著者は Helmholtz-Konig-Bechstein の大混色装置を使用し, 色覺, 視力共に健常で年齢を異にする男女4名についてスペクトルの色相判別閾を測定したが, それに先だつて視野明度を全波長につき一定にするために, 使用スペクトルに於ける各被驗者の明度分布を直接異色測光により測定した. この異色測光の確度については,(1) 測定値分散の分布,(2) 比較視野の波長を異にする場合の明度分布,(3) 練習の効果の3方面より明にした. 次いで色相判別閾の測定では4の極小及び3の極大の存在する事を全被驗者について證し得た. 殊に630mμ附近の極小についてはその存在を否定する人々もあるので特に精細に測定をぐりかへしたが, 被驗者すべてが之を確認した. 又端域の測定を行ひ良波長端域は決定する事が出來たが, 短波長端域は光源の關係から結論を得るに至らなかつたものである.
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