Experimental Animals
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30 巻, 3 号
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  • 吉田 燦, 杉山 知之
    1981 年 30 巻 3 号 p. 225-232
    発行日: 1981/07/15
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ラット自身が快適とする近隣環境温度を推定するために, ラットの尾部皮膚温の変化に着目し, 室温を2℃間隔の5段階に変化させてそのサーモグラフを撮影するとともに行動観察を行った。ポリカーボネート製ケージ内に5匹1群で飼育されたラットは室温20~24℃では体を寄せあい, 室温28℃では互いにできるだけ離れた位置をとり, 室温26℃でその中間の状態となる行動を示し, その間尾部皮膚温は常に高く, 室温20℃においても28.5~31℃に維持された。同型のケージに単独飼育されたラットの尾部皮膚温は, 室温28℃では群飼ラットとほぼ等しく, 室温26℃でもこれに近い値を示したが, 24℃以下の室温では降下が激しく, 室温20℃では20~23℃にまで達した。5匹1群のラットではケージ内温度の上昇も見られたが2℃を超えることはなかった。室温28℃では単独ラットも群飼ラットもともに唾液を体に塗って熱放散を増加させる行動を行った。これらの結果から, ラットが単独で高い尾部皮膚温を維持し, 同時に唾液を用いて放熱を計る必要のない温度すなわち26~27.5℃をラットの快感温度と推定した。
  • 徳力 幹彦, 竹内 啓, 沢崎 坦
    1981 年 30 巻 3 号 p. 233-240
    発行日: 1981/07/15
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    東京大学農学部附属家畜病院に来院した, 種々の神経症状を呈するイヌおよびネコのうち119例について, 主として神経学的検査法による疾患別分類を試みた。
    イヌの脳疾患では, 水頭症ならびに前庭疾患がもっとも多く, 脳炎ならびにてんかんがこれに続いた。ヒトの錐体外路系疾患にみられる舞踏病様運動, アテトーゼおよび片側バリスムのような異常運動は, イヌでは観察されなかった。
    イヌの脊髄疾患では, 椎間板ヘルニアはもっとも普通にみられるイヌの神経疾患であり, ヒトのそれとは異なり, 胸腰部に多発し, 疼痛のみならず, 不全麻痺ないし麻痺へと進行するものが多かった。
    ネコの脳疾患では, panleukopenia virusの胎盤感染によると考えられている小脳変性疾患が著しく多かった。
  • 鈴木 秀作, 西中川 駿, 大塚 閏一
    1981 年 30 巻 3 号 p. 241-249
    発行日: 1981/07/15
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    チャイニーズハムスターの耳下腺の腺胞・介在部および線条部について光学顕微鏡ならびに透過電子顕微鏡で観察した。耳下腺の腺胞細胞は, 酸好性顆粒を有し, PAS陽性でABに染まらない漿液細胞であった。電顕的に, 腺胞細胞は明調・暗調細胞さらに細胞小器官の少ない明るい特殊細胞からなり, これらの細胞は電子密度や形状の異なる種々の分泌顆粒を有していた。介在部上皮細胞はPAS陽性で, ABに染まらない明調細胞のみからなり, 微細空胞や微細顆粒, 細胞によっては電子密度の中程度の顆粒を有していた。線条部上皮細胞はPAS陽性で, ABに染まらない明調細胞と少数の暗調細胞からなり, 微細空胞や微細顆粒を有していた。さらに, 雄の線条部においては, 明調細胞の頂部に電子密度の高い多角形顆粒が認められた。筋上皮細胞は腺胞・介在部および線条部のいずれの部位にも認められなかったが, 神ばしば認められた。経終末は腺胞細胞間および腺胞細胞と基底板との間にしばしば認められた。
  • 児玉 栄夫, 小山 力, 高阪 精夫, 本庄 重男, 小松 俊彦, 吉村 堅太郎, 町田 昌昭
    1981 年 30 巻 3 号 p. 251-261
    発行日: 1981/07/15
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    1976年3月にインドネシアから輸入した80頭のカニクイザル, Macaca fascicularisのうち2頭が, 輸入後22日目および27日目に元気, 食欲を消失し, 四肢の運動麻痺を発し, 起立困難となった。
    剖検時に行った血液学的検査では, 2症例で白血球数の減少が認められた。その他, 症例No.1では, 好酸球の割合がやや高く, かつ血清尿素窒素量の増加が認められた。また, 症例No.2では, 赤血球数, ヘマトクリット値の減少, 血糖値の増加が認められた。
    病理組織所見では, 脊髄灰白質内, 小脳顆粒層, 大脳クモ膜下腔に或る種の線虫の断片がみられた。また同じ場所に髄膜炎の所見, 壊死巣, 異物性巨細胞, 好酸球の浸潤などがみられた。
    組織切片中に検出された線虫の形態学的特徴は, 切片の上で, Angiostrongylus cantonensis (広東住血線虫) の形態を検討した文献の成績とよく一致した。また, 同線虫によつてひきおこされた好酸球性髄膜脳炎患者の血清を, 免疫電気泳動法で検査した際にみられる特異性の高いband“a”が, 本症においても検出された。
    上述のいくつかの証拠から, 組織切片でみられた線虫断面像は, A.cantonensisのものであると同定した。本症例はサル類での本線虫自然感染報告例のうち, 中枢神経系内迷入例での最初のものであると考えられる。また, サルの広東住血線虫症がヒトの本虫による疾患のモデルになりうることも示された。
  • 村上 隆之, 斎藤 勇夫, 望月 公子
    1981 年 30 巻 3 号 p. 263-268
    発行日: 1981/07/15
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ハシボソミズナギドリ1羽, ゴイサギ1羽, アヒル2羽, ウズラ8羽, ドバト1羽, コンゴウインコ1羽, セキセイインコ3羽, ハシブトガラス1羽の心臓における洞房結節の形態を組織学的に比較観察した。
    洞房結節は右前大静脈口の後右方の右心房筋と心外膜の間に位置し, その部では左・右洞房弁が接近して右心房壁と結合している。
    アヒル, ゴイサギ, セキセイインコの洞房結節は発達がよく, 左・右洞房弁へ進入し, セキセイインコではさらに洞中隔にまで進入している。
    アヒルとゴイサギの洞房結節は2種の細胞で構成されている。その一つは, 細胞の大きさや染色性が心房筋によく似た固有心筋類似の細胞で, 他の一つは固有心筋よりやや大型で淡染性を示し, 個有心筋とプルキンエ線維の中間型の細胞である。セキセイインコの結節細胞は中間型の細胞で, カラス, コンゴウインコ, ミズナギドリ, ハト, ウズラなどの結節細胞は固有心筋類似の細胞である。
    結節細胞は右心房の固有心筋線維や心内膜下プルキンエ線維網と連絡するが, 房室結節には達しない。
    両心房の心内膜下や動脈周囲には, プルキンエ線維網がよく発達しているが, それらは房室結節と連絡することはなく, 心室へ達することもない。
  • 松尾 朝紀, 数田 裕樹, カスト アレキサンダー
    1981 年 30 巻 3 号 p. 269-273
    発行日: 1981/07/15
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Chbb: HM由来のヒマラヤンウサギは当研究所ですでに, 約10年間生産維持されている。本報告はその飼育, 繁殖および成長に関する基礎資料である。
    雌雄成獣の体重は2.0-2.2kgであり, 他の品種に比べてやや低い。繁殖成績は以下の通りである: 奇形学試験の対照群に用いた母動物では, 妊娠率96%, 妊娠第29日の帝王切開で生存胎仔の得られなかった母動物2.7%, 一腹当りの平均生存胎仔数6.1±2.0, 奇形発現率1.3%。繁殖室における離乳率77-92%。
    その他分娩の誘導, 仔獣の乳汁摂取量および成長等, 飼育管理についても併せて報告する。
  • 津久井 誠, 伊藤 宝務, 多田 檀, 中田 貢, 宮嶌 宏彰, 藤原 公策
    1981 年 30 巻 3 号 p. 275-281
    発行日: 1981/07/15
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Tween80―エーテル, ホルマリンおよび紫外線で処理したセンダイウイルス不活化ワクチン (Sv-V) を成熟ラットに投与し, 血清抗体 (HI) の動きを観察して以下の知見を得た。
    HI抗体価と投与したSv-Vの血球凝集素価 (HAU) との間に用量相関が認められた。すなわち, Sv-V105HAUを1回皮下投与後7日には抗体が検出され, 以後, 抗体価は上昇して21日後には最高値に達し, 200日後まで低下することはなかった。その後, 抗体価は徐々に下降したが, 投与後462日においても検出可能であった。103および104HAU皮下投与では抗体は10日後に検出され, 以後, 投与量に相関した抗体価を示しながらほぼ105HAU投与群同様に推移したが, 402日後には検出されなかった。雌雄間で抗体産生能に差はなく, Sv-Vの静脈内 (i.v.) , 腹腔内 (i.p.) , 筋肉内 (i.m.) , 皮下 (s.c.) 1回投与群の間に有意差は認められなかった。すなわち, Sv-V 105HAUをi.v., i.p.投与した場合は4日後に, i.m., s.c.投与の場合には7日後から抗体が検出されたが, 投与14日以降における抗体価はi.v., i.p., i.m., s.c.投与群間に差異は認められなかった。鼻腔内 (i.n.) 投与ラットでは投与21日後に抗体が検出されたが, 他の投与経路と比較して低値であった。Sv-Vを14日間隔で2回投与したところi.p., i.m., s.c.とも, 単回投与にくらべ高い抗体価が得られた。
    Sv-V2回投与により産生された抗体は, 母乳を介してよく移行したが, 経胎盤移行は顕著ではなかった。すなわち, 母親の抗体価が高値であっても, 胎仔あるいは新生仔血清の抗体価は低かった。しかし, 高い抗体価を有する母ラットから哺乳中の1~3週齢ラットの血清抗体価は母親の抗体価と同値を示した。その値も離乳 (4週齢) 後は速やかに低下して10週齢では検出されなかった。
  • 後藤 仁, 堀本 政夫, 清水 亀平次, 平賀 千兼, 松岡 俊弘, 中野 健司, 諸星 康雄, 前島 一淑, 浦野 徹
    1981 年 30 巻 3 号 p. 283-290
    発行日: 1981/07/15
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    1973-79年間に, 帯広, 埼玉, 神奈川および東京に位置する4大学に実験研究用として搬入された捕獲ネコについて二, 三のウイルス性感染病の伝播様相を血清学的に検討した。汎白血球減少症ウイルス (FPLV) に対して1: 8以上のHI抗体価を保有したネコは226例中130例 (58%) に認められ, 大学別の保有率も46~66%で, 本ウイルスはわが国のネコの間に, 調査時期と場所に関係なく広く伝播していた。またFPLV抗体の年令別分布では, 生後3カ月未満の若令期と2~7才時に保有率と抗体レベルがともに高く, 逆に4カ月令から1才時のそれらは著しく低い値を示した。鼻気管炎ウイルス (FRV) 1株とカリシウイルス (FCV) の抗原性を異にする2株に対する中和抗体では, 供試した3大学由来血清において, それぞれのウイルス株に対する各大学の抗体保有率に大きな差がみられ, とくにFRVに対し86% (74/86例, 東京) ならびにFCVのNo.1株に対し77% (17/22例, 神奈川) の高率を示すネコ集団がみられた。レオウイルス3型 (Reo-3) に対する中和抗体では, 可検血清188例中25例 (13%) が陽性を示し, 大学別の抗体保有率でも9~15%と低率であった。またFCV (共立株) とReo-3抗体の年令別分布では1才令未満で抗体陽性を示すものは著しく少なく, それ以降年令の進むにつれて抗体保有率が上昇するなど, これらのウイルスがまだネコの間に広く伝播していないことを示唆する成績がえられた。
  • 朱宮 正剛, 長瀬 すみ
    1981 年 30 巻 3 号 p. 291-297
    発行日: 1981/07/15
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    無アルブミンラット (NAR) と高ビリルビン血症 (Gunn) ラットとの交配により無アルブミン・高ビリルビン血症ラット (AJR) を育成した。本ラットは無アルブミン遺伝子albと高ビリルビン血症遺伝子jをホモに持ち (alb/alb, j/j) 生後5~7日以降に皮膚の黄疸を認め, 種々の神経症状を呈するようになり, 3週間以内に核黄疸を起して死亡する。本ラットはヒトの核黄疸症のモデル動物として, 特にビリルビン代謝におけるアルブミンの関与機構の解明に有用である。
  • 山中 聖敬, 斎藤 宗雄, 野村 達次
    1981 年 30 巻 3 号 p. 299-302
    発行日: 1981/07/15
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    放射線滅菌あるいはオートクレープ滅菌したCL-2飼料を, Wistar系のオスの無菌ラットに摂取させ, 飼料の滅菌方法の違いが, 摂取量, 窒素蓄積, 消化率などにおよぼす影響を検索した。
    その結果, 例えば, 放射線滅菌飼料からオートクレーブ滅菌飼料に切り替えたときに, 窒素蓄積の低下が認められた例もあったが, 結果を総合してみたとき, 本実験における方法では, 滅菌方法の違いによる明らかな差はなかった。
  • 吉田 浩己, Charles HUGGINS
    1981 年 30 巻 3 号 p. 303-305
    発行日: 1981/07/15
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    生後24時間以内に1.25mg testosterone propionateを経皮的に, 生後50日目に30mg/kg 7, 8, 12-trime-thylbenz (a) anthraceneを経静脈的に投与したSprague-Dawley系雌性ラットでは, 肛門腟間の延長, 腟の開口不全, 性周期の欠如 (連続発情) , 乳腺における分泌物の貯溜等が惹起され, さらに卵巣には黄体が形成されず, 7, 8, 12-trimethylbenz (a) anthraceneによる乳癌発生は著しく抑制された.
  • 北川 行夫, 高橋 健, 林 宏
    1981 年 30 巻 3 号 p. 307-311
    発行日: 1981/07/15
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Sprague-Dawleyラット165匹の尿について屈折率と比重との関係を検討した。屈折率は屈折計で, 比重 (密度) はピクノメーターで測定した。
    1) ラット尿の屈折率と比重との間には直線回帰が示された。そこで屈折率より比重への換算ノモグラムを推定作製した。
    2) このノモグラムは高比重 (1.070) まで直線性があり, 摂水量, 摂餌量の変化, ある種の薬物投与, 蛋白, 糖陽性尿の場合でも適用できると考えられた。
    3) このノモグラムはAmerican Optical CorporationのTSメーター換算表より導いた回帰直線ならびに日本臨床病理学会のノモグラムと, 直線性という点では共通であった。またこのノモグラムは後者よりも前者 (TSメーター) に近似していた。
    以上の結果, このラット尿用ノモグラムはAbbe型屈折計を用いての尿比重測定に使用できるものと考えられる。
  • 斉藤 学, 幸嶋 和子, 佐野 純一, 中山 一栄, 中川 雅郎
    1981 年 30 巻 3 号 p. 313-316
    発行日: 1981/07/15
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    マウス, ラットにおけるPasteurella pneumotropicaの保菌状態を調べる目的で本菌汚染コロニーから採取した5週齢, 10週齢, 退役後の動物について鼻孔, 鼻道, 咽喉頭, 気管, 肺, 結膜, 腟の菌検索を行った。
    その結果, 両動物種ともに年齢を問わず咽喉頭部で最高の検出率を示し, マウスでは保菌動物の85~97.5%, ラットでは100%の個体が陽性であった。この部位における菌数は4週齢マウスで組織1g当り103-5, 4週齢ラットでは107-8であった。鼻道と気管からの本菌検出率は30~90%の間で変動したが, 鼻孔からの17~50%よりは高かった。肺からの検出は希であった。若齢ラットの結膜からは本菌が高率に検出されたが, マウスでは約5%に過ぎなかった。腟では保菌マウスの約30%, ラットの50~100%が陽性であった。
  • 黒澤 努, 田村 弘, 四方 淳一, 前島 一淑, 高垣 善男, 中川 雅郎, 鈴木 潔
    1981 年 30 巻 3 号 p. 317-321
    発行日: 1981/07/15
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    実験動物安楽死用炭酸ガス箱を試作し, この箱を用いてマウス, ラット, モルモットおよびウサギの安楽死の経過を観察した。あらかじめ炭酸ガスを満たした箱に動物をケージごと収容したところ, 動物は25~225秒のうちに騒擾することなく四肢脱力し, 呼吸運動を停止した。心電図所見としてはまず房室ブロックがあらわれ, ついでさまざまな不整脈が観祭された。今回試作された炭酸ガス箱は, これらの動物の安楽死処置にきわめて有用であると考えられた。
  • Donald C. Shreffler
    1981 年 30 巻 3 号 p. 323-334
    発行日: 1981/07/15
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • ―1980年度調査の結果から―
    理化学研究所ライフサイエンス推進部研究情報室
    1981 年 30 巻 3 号 p. 335-341
    発行日: 1981/07/15
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 30 巻 3 号 p. 343-352
    発行日: 1981/07/15
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
  • 疾患モデル動物ワーキンググループ
    1981 年 30 巻 3 号 p. 353-362
    発行日: 1981/07/15
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
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