日本プライマリ・ケア連合学会誌
Online ISSN : 2187-2791
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46 巻, 3 号
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Editorial
原著(研究)
  • 刑部 仁美, 竹本 聡美, 島田 由美, 中田 景子, 山田 奈緒美, 峰松 豊, 荒幡 昌久
    2023 年 46 巻 3 号 p. 89-95
    発行日: 2023/09/20
    公開日: 2023/09/22
    ジャーナル フリー

    目的:主に総合診療科医が入院診療を担当する施設における高齢尿路感染症患者の在院日数に影響する因子を同定する.

    方法:2019年4月から2021年3月の間に入院した65歳以上の尿路感染症患者を対象とした.主要評価項目を急性期病棟入院日数とし,これに対する入院時の患者背景,検査所見,治療介入等の影響を後方視的に検討した.

    結果:143例(88±7歳,男性37%)が分析対象となった.在院日数14日未満または在院日数14日以上を目的変数とした二項ロジスティック回帰分析では,Charlson Comorbidity Index(CCI)≧6,複雑性尿路感染の泌尿器科診断あり,入院時Functional Oral Intake Scaleが有意な説明変数であった(各オッズ比は5.07,0.13,0.30).

    結論:高齢尿路感染症患者において,CCI≧6,入院前泌尿器科的評価なし,摂食嚥下機能低下が在院日数延長因子となり得る.

  • 小山 歌子, 宇田 優子, 藤安 まゆみ, 和田 直子, 長谷川 由美, 工藤 由紀子, 瀧口 徹
    2023 年 46 巻 3 号 p. 96-106
    発行日: 2023/09/20
    公開日: 2023/09/22
    ジャーナル フリー

    目的:特別豪雪地帯・山村過疎地域の中高年における在宅看取り(以下看取りと略す)の可能性の認識に関連する要因を明らかにする.

    方法:A県B町の40~69歳の住民に,無記名自記式質問紙を用いて郵送法で調査した.分析方法は,①信頼性分析,②基礎統計量,③構成比率の差の検定,④項目ごとの2群の差の検定,⑤二項ロジスティック回帰分析:看取りの可能性の認識を目的変数,性,年齢,③④で有意の18指標を説明変数とした.

    結果:看取り肯定群63人,否定群239人および不明群120人であった(回収率44.1%).看取りの可能性の認識に関連する要因は,「看取りを行っている地域病院の存在」,「看取りに対する肯定的なイメージ」,「地域の人々への信頼感」であった.

    結論:特別豪雪地帯・山村過疎地域において,看取りの可能性の認識を高める3要因を促進するための方策を今後検討する必要がある.

原著(事例報告)
  • 児玉 憲一, 夜西 麻椰, 北川 奈津子, 清水 彩永, 江川 克哉
    2023 年 46 巻 3 号 p. 107-111
    発行日: 2023/09/20
    公開日: 2023/09/22
    ジャーナル フリー

    症例は50代,女性.頭痛,嘔気などを主訴に受診.血液検査での甲状腺中毒症及びTSHレセプター抗体陽性,甲状腺の超音波検査所見からバセドウ病と診断した.入院の上でチアマゾールにて治療を開始したが入院後に幻視や幻聴などの精神症状が出現し甲状腺クリーゼの診断基準を確実例として満たした.チアマゾール増量とヨウ化カリウム追加で対応したが,甲状腺機能改善下での精神症状出現に違和感を持った.血液検査を見直して気づいた偽性高クロール血症を端緒に市販のブロムワレリル尿素含有鎮痛薬乱用が判明,一連の精神症状は慢性ブロム中毒の離脱によるものが疑われた.向精神薬開始により精神症状は軽快,甲状腺機能については以降も順調に改善して退院した.甲状腺クリーゼは早期に疑い治療を開始すべき病態であるが,甲状腺疾患に精神症状を来す他疾患が併発すると診断基準偽陽性となることに注意が必要であると考える.

活動報告
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