Experimental Animals
Online ISSN : 1881-7122
Print ISSN : 0007-5124
42 巻, 1 号
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  • 海老野 耕一
    1993 年 42 巻 1 号 p. 1-9
    発行日: 1993/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    食糞の今日的栄養意義や行動発現に関わる因子そして食糞と腸内細菌叢との関わりについて主に述べた。身近な実験動物では, ウサギ, モルモット, チンチラの食糞は旺盛で, ハタネズミでは極めて少なく, ラット, マウス, ハムスターは中間型であった。マウスについて詳しく調べた結果, 雑食動物の中でも比較的草食に近いマウスは, 植物の実や種子には含まれないビタミンB12を細胞分裂・増殖因子として消化管内微生物から得ることを主たる目的として食糞を行っていると考えられた。食糞行動は, 飼料中のビタミンB12含量, マウスの栄養要求量の差異等によって影響を受け, 栄養要求の高いステージではその頻度や食糞量は多くなった。しかし, 食糞を防止しても, 完全栄養型飼料の給与下では防止ストレスによる影響以外には特別悪影響が認められないことから, 食糞本来の生理的意義は今日, ほぼ失われていることが明らかとなった。さらに, 食糞の防止は数種の腸内細菌数の減少をもたらしたことから, 食糞によって腸内細菌叢が維持されている可能性がある。一方, 食糞は完全栄養型飼料給与下でも発現し, 無菌マウスおよび開眼・開耳前に早期強制離乳したマウスにおいても認められることから, 後天的に学習し獲得されるものではなく, 生得的行動であることが判明した。詳細な観察の結果, 食糞は糞の排泄に伴って反射的に発現し, その際嗅覚の関与は無いことが明らかとなった。
  • 山崎 寛治
    1993 年 42 巻 1 号 p. 11-21
    発行日: 1993/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    近年, 毒性試験の分野において慢性毒性試験, がん原性試験が多数実施された結果, 各臓器・器官における変化, さらにはその発生率などが次第に明らかにされてきた。しかし骨・軟骨における自然発生病変の病態さらに発生率についてはほとんど不明であった。そこでラット, マウスの骨・軟骨について形態学的研究を行った結果, 変性性骨関節症, 骨硬化症, 腎性骨異栄養症, 骨端軟骨の退行性変化, 骨無菌性壊死が観察された。変性性骨関節症: 本症はヒトにおいて加齢により発生する代表的な関節疾患の一つである。しかし実験動物における自然発生の変化は詳細に報告されていない。今回Sprague-Dawleyラットの大腿骨, 膝蓋骨を検索した結果, すでに6ヵ月齢より関節軟骨の基質に変性を示すものがみられ, さらに12ヵ月齢では軟骨の変性・壊死, 関節軟骨縁での軟骨増殖, 糜爛が出現していた。また組織化学的検索の結果, 本症の発生, 進展については軟骨基質におけるグリコスアミノグリカンの変化が重要であると考えられた。一方, ICRマウスの脛骨においても関節軟骨基質の変性, 軟骨の変性・壊死, 関節軟骨縁での骨増殖, 糜爛, さらに関節軟骨下での骨硬化性変化が観察され, それらは加齢に伴い重度となっていた。これら動物の変性性骨関節症はヒトにおける本症の病因論及び発生機序の解明に寄与するものと思われた。骨硬化症: 6, 18, 30ヵ月齢のFischer344ラットの脛骨, 胸骨を検索した結果, 雌雄共に6ヵ月齢から骨髄腔に骨質の増加が観察され, 30ヵ月齢では骨髄腔は層板形成を示す新生骨で置換されていた。また変化は雄に比較し雌で重度であった。一方, ICRマウスの脛骨, 胸骨では, 雌で300日齢以降, 雄で350日齢以降に骨硬化症が高率に観察された。変化の程度としては雄に比較し雌で重度であったが, 730日齢までの発生率に雌雄間の差はみられなかった。また変化はラットと異なり多数の造骨性細胞, 骨芽細胞の増殖さらには破骨細胞の出現で始まり, 結果として骨質は増加していた。腎性骨異栄養症: マウスにおける本症の詳細な報告はなされていない。雌雄各370例のICRマウスを検索した結果, 雄で300日齢以降の8例, 雌では450日齢以降の11例に腎性骨異栄養症が観察された。マウスにおける本症の発生率はすでに報告されているラットのものに比較し低率であったが, 骨の変化は本質的に同一であった。一方, ラットでの本症はヒトの腎性骨異栄養症のモデルとして問題になってきた。しかし, その発生が高率化するのは生後1.5年以降からという時間的問題のため研究に支障を来してきた。今回早期から腎糸球体硬化症を示す高脂血症ラットを検索した結果, 14週齢から腎性骨異栄養症が観察された。この結果から高脂血症ラットは本症の疾患モデル動物になることが示唆された。骨端軟骨の退行性変化: Fischer344ラットの大腿骨, 胸骨を検索した結果, 雌雄共に7ヵ月齢より骨端軟骨の変性・壊死が観察され, 加齢に伴い重度化していた。本症の発生原因としては骨端軟骨に対する物理的圧力が考えられた。骨無菌性壊死: ICRマウス雌雄各300例を検索した結果, 雄6例, 雌17例の脛骨に無菌性壊死が観察された。変化は関節軟骨下に限局するもの, 骨端全体さらには骨幹に広域に及ぶものに分類された。発生原因としては血管障害が推測された。以上の骨・軟骨における形態学的研究の成果は, ラット, マウスを用いる化学物質の骨・軟骨に対する毒性学的研究あるいは実験動物学の基礎的資料として有用であると考えられた。
  • 本田 城寿, 小川 和重, 谷口 和之
    1993 年 42 巻 1 号 p. 23-32
    発行日: 1993/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    アフリカツメガエルの孵化直後から変態完了までの幼生について, 甲状腺, 上皮小体, 鰓後体の3つの鰓原器の発生と内分泌細胞の出現時期を免疫組織化学的に明らかにするとともに, これらの各内分泌器官の体積の変化を形態計測学的に検討した。甲状腺は, stage 43の幼生で初めて, 舌骨稜に沿う甲状腺原基として認められた。甲状腺のサイログロブリン分泌は, stage 47/48で初めて甲状腺濾胞のコロイドに認められた。変態における甲状腺の体積および甲状腺濾胞上皮の高さは, ともにstage 61で最高になり, 以後, 変態完了に向けて減少した。上皮小体の原基はstage 43で初めて第三鰓嚢, 第四鰓嚢の壁の上皮性の肥厚として認められた。上皮小体の体積は, 発生の進行につれて変態完了まで徐々に増加した。鰓後体はstage 45で初めて, 咽頭付近の気管の両側に一対の上皮性の陥凹として認められた。また, stage 53で完全な濾胞構造をとり, 形態計測ではstage 61で体積が最大となり, 以後, 変態完了に向けて退縮した。鰓後体でのカルシトニン (CT) 陽性細胞は, stage 47/48で初めて出現し, stage 59で免疫反応は最も強くなり, その後, 変態完了に向けて, CT陽性細胞は急激に減少した。
  • 石井 圭司, 桑原 正貴, 局 博一, 菅野 茂
    1993 年 42 巻 1 号 p. 33-39
    発行日: 1993/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ハタネズミの心拍数および自発運動の日内変動を無麻酔, 無拘束下で記録し, マウスのそれらと比較した。ハタネズミの24時間の平均心拍数はマウスよりも少ない傾向にあった。ハタネズミの平均心拍数は明期および暗期の間で顕著な差異が認められなかった。また大部分の個体で自発運動は暗期のみならず明期にも活発であることが観察された。それに対して, マウスでは全例で暗期の平均心拍数が明期よりも有意に多く, 自発運動も明瞭な夜行性を示した。ハタネズミの心拍数および自発運動量の変動を詳細に検討すると, 心拍数では95~210分周期, 自発運動では160~210分周期のウルトラディアンリズムが認められた。ウルトラディアンリズムによる心拍数変動の大きさは明期と暗期の間の差よりも顕著であった。一方, マウスでは85分周期の心拍数リズムが3例中1例に認められたのみであった。またハタネズミでは心拍数変動の増減のピークが活動期に一致する個体と休息期に一致する個体の2種類のパターンが区別された。それに対してマウスでは全例で心拍数の増加は活動期に一致した。以上の成績から, ハタネズミの心拍数変動は自発運動同様にウルトラディアンリズムを有することが確認された。
  • 後藤 信男, 山岡 綾子, 周藤 俊樹, 万年 英之, 福田 勝洋, 西村 正彦
    1993 年 42 巻 1 号 p. 41-50
    発行日: 1993/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    SMXAリコンビナント近交系マウス (28系統群) は, 体重をはじめ肺腫瘍発生率など生物学的特性をそれぞれ異にするSM/J系とA/J系マウスのF2から育成されたものである。本研究は, これらの下顎骨計測値に主成分分析と判別分析を適用し, 各系統下顎骨の形態学的なプロファイルを明らかにするとともに各系統の同定を行ったものである。主成分分析の結果, 各系統は特有の大きさと形の下顎骨を有しているものの15群に大別されることがわかった。判別分析の結果, 誤判別率は雄で6.49% (20頭/308頭) , 雌で8.06% (27/335) であったが, そのうち, 雄の13頭, 雌の17頭は下顎骨のプロファイルが比較的類似している系統間でみられたものであった。このように, 新たに育成されたSMXAリコンビナント系統は各系統内で遺伝的に均一であるとみなされた。
  • 根岸 正, 西村 泉
    1993 年 42 巻 1 号 p. 51-59
    発行日: 1993/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    石炭灰の吸入による肺内自由細胞の変化を明らかにすることを目的に, 雄のゴールデンハムスターを用いて短期暴露実験を行った。実験1では2, あるいは5mg/m3の濃度で1日20時間, 連続10日間の暴露を行い, 肺洗浄法で自由細胞を回収した。実験2では, 5mg/m3の濃度で1日10時間 (7日/週) の暴露を4週間行い, その後動物を清浄空気環境下で4週間飼育し, 自由細胞の組織学的計測を行った。これらの実験から, 異物の貪食とその消化により肺胞内を清浄に保つ機能を持った肺胞マクロファージ (AMs) の数は暴露濃度に依存して増加した。粒子を貪食したAMsの全AMsに対する割合も暴露濃度と暴露期間に依存して増加し, 暴露終了時には約80%となった。暴露停止後1週目にはAMs数はやや減少し, 粒子を貪食したAMsの割合も約20%に減少した。しかし, その後のAMsと粒子を貪食したAMsの割合の変化は少なかった。実験1の5mg/m3暴露群では暴露1日目に多数の好中球の遊出がみられ, その後一旦減少してから再び増加した。一方, 2mg/m3暴露群ではこのような一過性の増加は見られなかった。実験2では好中球数は暴露期間に依存して指数的に増加し, 石炭灰を貪食した好中球も出現した。また, 暴露停止後では好中球数は急激に減少し, 暴露停止後2週目には対照群のレベルに戻った。以上の結果から, 石炭灰の吸入によるAMsの増加は主に暴露濃度に依存しており, 粒子を貪食したAMsの一部は長期間肺内に滞留することが示唆された。また, 好中球の増加は粒子の負荷によって異なり, この細胞も粒子を貪食することが示された。
  • 今岡 浩一, 阪口 雅弘, 井上 栄
    1993 年 42 巻 1 号 p. 61-65
    発行日: 1993/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    近年, 各種アレルギー疾患が急増しているが, これらアレルギー疾患研究のための実験動物モデルの開発が必要とされている。今回, 我々は, スギ花粉症研究のためのラットモデルを作出することを目的として, スギ花粉に対するラットのIgE抗体応答を評価する方法の開発と, 高応答性を示すラットの系統の検索を行った。スギ花粉特異的IgE抗体測定法として, IgE-capture ELISAを試みた。従来より用いられている受身皮膚アナフィラキシー (PCA) 法と比較したところ, 感度が約10倍高く, 特異的IgEの検出に適していることが明らかとなった。7系統のラットにスギ花粉アレルゲン (Cry j I) を免疫した結果, IgE抗体に関しては, BNラットで最も強く産生されていた。ラットはマウスよりも大きく, 花粉点鼻投与後の鼻腔の生理機能を調べることも可能であることから, BNラットが, 今後, モデル動物として用いるのに適していると考えられた。
  • 鳥居 隆三, 北川 尚美, 和 秀雄, 大沢 仲昭
    1993 年 42 巻 1 号 p. 67-73
    発行日: 1993/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    成熟オスニホンザルにおいて, 30分間隔で24時間繰り返し行う強制保定を伴う継時的採血が, 血中Testosterone (T) , LHおよび副腎皮質ホルモン (Gc) 値にどの様な影響を及ぼすか検討を行った。採血は, 3頭では狭体による強制保定下で, 正確に30分間隔で24時間繰り返し行い, また比較のため2頭では4時間間隔で, 麻酔下および無麻酔下で行った, その結果, 4時間間隔で採血を行った2頭では, 血中T値は夜間に高く昼間に低い値を示す日内変動が, またGc値は朝に高く夜間に低値を示す日内変動が, 各々みられた。一方, 30分間隔で24時間繰り返し強制保定下で採血を行った3頭では, 血中T値は採血開始後急激に減少し, その後低値が持続し, またGc値は採血開始後増加がみられ, その後は高値の持続がみられた。しかし, 血中LH値は律動的変動を示しながらもT値やGc値にみられた著明な減少や増加, それに伴う, 低値あるいは高値の持続は全く見られなかった。また別に行ったACTH投与の5頭では, 血中Gc値は明らかな増加を示し, またT値は僅かながらも増加がみられたが, LH値には変化がみられなかった。これらの成績は, 30分間隔で繰り返し加わる強制保定によるストレスは, 血中Gc値を増加させ, T値を抑制させるが, LH値には何等影響を及ぼさないことを示していた。すなわち, 増加したGcは, 下垂体からのLH分泌を抑制させることなく, 直接精巣のステロイド合成系を抑制したことを示したものと考えられる。
  • 外尾 亮治, 斎藤 徹, 若藤 靖匡, 高橋 和明, 今道 友則
    1993 年 42 巻 1 号 p. 75-82
    発行日: 1993/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    雄ラット (Wistar-Imamichi系) の妊孕能の加齢性変化について検討した。14から40週齢まで, 週齢が進むと共に交配雌の産子数 (着床数) は減少 (14.2~12.0匹・個) する傾向を示したが, 統計的に有意な変化ではなかった。しかし, 44週齢 (11.7個) 頃より有意差が認められ始め (P<0.05~0.001) , 95週齢では全例不妊となった、雄交尾行動の加齢時の変化では, 乗駕のみの発現率は67週齢群が100%, 104週齢群が42%であった。乗駕回数は, 67週齢群の42.6±15.3 (±SD) 回に対し, 104週齢群は1.8±2.8回であった。挿入および射精は67週齢群にのみ認められ, その発現率と平均回数は挿入が86%と10.3±10.2回, 射精が43%と1.0±1.3回であった。乗駕潜時では, 67週齢群の535.4±607.9秒に対し104週齢群は3, 822.0±1, 753.4秒となり有意に延長した (P<0.05) 。また, 67週齢群の挿入潜時は2, 563.0±2, 216.3秒, 射精潜時は1633.7±977.6秒, 射精後挿入間間隔は657.3±320.6秒であった。雌の妊娠率と着床数は67週齢群が43%と5.4±6.8個であり, 104週齢群では全例が不妊であった (P<0.05) 。生殖器重量は, 104週齢群では精巣, 精巣上体および精嚢重量が低値を示した (P<0.05) 。以上のごとく, Wistar-lmamichi系雄ラットにおける交尾行動は加齢と共に減退し, 妊孕能が完全に消失した104週齢では乗駕行動を示す個体が少数認められるものの, 挿入や射精行動を示す個体は全く認められなかった。
  • 近藤 靖, 芹川 忠夫, 安江 正明, 山田 淳三
    1993 年 42 巻 1 号 p. 83-88
    発行日: 1993/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ラットの唾液蛋白をポリアクリルアミドゲルを支持体とした電気泳動を行ない, 系統間で2つの遺伝的多型を見いだした。我々はこれらの蛋白の発現を支配する遺伝子座をRsp-1およびRsp-2と命名した。いずれの遺伝子座も常染色体で, Rsp-1Rsp-1aRsp-1bの2つの共優性対立遺伝子を持ち, Rsp-2Rsp-2aRsp-2bに対して優性の単純なメンデル遺伝することが推定された。リンケージ試験の結果, Rsp-1はLGI, II, IV, VならびにAcp-2およびPg-1含むLGに属さず, Rsp-2はLGI, II, V, XならびにAmy-1, Es-6およびPg-1を含むLGに属していなかった。
  • 杉山 芳宏, 杉山 文博, 八神 健一, 宮地 俊, 黒澤 努
    1993 年 42 巻 1 号 p. 89-92
    発行日: 1993/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    実験動物における基本的なデーターを得るために無菌, SPFあるいはコンベンショナルといった微生物学的制御の異なるマウスおよびラットの血中エンドトキシンを測定した。血中エンドトキシン値はマウスおよびラットとも無菌群で, 一般にSPFやコンベンショナル群と比べて低い傾向であったが明確な差は認められなかった。さらにSPF群をコンベンショナル環境下で飼育した場合, 血中エンドトキシン値の変化は一過性でわずかなものであった。すなわち, 動物が健康的に維持されているならば, 環境変化による影響は, ほんの僅かに血中エンドトキシン値を変化させるに過ぎないことが理解された。
  • 青木 忍, 梅田 昌樹, 斎藤 徹, 高橋 和明, 杉山 公宏
    1993 年 42 巻 1 号 p. 93-97
    発行日: 1993/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    Scent glandは, 齧歯類, 食虫類などに見られ, 同種間のコミュニケーションに重要な働きを担っている。今回, ハムスターのscentglandであるflank glandのagingに伴う変化を肉眼および組織学的に観察した。この結果, 本器官は肉眼的に, 雌では21日齢以降大きさがほぼ一定となるのに対し, 雄では70日齢まで成長を続けること, 形状は成熟した段階で, 雄は楕円形であるのに対し, 雌では円形に近いことが明らかとなった。また組織学的には, 21日齢で雌雄ともに, 毛嚢に付随してやや発達した皮脂腺として認められるようになるが, 組織形成はその後も続くことが明らかとなった。また, どの日齢においても雌の方が, よく発達していた。
  • ―眼窩静脈叢採取血液での酵素値の上昇―
    泉 幸子, 杉山 文博, 杉山 芳宏, 八神 健一
    1993 年 42 巻 1 号 p. 99-102
    発行日: 1993/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    マウス, ラットおよびハムスターにおいて, 眼窩静脈叢, 心臓および尾静脈から採取した血漿を用い, 血中尿素態窒素 (BUN) , グルコース (Glu) , アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ (AST) , 乳酸脱水素酵素 (LDH) およびクレアチンホスホキナーゼ (CPK) の測定値を比較した。AST, LDHおよびCPKの3種の酵素では眼窩静脈叢血が心臓血および尾静脈血に比べ有意に高い値を示した。さらに, 眼窩静脈叢から2つの方法で採血を行い, 血漿中の酵素値を比較することにより, 眼周囲の組織の破壊が酵素測定値の上昇の原因になっているのではないかと推察された。
  • 青木 忍, 斎藤 徹, 江袋 進, 日置 恭司, 高橋 和明
    1993 年 42 巻 1 号 p. 103-105
    発行日: 1993/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    実験動物中央研究所由来のクローズドコロニーJic: SUN系スンクスの12ヵ月齢個体13匹 (雄7匹, 雌6匹) を用い, 自発運動量 (位置移動量) における日周期リズムの観察を行った。その結果, ほぼ24時間の日周期リズムを示した。行動パターンは, A.行動量が, 概ね暗期に粗, 明期に密であるもの, B.暗期に密, 明期に粗であるもの, C.暗期および明期に関係なく常に行動が見られるもの, の3つに分けられた。このうち, 雄では暗期および明期に関係なく, 常に行動しているものの割合が多く (5/7例) , 雌では3つのパターンが同数ずつ見られた。
  • 高野 薫, 小倉 淳郎, 鈴木 治, 野口 洋子, 山本 美江, 黒沢 重利, 浅野 敏彦
    1993 年 42 巻 1 号 p. 107-109
    発行日: 1993/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    国立予防衛生研究所に維持されるC57L系マウス (雄66頭, 雌72頭) における水腎症の発生について調べた。今までに報告された水腎症マウス系統と異なり, 雄雌で発症率に差はみられず (雄62%, 雌75%; P>0.05) , また重症度でも差は認められなかった。雌雄とも右側腎臓がより高度に冒されていた。年齢と発生頻度とは関連が無かった。
  • 斎藤 徹, 外尾 亮治, 青木 忍, 若藤 靖匡, 高橋 和明
    1993 年 42 巻 1 号 p. 111-113
    発行日: 1993/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ヒトを始めとする哺乳動物では, 加齢に伴い性行動活性の減少が知られている。発情雌に対して, 高齢雄ラットの交尾行動には通常, 射精を伴わない。一方p-Chloroamphetamine (PCA) は成熟ラットおよびハムスターの射精を誘起させることが報告されている。本研究において, 高齢雄ラット (14~18カ月齢) に対してPCAによる誘起射精が可能であるかを検討した。PCAの用量は0.3125~2.5mg/kgであり, 腹腔内に投与された。その結果, 投与2時間以内に射精の認められた割合は0~100%であり, 成熟雄ラット (3カ月齢) の成績と同様の傾向が認められた。以上の成績より, PCAは高齢ラットにおいても射精を誘発することが明らかになった。
  • 高市 松夫, 三宅 隆行, 南保 俊雄
    1993 年 42 巻 1 号 p. 115-117
    発行日: 1993/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    ウサギの胆汁を長時間採取するため, 無拘束胆汁採取法を開発した。ウサギの腹部皮膚を切開し, 肩甲骨近位の皮膚から腹部切開部にガイド針を皮下挿入し, カテーテルをガイド針を通して背部より腹部に通じさせる。カテーテルの総胆管へのカニュレーションを施した後, 背部のカテーテルの挿入部に鋼鉄製コイルの一端を附け, そのコイルに背部のカテーテルを導入して, カテーテルを保護する。以上の処理を施したウサギ (3.7kg) を代謝ケージに飼育することにより, 120時間連続して8.9~10.2ml/hrの一定流速で胆汁を採取できる。拘束下のウサギの胆汁の流速は8時間以後減少した。従って, 著者等が開発した無拘束胆汁採取法は長時間の胆汁採取に良好な方法であると考える。
  • 杉山 芳宏, 杉山 文博, 八神 健一
    1993 年 42 巻 1 号 p. 119-121
    発行日: 1993/01/01
    公開日: 2010/08/25
    ジャーナル フリー
    動物実験センター・に実験用として搬入される抑留犬における感染微生物保有状況を明らかにするため, 糞便からのサルモネラの分離を試みた。サルモネラは238頭中10頭 (3.5%) より分離され, 特に搬入後1週間目までの分離は74頭中9頭 (12.2%) であった。この分離率は搬入後1週間目までのものが高率で, 3週間以降ではまったく分離されないことから, 搬入後1週間目までの抑留犬からは他への感染の危険性が最も高く, 取り扱いに十分な注意が必要であることが示された。
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