地下水学会誌
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53 巻, 2 号
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論説
  • 日比 義彦
    原稿種別: 論説
    2011 年 53 巻 2 号 p. 153-164
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/30
    ジャーナル フリー
    土壌汚染では土壌ガス中の物質移動を考慮しなければならない状態が度々生じる。しかし、土壌ガス中の物質移動に関する原理については、国内では、ほとんどFickの法則しか知られていない。現在までに、2成分モデルであるFickの法則だけではなく、Stefan-Maxwell式またはDusty gas モデルなどの多成分モデルが開発されている。地盤分野では、Fickの法則の適用限界を認知せずに使われるケースもある。そこで、本論文では、Fickの法則の適用範囲、Stefan-Maxwell式またはDusty gas モデルの誘導過程とその仮定条件を整理して報告する。
論文
  • 梁 熙俊, 小林 正雄, 三田村 宗樹
    原稿種別: 論文
    2011 年 53 巻 2 号 p. 165-177
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/30
    ジャーナル フリー
    滋賀県の愛知川扇状地において地下水流動系を明らかにするため、地下水位及び水温を調べ、地下水流動方向及び流速の推定を行った。浅層地下水温は、約13m以深で恒温層が現われ、その水温は右岸側で15.5℃、左岸側で約16.3℃と右・左岸で約0.8℃の差があり、扇頂部と左岸側の第II河岸段丘面では鉛直方向の地下水流動が卓越した。深層地下水温は、右岸側では、全体的に15.0∼15.5℃の水温を示し、左岸側では、表層部で16.0℃、中層部で16.5℃、深層部で17.5℃と深度の増すにつれ水温は上昇した。理論式から求めた地下水の水平流速は、浅層部は、右岸側で4×10-3cms-1、左岸側で3×10-3cms-1、深層部は、左岸側で7.4×10-5cms-1と評価された。また左岸側の扇央部域の地下(深度75∼100m)における難透水層の上向き鉛直流速は4月でvz=2.4×10-7cms-1、6月でvz=8×10-7cms-1と評価された。
短報
  • 越谷 賢, 丸井 敦尚
    原稿種別: 短報
    2011 年 53 巻 2 号 p. 179-191
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/30
    ジャーナル フリー
    地下水面は地下水資源の評価、地下水環境の保全にとって重要な情報である。近年では地下水面の把握には、地下水盆規模のような広範囲の評価が求められるが、技術的、経済的な制約から、適切な評価を行うことは容易でない。地下水面は自然要因によって変化することが知られ、本研究では広域の地下水面を推定するため、地形と地質条件とに基づく地下水面の回帰予測を行った。地下水位データは、公開されている地盤調査ボーリングのデータベースから抽出した。地下水位は、気候条件によって変化するが、本研究により地形や地質条件によっても差異を示すことが確認された。回帰分析は、地下水位を目的変数、地形・地質のグループをダミー変数、地形量を説明変数とした。構築した回帰式は、決定係数と分散分析から有意であった。そのため、回帰式とメッシュマップとを組み合わせることで、地形・地質に起因する日本全国の地下水面を統計的に推定できる手法を確立することができた。
資料
  • 横田 秀晴, 山本 陽一, 前川 恵輔
    原稿種別: 資料
    2011 年 53 巻 2 号 p. 193-206
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/30
    ジャーナル フリー
    高レベル放射性廃棄物の地層処分における安全性評価には、物質移動を規定する浅部から深部までの地下水流動特性の把握が必要である。著者らが北海道幌延地域での浅部地下水流動系把握のための表層水理調査研究において、浅層ボーリング孔を用いた地下水位観測等から地下浅部の地下水位分布や地表からの水の浸透を検討した結果、積雪期にも地表から水の浸透が生じていること、地下施設建設が周辺の地下水位に影響を及ぼしていないこと、大曲断層に沿って地表から地下への水の浸透が生じていることが明らかとなった。今後、ライシメータや土壌水分計等による観測結果等と併せて、地下への水の浸透・涵養のモデル化・定量的評価が必要である。
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