿は、仕事ウェルビーイングを「生き生き働いている状態」とし、個人の「生き生き働く状態」は、個人が「働くこと」をどのように捉えているかによって変わるのではないかと仮説をたてた。そこで、「働くこと」を規定する要因として、仕事に対する認知や行動を主体的に変化させるジョブクラフティング(JC)に着目した分析をおこなった。その結果、JCの3つの次元である、タスク境界、関係的境界、認知的境界はいずれも生き生き働く状態に影響しているが、中でも自分の担当している仕事を見直したり、意味あるものとしてとらえ直す、「認知的境界」の影響が大きいことが示された。 次に、JCスコアを3群に分け、各個人の「生き生き働く状態」を表現したテキストデータと対応分析をおこなった。その結果、JC高群では、生き生き働いている状態として自己主導型の言葉がみられた。一方の低群では、他者から与えられた環境が「生き生き働く」状態をつくっていることが示された。これらの結果からは、「生き生き働く」状態にもっとも影響するのは自分の仕事の捉え直しであり、捉え直しが進んだ場合には、生き生き働くことも自己主導で調整できるが、仕事の捉え直しが進まない場合には、他社から与えられた環境によってウェルビーイングが左右されることが示唆された。
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