(1) 本報に於ては珪藻土の液體吸收能が藥液吸收劑, 濾過助劑及び斷熱材方面への利用と關聯して工業的に重要な意義を有する事を指摘し, 液體吸收能測定法, 本邦及び米國産各種珪藻土の吸水量並に珪藻土混合物の吸水量實測結果等に就て詳細記述した.
(2) 珪藻土の液體吸收能測定法として, (1) 滴下法 (2) 吸引法, (3) 浸漬法等を夫々採用し, 從來の文獻並に測定法の概要に就て記述し, 更にそれ等の各法に依つて得られる珪藻土の吸水量測定結果を夫々圖表に就て説明した.
(3) 滴下法に於ては珪藻土の吸水量は嵩比重又は氣孔率と全く直線的の比例關係にある事を認めた. 更に吸引法に於ては一定の減壓, 例へば水銀柱差壓, 5cm, 10cm, 15cm, 20cm, 25cm, 30cmに於ける吸水量を測定し, 水銀柱の差壓と吸水量との關係を夫々圖示し, 各地珪藻土に依つて何れも特異の曲線を示す事を確認した.
(4) 珪藻土の吸水量は珪藻の種類, 形態, 大さ, 殻壁の厚さ, 殻の破壞程度, 不純物量等, 即ち珪藻土の嵩比重又は氣孔率に依つて著しく相違しその吸水範圍は自重の約1.5-4.4倍程度の廣汎に及ぶ事が明確となつた.
(5) 吸引法に於ては岡山縣産珪藻土の如く大型圓形の殻から構成せられてゐる物は吸引差壓の増加と共に著しく保有水量を減少する事實を認め, 本現象は單に吸水量のみならず濾過速度並に清澄度と關聯して重要意義を有するものなる事を指摘説明した.
(6) 宮城縣産原土 (白色, 黄色, 灰緑色) 及び北海道喜茂別産原土, 篩分物, 水簸物及び鹽酸處理物等の吸水量を夫々測定した.
(7) 珪藻土混合物の吸水量測定として (1) 宮城縣及び大分縣産原土 (2) 岡山縣産水簸未燒成物及び朝鮮産原土 (3) 岡山縣産水簸燒成物及び大分縣産原土の各等量混合物に就て實測を行ひ各原土の算術平均値を計算値と見做し, 夫々圖表に就て兩者の數値の偏差に就て比較考察を試みた.
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