人手不足が深刻化している。日本銀行「日銀短観」の雇用人員判断 DI や総務省「労働力調査」の失業率の水準は、バブル経済に沸いた 1990 年代以来の水準となっているなど、足元の労働需給はひっ迫している。こうしたなか、短時間労働者の時給も上昇を続け、人手不足の影響が顕在化している様子もうかがえる。
本稿では、リクルート「アルバイト・パート募集時平均時給調査」を用いて民間求人広告データの利用可能性を探った。同データの求人件数と厚生労働省「一般職業紹介状況」の新規求人数とを比較したところ、その動向は概ね連動していることがわかった。
また、各市町村別の特性と時給の増減との関係性を調べ、労働市場の状況と賃金との関係性についてデータを集計した結果、高齢化が進んでいる市町村については時給も上昇している傾向にあった。また、市町村別にみて労働力率の上昇と時給の上昇も並行して起こっていることがわかり、労働参加が拡大しながら時給が上昇するという現象が各地で見られていることが明らかになった。
時給上昇のメカニズムについては今後も検討の必要があるが、高齢化などの構造変化が労働者の時給水準にも一定の影響を与えている可能性があり、今後も少子高齢化が進む中で労働力が相対的に足りなくなれば短時間労働者の時給がさらに上がっていく可能性もある。
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