Works Discussion Paper
Online ISSN : 2435-0753
18 巻
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  • 余田 乙乃
    2017 年 18 巻 p. 1-32
    発行日: 2017年
    公開日: 2023/01/30
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    近年、非正規雇用者の待遇改善対策としての同一価値労働同一賃金が日本における政策プライオリティーの一つとして掲げられているが、適切な賃金設定の形を模索するには他の先進国におけるシステムを把握する必要がある。そこで本稿では欧州の賃金設定に関する労使関係を統計、指標、及びケーススタディを通して体系的に概観した。 欧州の賃金設定の労使交渉は主に産業レベルにおいて行われる、という従来の観点からさらに深く踏み込み、各国の賃金設定の団体交渉におけるレベル(全国レベル、産業レベル、企業レベル)の組み合わせと調整の形を観察し、更に例証として 4 か国(フィンランド、ドイツ、フランス、イギリス)におけるシステムの具体的な機能を精査した。その結果、より集権的なレベル(全国レベル、及び産業レベル)、またはそれらの組み合わせでの交渉を行う国ほどそれらが包括的、且つ高機能な形で連携、調整されていることが分かった。 また個人レベルにおける賃金決定の労使関係(労働協約適用外)はより分権的な企業レベルの賃金設定の団体交渉が行われる国において多くみられた。 日本が現時点において交渉レベルをより集権的なレベルに転換するのは非現実的であるが、この様な欧州の様々な交渉レベルにおける課題を汲み上げるメカニズムから長期的な 観点で学ぶことは多い。
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