南アメリカよりアメリカ合衆国経由で輸入した野生動物のリスザル, 270頭について検疫および健康管理を実施し, 寄生生物に関し, 若干の知見を得た。
1.輸送中および入荷直後の死亡率は73年5月群と73年6月群では56.7%と非常に高かった。しかし以後6回の入荷群については, 輸送方法の改善により4.8%に減少することが出来た。この低い死亡率は, アメリカ輸入業者の施設での飼育期間の延長, 輸送途中での休養期間の設定, および国内到着 (羽田空港) 直後の給餌, 給水などの処置により, 動物に体力をつけたことなどが関係しているように思われた。
2.Shigella, salmonellaの陽性例はなかった。ツベルクリン試験を検疫中2回実施したが, 陽性例は検出されなかった。
3.腹腔内におけるfilaria成虫の寄生率は45.5%であり, 血中microfilariaの寄生率は65%であった。
4.鉤頭虫の寄生率は中間宿主を完全に駆除することにより15ケ月以内に著しく低下することが示唆された。
5.Sarcocystが検索した37例中7例 (18.9%) の大腿筋に認められた。
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