本報告に述べ來つた所は, 前4報に於て歸納し得た諸結果を敷衍し, 實用性を高めるべく試みた新裝置と, その操作の中, 前者に就ての詳述で, これを要約すれば次の如く摘記される.
(i) 實用的風篩裝置の具備すべき條件を8項目列擧し, それ等を滿すが如き新裝置の考案に努力した.
(ii) 斯くて實現した風篩裝置と, 代表的な他型のものとを可及的平等と認めらるる條件下に比較し, 前者の優秀なるを確め得た.
(iii) この高能率はコンテーナーの營む所の, 粒子の分離と再結合防止作用とに起因するものとなし, 二つの要因に就て詮索を行つた.
(iv) 粒子の分離機能は空氣噴射管より奔出する氣流束の鋭さに左右され, それを實證すべぐ, 圓錐, 圓筒兩噴射管による成績を比較し, 明かに能率の差を認めた. 又2種のノズルより噴射する氣流束の擴散状態を檢する簡單にして有效なる方法を案出, 之によつて分離能力の差は全く氣流速度勾配の大小に起因することを確認し得た.
(v) 次に, 再結合防止作用はコンテーナーの内部管によつて行はれることを實證する爲, それの有無によつて風篩能率に差を來すことを明示した.
(vi) 風篩器への送風量は適當なノズルを通ずる際の水柱壓によつて測定することが便利で, 然も精度高きことを論じた.
(vii) 簡潔なる空氣淨化器の考案に關して報告した.
(viii) 脱塵, 收塵を有效に行ふことの必要を實驗によつて示し, その對策としてベルによる打敲, ブラシュによる清掃を採用し, 防音と集塵の爲, 器全體を特殊の箱に収めた.
尚, この試驗研究に御懇切なる御指導を賜つた, 淺野セメント研究所長藤井光藏氏に厚く感謝申上ぐる次第である.
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