失語症研究
Online ISSN : 1880-6716
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8 巻, 2 号
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シンポジウム座長記
シンポジウム
カレントスピーチ
特別講演
原著
  • 佐藤 直樹, 中野 清剛, 白野 明, 渡辺 象, 上嶋 権兵衛
    1988 年 8 巻 2 号 p. 164-169
    発行日: 1988年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    脳血栓発症8か月を経過した時点で重度の左半側空間失語と交叉性失語を介併した61歳の画家にリハビリを行い著明な改善をみたので報告した.
    初診時神経心理学的には,線分二等分テスト,図形探索テスト,図形模写テストを行い全テストで左半側の無視が認められた.また交叉性失語がみられた.患者は右利きで家族歴にも左利きの素因はなかった.患者は病前より画家として認められていたのでクレヨン別を訓練に取り入れ,絵画活動の自立をプログラムに挙げた.訓練15か月後には再び展覧会に人選を果たした.交叉性失語の回復は,初期の重度のレベルから中等度まで改善したが,喚語困難,文法障害ともに顕著であった.半側空間失認の責任病巣に関しては,古典的な右頭頂—側頭—後頭部と考えられた.また半側空間失認のリハビリに関しては,患者の興味を引く訓練をプログラムに取り入れたことが効果的であったと考えられた.
  • 樋口 加津子, 富永 通裕, 元村 直靖, 竹田 契一, 山鳥 重
    1988 年 8 巻 2 号 p. 170-176
    発行日: 1988年
    公開日: 2006/11/10
    ジャーナル フリー
    構成失害の一例を報告し,文字の知覚障害の合併を指摘した.症例は43才の右利き女性で,病前書字能力に優れていた.CTで左縁上回皮質下に低吸収域が認められ、脳梗塞と診断された.神経心理学的には構成失書,構成失行、肢節運動失行、観念運動失行、観念失行そして軽度の失語症が認められた.自発書字と写字に主要な障害を示し,仮名よりも漢字,そして画数がより多い漢字で障害が著しかった.本例は音読が良好であるにもかかわらず,正しい漢字の選択や,誤字訂正などの「文字形態の視覚性知覚検査」で著しい障害を認めた.構成失書には表出面の障害と表裏一体をなして分析的な文字形態の知覚障害があることが示唆された.
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