Experimental Animals
Online ISSN : 1881-7122
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28 巻, 3 号
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  • 北 徳, 西川 哲, 猪 貴義, 山下 貢司
    1979 年 28 巻 3 号 p. 365-372
    発行日: 1979/07/30
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    妊娠チャイニーズハムスターの腟粘液分泌について観察し, 次の結果を得た。
    交尾後, 妊娠が成立した場合, 交尾後7日目より腟に希薄な粘液の分泌が認められるようになり, その出現率は, 交尾後7日目の10.8%から, 11日目の82.6%まで急速に増加した。そして, 交尾後12日目には, 19.5%の妊娠例で, 透明な粘液にかわって溶血性粘液が認められるようになった。溶血性粘液は, 多くの場合, 2~4日間持続するが, 交尾後14日目には89.1%の高率で検出されるようになり, その後急速に消失して17日目には6.5%の低率となった。そして, 溶血性粘液の消失した後は, 非常に粘稠な半透明の粘液がほぼ全例において出現した。
    また, 偽妊娠の場合には, やはり, 交尾後7日目頃から希薄な粘液が腟に認められ交尾後12日目頃まで持続した。しかし, 交尾後11日目には, 不明瞭ながら腟垢像が発情前期像 (1) を示し, 12日目には発情後期像 (III~IV) が認められ, 発情周期が再開した。
    交尾後9日目以前には, 腟粘液, 腟垢像, および, 母体重のいつれの観察によっても妊娠を判定することはできない。ただし, 体重変化, 腟垢像変化, さらに, 腟粘液分泌などを合わせ検討するならば, 交尾後10日目頃から妊娠診断が可能と思われる。
    終りに臨み, チャイニーズハムスターを御恵与いただいた国立遺伝学研究所吉田俊秀博士に深謝するとともに, 本研究の機会を与えられ, 種々御援助賜った川崎医科大学中央研究部柴田進部長および有益な討論をいただいた, 同解剖学教室顔政坤助手にお礼申し上げる。
  • 岸本 好雄, 牛場 大蔵
    1979 年 28 巻 3 号 p. 373-380
    発行日: 1979/07/30
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    サルモネラ対マウスの実験チフス症において, 均一な高い感受性のDKIに, 比較的抵抗性を示すC3H/Heの, 抵抗性支配遺伝子 (R) を導入したcongenic resistantのDKIRを用い, サルモネラ感染に対する感受性と, 結核菌, リステリア菌, および緑膿菌感染に対する感受性との関係について検討し, 次の成績が得られた。
    1.結核菌感染に対して, DKIよりもC3H/Heの方が感受性であるが, DKIRも感受性であり, サルモネラ感染に対する抵抗性とは逆であった。両感染症に対する感受性に何らかの関係が認められるが, しかしそれがR遺伝子と結核菌感染に対する感受性支配遺伝子との連関によるかどうかは, 更に検討を要するであろう。
    2.リステリア菌感染に対して, DKIよりもC3H/Heは明らかに抵抗性が高いが, DKIRは僅かにDKIより抵抗性で, R遺伝子は, リステリア菌感受性を支配する複数の遺伝子のうち, 主要遺伝子でないものと何らかの関係をもつことが考えられた。
    3.緑膿菌感染に対して, DKIよりもC3H/Heの方が抵抗性であるが, DKIRは抵抗性ではなく, むしろ若干感受性であった。DKIRの脾又は腹腔細胞の殺菌効果はDKIより高いと推察されるが, それが感染防禦効果として反映しないのは, 感染後の菌が細胞外で増殖し, マウスは第一次敗血症によって死亡するためと考えられる。
    マウス対サルモネラの実験チフス症において, 高い感受性のDKIに, C3H/Heの比較的抵抗性支配遺伝子 (Rと仮称) を導入したcongeni cresistantのDKIRを用い, サルモネラ感染に対する感受性と, 結核菌, リステリア菌, および緑膿菌感染に対する感受性との関係について検討し, 次の成績が得られた。
    1.結核菌感染に対しては, サルモネラ感染とは逆に, DKIよりもC3H/Heは感受性であるが, DKIRもまた感受: 性であり, 両感染感受性には何らかの関係があると考えられる。
    2.リステリア菌感染に対して, DKIRは僅かにDKIより抵抗性で, R遺伝子はC3H/Heの抵抗性の一部に関与することが考えられた。
    3.緑膿菌感染に対する感受性には, 系統の差よりも個々のマウスの菌のクリアランスの差が強く影響した。
  • 須藤 有二, 菅野 茂, 森 裕司, 広瀬 昶, 加納 康彦, 沢崎 徹, 沢崎 坦
    1979 年 28 巻 3 号 p. 381-391
    発行日: 1979/07/30
    公開日: 2010/12/09
    ジャーナル フリー
    小型ヤギいわゆるシバヤギを実験動物として開発するための基礎資料収集の一環として, 東京大学農学部附属牧場コロニーのシバヤギ49頭を対象に, A-B誘導および各種肢誘導法によるスカラー心電図, ならびにベクトル心電図を記録し, それらを分析することによってシバヤギの心電図学的特性を明らかにするとともに, 正常波形の標準測定値をもとめた。
    1) A-B誘導心電図の正常波形は一様に陽性P波, rS型またはQS型QRS群および陽性T波を示し, その波形の特徴および標準測定値は同じ反芻獣に属するヒッジと類似していた。また, 各測定値の中では月令の増加にともなってRR間隔の延長 (心拍数の減少) およびS波振幅の減少がみとめられた。
    2) 標準肢誘導および増高単極肢誘導心電図は極めて多様な波形を示し, 一定の傾向をみとめ得なかった。従って, 第Iおよび第III肢誘導からもとめた平均電気軸には著しい個体差がみとめられた。
    3) 心中心直交誘導法によるベクトル心電図の所見から心室内における興奮伝播は, 心尖部から心底部に向うのが基本型であることが推定された。
  • 輿水 馨, 伊藤 正博, 曲淵 輝夫
    1979 年 28 巻 3 号 p. 393-400
    発行日: 1979/07/30
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    実験用動物として使われた外見的に健康なネコ42匹および死亡ネコ14匹から採材した213材料のうち, 87 (40.8%) 材料からマイコプラズマが検出された。これらのマイコプラズマは結膜 (4/51: 7.8%) , 口腔 (46/52: 88.5%) , 鼻腔 (30/55: 54.5%) , 包皮 (2/21: 9.5%) , 腟 (3/30: 10.0%) および肺 (2/4: 50.0%) から分離された。分離株からクローニングされた167株は, 各種生物学的性状ならびに発育阻止試験による血清学的性状にもとついて3群にわかれた。すなわち, 26株はMycoplasma felis, 138株はM.gateae, 残りの3株はM.feliminutumと同定された。M.felisは結膜, 口腔および鼻腔からのみ分離されたが, M.gateaeは結膜からは分離されず, 上部気道および泌尿生殖器などに広く分布していることが明らかにされた。M.feliminutumは口腔からのみ分離された。これらのマイコプラズマ菌種の分離はわが国では最初である。
  • 平田 真理子, 野村 岳之, 谷本 義文
    1979 年 28 巻 3 号 p. 401-404
    発行日: 1979/07/30
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    サル, イヌおよびラットの血清を, 4℃, -20℃および-80℃の温度条件下に保存した時の各血清成分の安定性について検討した。大部分の成分は, 4℃で2週間, -20℃および-80℃保存では6カ月ないし12カ月までは安定であった。しかし, GPT, GOT, Al-P, LDHおよびクレアチニンは, 保存条件によって比較的早期から変化し, その変化の程度に種差がみられた。とくに, -20℃保存での酵素の変動は著明であった。これら動物血清を保存後測定する場合は, 動物種, 測定項目および保存期間に応じた適切な保存条件を選定することが必要であり, 長期間にわたって保存する場合には-80℃で保存することが望ましいと考えられる。
  • 斎藤 徹, 高橋 和明
    1979 年 28 巻 3 号 p. 405-407
    発行日: 1979/07/30
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    実験小動物の飲水行動量の日周期リズムを把握するため, 飲水行動量測定装置を考案した結果, 市販のタッチ・リミット・スイッチを応用することにより, その目的をある程度満足しうる装置を試作した。この装置を用い, 14時間明, 10時間暗の明暗サイクル下におけるIVCS系雄マウスの飲水行動量を測定したところ各個体とも暗期に高く, 特に点燈時 (午前5時) および消燈時 (午後7時) の各前後2時間が最も高い値を示した。
  • 神谷 正男, 奥 祐三郎, 伊藤 豊志雄, 鍵山 直子, 岩井 浤
    1979 年 28 巻 3 号 p. 409-413
    発行日: 1979/07/30
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    A survey on endo-parasites in conventionally (Cv) and barrier-sustained (BS) mice and rats was carried out to determine a parasitological status from July 1974 to March 1976. Four protozoans ; Tritrichomonas muris, Giardia muris, Hexamita muris and Octomitus pulcher were demonstrable in BS animals. In addition to 4 protozoasn described above, in Cv rats 2 protozoans (Chilomastix bettencourti and Entamoeba muris) and 2 helminths (Syphacia muris and Trichosomoides crassicauda) and in Cv mice 1 protozoan (Entamoeba muris) and 3 helminths (Hymenolepis nana, Syphacia obvelata and Aspiculuris tetraptera) were detected. Hexamita muris and Giardia muris were demonstrated transiently at the beginning of the survey in all the BS colonies tested. However, they disappeared later. While other protozoans, O. pulcher and T. muriss, were persistently demonstrable.
  • 局 博一, 沢崎 坦
    1979 年 28 巻 3 号 p. 415-429
    発行日: 1979/07/30
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 28 巻 3 号 p. 431-464
    発行日: 1979/07/30
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 28 巻 3 号 p. 465-472
    発行日: 1979/07/30
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
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