Experimental Animals
Online ISSN : 1881-7122
Print ISSN : 0007-5124
34 巻, 1 号
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  • バーグ R.D.
    1985 年 34 巻 1 号 p. 1-16
    発行日: 1985/01/01
    公開日: 2010/12/09
    ジャーナル フリー
    Bacterial translocation is defined as the passage of viable bacteria from the gastrointestinal (GI) tract through the mucosal epithelium to other sites, such as the mesenteric lymph nodes, spleen, liver and blood. This paper reviews results from animal models utilized to obtain information concerning the defense mechanisms opera-ting in the healthy host to confine bacteria to the GI tract. Gnotobiotic and antibiotic-decontaminated mice colonized with particular bacteria demonstrated that the indi-genous GI flora maintains an ecologic equilibrium to prevent intestinal bacterial overgrowth and translocation from the GI tract. Studies with athymic (nu/nu) mice, thymus-graf ted (nu/nu) mice, neonatally thymectomized mice, and mice injected with immunosuppressive agents demonstrated that the host immune system is another defense mechanism inhibiting bacterial translocation from the GI tract. Ricinoleic acid given orally to mice disrupted the intestinal epithelial barrier allowing indigenous bacteria to translocate from the GI tract. Thus, bacterial translocation from the GI tract of healthy adult mice is inhibited by : (a) an intact intestinal epithelial barrier, (b) the host immune defense system, and (c) an indigenous GI flora maintaining ecological equilibrium to prevent bacterial overgrowth.
    Deficiencies in host defense mechanisms act synergistically to promote bacterial translocation from the GI tract as demonstrated by animal models with multiple alterations in host defenses. Bacterial translocation occurred to a greater degree in mice with streptozotocin-induced diabetes, mice receiving nonlethal thermal injury, and mice receiving the combination of an immunosuppressive agent plus an oral antibiotic than in mice with only a primary alteration in host defenses. The study of bacterial translocation in these complex models suggests that opportunistic infections from the GI tract occur in discrete stages. In the healthy adult animal, bacterial translocation from the GI tract either does not occur or occurs at a very low level and the host immune defenses eliminate the translocating bacteria. Bacterial translocation does take place if one of the host defense mechanisms is compromised, such as a deficiency in the immune response, bacterial overgrowth in the intestines, or an increase in the permeability of the intestinal barrier. In this first stage, the bacteria usually translocate in low numbers to the mesenteric lymph node, and sometimes spleen or liver, but do not multiply and spread systemically. Bacteria translocate to other organs includ-ing the blood and peritoneal cavity, however, in animals exhibiting multiple alterations in their defense mechanisms, such as immunodef iciency in combination with bacterial overgrowth. In the third stage, the alterations in host defenses are severe enough to allow the translocating bacteria to produce septicemia and death. Thus, bacterial translocation from the GI tract is an important early event in the pathogenesis of certain opportunistic infections.
  • 山田 隆, 原 真理子, 大場 由香, 井上 忠広, 大野 博
    1985 年 34 巻 1 号 p. 17-22
    発行日: 1985/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ラットの妊娠7日目にBusulfan15mg/kgを, また妊娠7・8日目に6-Mercaptopurine 40mg/kgをそれぞれ単一腹腔内注射して, 死胚及び流産を誘起し, その着床痕を観察した。1.死胚は妊娠20~24日の間に娩出され, 喰された。2.流産及び死胚の着床痕は予定妊娠満期後120日以上, 無処置正常分娩のものは500日以上肉眼的に識別できたが, 痕跡の中では流産痕が最も小さかった。3.着床痕は7種の染色法のうち10%硫化アンモニウム, 0.2%水酸化ナトリウム及び2%フェロシアン化カリウムによく染色され, 水酸化ナトリウムが最も優れていた。4.水酸化ナトリウムによる染色標本は水洗後ホルマリンに固定しておくと長期間保存できたが, 他の染色標本では退色した。
  • 武藤 健, 杉崎 正雄, 遊佐 智栄, 野口 洋子
    1985 年 34 巻 1 号 p. 23-30
    発行日: 1985/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    モルモットのコクシジウム症についてわが国における発生状況, 臨床・病理学的所見および生物学的特性の調査・研究を行った。
    1968年に購入したハートレイ系, 体重250gのモルモット, 11, 244匹中に410匹 (3.6%) のコクシジウム感染による下痢がみられ, 春と秋に多発した。このうち死亡は59匹で春と秋に多くみられた。死亡率は14.4%であった。
    コクシジウム症の主要な症状は下痢, 食欲不振, 脱水, 体重減少および死亡であった。感染実験例では下痢は感染後11日に発現し, 1~5日間持続した。動物は下痢と同時に摂餌量・飲水量が著しく減少し, 食欲不振および脱水状態となった。体重は下痢発現後著しく減少し, 発育の障害がみられた。死亡は感染後11~15日にみられ, 実験感染の死亡率は30%であった。肉眼病変は上行結腸壁の肥厚と屈曲部の漿膜面にゲラチン様水腫が特徴的であった。粘膜の出血はなかった。組織学的に, 初期は結腸上皮内に種々の発育過程のコクシジウムがみられたが, 炎症反応は軽微であった。後期にはオーシストが形成され, 上皮の変性・壊死がみられ, 固有層と粘膜下織に高度の水腫と好中球, リンパ球の浸潤があった。盲腸に軽度のコクシジウム性病変がみられた。オーシストは卵円形ないし類円形でミクロパイルがなく, 大きさは20×17μmであった。胞子形成時間は28℃で2~3日であった。Prepatent periodは11日であった。以上の所見から本コクシジウムをEimeria caviaeと同定した。
  • 武藤 健, 遊佐 智栄, 杉崎 正雄, 田中 金一, 野口 洋子, 田口 京子
    1985 年 34 巻 1 号 p. 31-39
    発行日: 1985/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    1964年から1982年までの19年間にわたって国立予防衛生研究所において20数ケ所の生産場からハートレイ系体重2509のモルモットを購入し, コクシジウム症の発生およびオーシストの検出状態について疫学調査を行った。モルモットのコクシジウム感染は離乳後の幼若動物に集中しており, 種親および哺乳期動物には少なかった。19年間におけるオーシストの検出は糞便検体7, 162中3, 862 (53.8%) にみられ, コクシジウム症は異常動物1, 461匹中567匹 (39%) に発生し, 年次別に大きな変遷がみられた。1964~1971年までは, オーシストの検出率が55~86%であり, 異常動物中コクシジウム症が56~76%で共に毎年高率であった。しかし, 1972~1982年まではオーシストの検出率が14~48%と低くなり, コクシジウム症の発生は1980年まで20%以下に激減したものの, 1981~1982年には再び50%台に増加した。月別の消長は1964~1971年間ではオーシストの検出は高率 (57~83%) で月別の差が小さく, コクシジウム症の発生は4月 (85%) と10月 (78%) に山のある2峰性であった。1972~1980年間ではオーシストの検出が6月 (60, 7%) , コクシジウム症が5月 (45%) を山とする一峰性になった。1981~1982年ではオーシストが陰性の月 (2, 3月) もみられ, コクシジウム症の発生状況が大きく変化した。殆んどすべての生産場は1964~1971年までの間極めて高いオーシストの検出率 (70~100%) とコクシジウム症の発生 (70~100%) がみられたが, 1972~1982年までの間に高率と低率のコロニーへの移行傾向がみられた。
    離乳後の動物におけるコクシジウム感染の減少には固型飼料による飼養および生産場における環境衛生の改善の関与が示唆された。
  • 福田 俊, 飯田 治三, 小木曽 洋一, 松岡 理
    1985 年 34 巻 1 号 p. 41-47
    発行日: 1985/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    放射線医学総合研究所のビーグルの繁殖コロニーにおいて, 1974~1983年の10年間に発生した472例の疾病に関する臨床記録を年齢別に分類した。生後1週齢以内の201例の新生子には, 低体温症が, 1週齢~2カ月齢の31例と2カ月齢~1歳齢の46例の子犬には, 肺炎, イヌパルボウィルス感染症, 皮膚病および膿瘍が多くみられた。1~5歳齢の成犬91例には, 外傷, 椎間板突出症, 膿瘍, 難産, 破行および耳血腫が, また5歳齢以上の老齢犬103例には, 椎間板突出症, 腫瘍, 膿瘍, 外傷および耳血腫が多くみられた。
  • 松原 純子, 神山 恒夫, 斉藤 学, 中川 雅郎
    1985 年 34 巻 1 号 p. 49-55
    発行日: 1985/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Mycoplasma pulmonis (Mp) 感染の血清学的診断へのELISA法の応用を検討し, 迅速, 簡便, かつ高い特異性をもって実施し得ることが明らかとなった。実験感染ならびに野外のマウス, ラットについてMpの分離培養およびELISA抗体価の測定を行ったところ, 実験感染群ではマウス, ラットの全例からMpが分離され, 感染2週以降の抗体の検出率はマウスで98%, ラットでは100%であり, 感染後長期間にわたって高い抗体価を保っていた。野外自然感染例では, conventionalマウスではMp分離陽性個体の91%, conventionalラットでは98%がELISA抗体陽性であった。一方, Mp分離陰性の野外のconventionalおよびSPFマウスでは, 97%以上がELISA抗体も陰性であった。しかしながらラットでは, conventionalの31%, SPF動物の11%にMp分離陰性にもかかわらずELISA法で低い陽性値を示すものがみられた。同時に行った補体結合試験では, 抗体の検出感度と特異性が低く, マウスおよびラットのいずれも, Mp分離との一致率は38~56%であった。以上の成績から本ELISA法はMp感染の血清学的診断にきわめて有用であろうと思われた。
  • ―ラット摂水量および血中corticosterone値の日内変動による検討―
    鳥居 隆三, 下田 和孝, 花田 耕一, 高橋 清久
    1985 年 34 巻 1 号 p. 57-62
    発行日: 1985/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    SPF動物の飼育条件を満たし, かつ照明時間を任意に統御し得る新しいタイプのラット用クリーンラックを試作した。本ラックを用いてSPFのラットおよびヌードマウスを飼育したところ, 6カ月後においてもSPF状態が維持されていたことから, SPF動物を飼育・維持できるクリーンラックとしての有用性が見い出された。さらに, 可変照明装置についての有用性を検討すべく, 12時間の明期と暗期を逆にした2つのグループにおけるラットの摂水量および血中corticosterone値の日内変動を指標として検討を加えたころ, 両グループともにいずれも暗期に有意上昇を示し, 両グループの日内リズムの位相には完全な逆転が認められた。これらの成績は, 照明が生体のリズム, 生殖生理, 行動等に及ぼす影響を本クリーンラックを用いることにより, より明らかにすることができる可能性を示唆し, その有用性が明らかとなった。
  • 松崎 哲也, 神谷 正男, 鈴木 博
    1985 年 34 巻 1 号 p. 63-66
    発行日: 1985/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    メキシコウサギ (Romerolagus diazi) の妊娠期間について調べた。交尾確認後1時間以内にオスと分離したメス親, および交尾確認後引き続き1夜オスと同居をさせたメス親, 計12匹の延べ20回の出産例による妊娠期間は39日 (35%) , 40日 (50%) , および41日 (15%) で, 39日と40日群が全体の85%を占めた。
  • 岡田 雅昭, 瀬戸 敏夫, 築舘 一男, 千葉 胤孝, 祖父江 三津子, 竹内 純
    1985 年 34 巻 1 号 p. 67-71
    発行日: 1985/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    20ケ月齢のSprague-Dawley系雄ラットの顎下腺に発生した小鶏卵大の腫瘤で, 組織学的に多形性腺腫の像を呈する腫瘍より培養細胞株を樹立することに成功した。ラット唾液腺の多形性腺腫は比較的稀であり, また培養細胞株樹立の報告もみられない。本腫瘍は卵円形あるいは紡錘形の細胞により構成されており所により小腺管腔形成の傾向がみられるが, 主としてグリコサミノグリカンよりなる多量の細胞間基質の形成を特色とする。培養細胞は形態的に上皮細胞の特徴を有し, また細胞間にAlcian blue陽性の粘液様物質の産生をみ原発腫瘍細胞と同様の性状を認めることができる。このCelllineは, 多形性腺腫の生物学的および生化学的研究を行なうのに大そう有用であると考えられる。
  • 新村 末雄, 藤沢 信義, 佐藤 徳光
    1985 年 34 巻 1 号 p. 73-76
    発行日: 1985/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    原始卵胞から胞状卵胞までのニホンザルの卵母細胞について, タンパク質, 脂質及び多糖類の組織化学的検出を行った。
    卵母細胞の細胞質において, いずれの発育時期のものにもアクロレイン・シッフ反応陽性のタンパク質は認められたが, 脂質と多糖類は検出されなかった。一方, 二次卵胞及び胞状卵胞の卵母細胞の透明帯は, アクロレイン・シッフ反応, 過沃素酸・シッフ反応, スダンIV染色及びアルシアン青染色に陽性であったので, タンパク質, 脂質, 中性多糖類及び酸性多糖類を含んでいることがうかがわれた。なお, この脂質はナイル青硫酸塩染色及びCiaccio法に陽性であったので, 中性脂肪と類脂質を含んでいることが確かめられた。
  • 赤堀 昭, 香川 清水, 升井 正生
    1985 年 34 巻 1 号 p. 77-80
    発行日: 1985/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    マウス, ラットおよびウサギの血中から抽出した脂質分画を更に薄層クロマトグラフィーにより, コレステロールエステル部のみに分離した後, その脂肪酸部をBF3-MeOHによりメチル化した後, ガスクロマトグラフィーにより定量分析した結果, どの動物においてもlino-leate (C18=2, 全エステルの30%以上) が最も多く, myristate (C14=0) は極少量であったが, 動物の種の違いにより, コレステロールエステルの組成比が著しく異っていた。マウスではarachidonate (C20=4) が15.3~17.4%存在していたがlinolenate (C18=3) は極少量でStearateは存在しなかった。ラットではarachidonateとlinoleateがほぼ等量存在していたがstearate, linolenateおよびdocosahexaenoate (C22=6) は極少量存在していたのみであった。ウサギの場合はマウス, ラットと較べpalmitate (C16=0) とoleate (C18=1) が多く, arachidonateとeicosapentaenoate (C20=5) は少なくdocosahexaenoateは存在しなかった。
  • 鈴木 通弘, 成田 勇人, 福井 正信
    1985 年 34 巻 1 号 p. 81-84
    発行日: 1985/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    3005頭のカニクイザルの前眼部を調査したところ, 両眼に虹彩の色調と同様の黄褐色から褐色を呈した膜が, 虹彩の巻縮輪の1側から対応する側の巻縮輪へと瞳孔領域にネット状に伸張展開している1個体を認め, 瞳孔膜遺残と診断した。遺伝性か否かの検討は今後の課題としている。
  • 伊藤 豊志雄, 鍵山 直子
    1985 年 34 巻 1 号 p. 85-88
    発行日: 1985/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ラット育成施設においてTyzzer病の流行が認められた。感染率および肝病変の有無を目安にした発病率はそれぞれ36~80%, 5~30%であった。発病ラットの肝臓から分離されたTyzzer菌はラットを用い継代中である。このTyzzer菌はラットに経口投与, cortisoneを併用することにより, 感染肝中に多量の芽胞 (106~107/g) を形成した。
  • 町井 研士, 山崎 省二, 岩井 浤, 佐野 玲子, 上田 雄幹
    1985 年 34 巻 1 号 p. 89-93
    発行日: 1985/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Rowett hooded系ヌードラットコロニーで, 関節炎の自然発症に遭遇した。発症は12月齢以上のヌードrnu/rnu雄 (15/19) , ヘテロrnu/+雄 (3/10) 及びrnu/rnuの雌 (1/8) にみられた。病変は四肢端関節部の発赤, 腫脹として発見され, 組織学的には, 関節周囲軟組織の滲出性炎であって, 多くは軽度に局所の硬結を残すのみで治癒したが, 一部のrnu/rnuでは関節強直にまで進展し, パンヌス形成, 外骨症がみられた。病変局所の培養, rnu/+個体の血清抗体検索では, 病因と思われる微生物は検出されなかった。本関節炎の病因については, 不明であるが, 年齢, 性及び胸腺欠損が深く関与していると思われる。
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