Works Discussion Paper
Online ISSN : 2435-0753
34 巻
選択された号の論文の1件中1~1を表示しています
  • 坂本 貴志
    2020 年 34 巻 p. 1-12
    発行日: 2020年
    公開日: 2023/09/25
    研究報告書・技術報告書 フリー
    昨今、裁量労働制をはじめとするみなし労働時間制の適用が労働時間にどのような影響を及ぼすかに、世の中の関心が集まっている。本稿では、こうした世の中の問題意識には、本質的に、労働者が実際に行った労働時間にかかわらず固定の報酬を支払われることに対する是非があると考え、誰がその対象となっているのかなどその実態を明らかにした。 本稿における分析を行った結果わかったことは以下のとおりである。まず、固定報酬支払制が適用されている人の割合は、雇用者全体の 23.9%となり、既にかなりの規模で存在することがわかる。給与の支払い方式を決定づけるのは、役職、雇用形態、職種、所属企業の企業規模や業種である。すなわち、正規雇用者として働く人、管理職、中小企業勤務者、教育・学習支援業で働く人などは固定報酬制を適用されやすい。 最後に、給与の支払い方式と労働時間や給与との関係をみると、固定報酬支払制は総じて労働時間を長くする傾向があると同時に、固定報酬支払制が適用された労働者は賃金をも増やすことがわかった。固定報酬制の適用がその目的や本人の意思に十分に配慮しながら慎重に行われるよう、適切な制度設計が求められる。
feedback
Top